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side千鶴――真・月が綺麗ですね

歴史転生ものを読んで思う。

歴史を改変することによるタイムパラドックスはどのように処理されているのだろう。


パラレルワールド的なやつだから大丈夫! ほら、世界線が違うから! 誰かダイバージェンスメーター持って来て!


それとも、そこまで考えてないが正解でしょうか?


歴史のifものは嫌いじゃないけど、現代日本人(この言い方好きじゃないです、ええ)が現代知識()で無双するタイプのやつは、なんかずるいなあと思ってしまって心から楽しむことができないこむるです。

あれ、つまりなろうの歴史ものはほぼ全滅ってこと……?




今回のお話は、すれ違うニュアンスをお楽しみ?ください。






更新が遅れたのはだいたいピアノのコンクールとこいつ↓のせい。

2018/06/22 落書き倉庫にカラーイラスト1枚追加。

 ――ベルーカに滞在して一週間。


 魔の森に入る前のように有力貴族や神殿との面会や王族との晩餐会、盛大な夜会……なんてものもあるはずはなく。


 ひたすらに勇者召喚を取り止める為の交渉――の前段階としての意見交換や互いの事情の擦り合わせ等が行われている。


 とはいっても、アルスさんやセニエさん達の都合もあるので朝から晩まで休む間もなくという訳ではなく、王城や庭園を散策したり図書棟で本を借りて読んでみたり、侍従さんや侍女さんといった人達からこの国のことについて色々教わったりする時間の方が寧ろ多い位ではあるのだけど。


 ――知れば知る程この国って、ほんとに“普通”の国なんだなあって……。その内皆で城下に行かせて貰おうか、なんてエドガー達とも話し合っている。




 そんな中、庭園の広場で同じ位の年頃(?)の子供達と遊ぶサキちゃん(サキさん……ちゃん付けでもいいよね……?)を見掛けた。


 花冠を頭に乗せ、何か童謡みたいな歌を歌いながら、女の子二人が両手を繋いで作った橋の下を残りの子達が列になってくぐっていく。異世界版ロンドン橋って感じ?


 楽しそうに笑い合うサキちゃんと子供達。それを微笑ましげに見守る侍女さんや護衛の騎士さん達。


 ちゃんと謝りたい、話をしたいという気持ちがなくなった訳ではないけど、きっとまだその時ではないのだろうと、遠目からただ眺めるだけだったけど。


 ――そして理解した。


 ああ、そうか……わたし達は歓迎されてないんだ、と。


 あ、いや、歓迎されてないってのはちょっと違くて。何て言うのかな、わたし達は“勇者パーティー”なんかじゃなくて、ただの“お客さん”なんだなって。


 別に冷遇されているとかそういうことは全くないし、終始丁寧に笑顔で接してくれるのだけど。


 目の奥の色が()()なのだ。


 エスター王国のマリアさん達がわたしを見る時のような、この国の侍女さん達がサキちゃんを見る時のような暖かさがない。


 当たり前だよね……。だってベルーカにとっては、勇者とか“魔族”とか全然関係ないことなんだもの。


 だから、ここに来るまでに訪れた国々で受けたような特別扱いなんて、期待する方が変なんだ……。


 と、ここまで考えて、どうやらそのことにショックを受けているらしい自分にショックを受けた。


 わたし――マリアさんには“自分は庶民だから特別扱いしないで欲しい”なんて言っていた癖に……。


 一体いつからだろう? 最初は確かに本心から言っていたはずの言葉が、勇者として特別扱いされるのが大前提の、“流石は勇者様、謙虚だ、素晴らしい”と褒めて貰う為のポーズになってしまっていたのは――――?


 この国に来てからというもの、ずっと同じようなことでぐるぐる自己嫌悪している気がする。



 


 はあぁ……、と大きく溜め息をついて夜空を見上げた。いつか、アルスさんと見たような満月が顔を覗かせている。


 何度目かの散策で見付けたこの庭は、中庭でこそないものの、雰囲気がどことなくエスターの王城でお気に入りだったあの庭に似ていて。


 夕食後、部屋ででうだうだしていても気が滅入ると、庭に出たわたしの足は、自然とここに向かっていたのだった。


(会いたいなぁ……)


 エスターだと二階の窓、アルスさんの部屋があった辺りに視線を彷徨わせる。


 その時、かさりと草が揺れた。


「あ――……」


 月の光を受けて煌めく金の糸を、夜の闇のような黒い髪紐で束ね、瞳にペリドットの色を宿したその人は足取りも軽く、微かに笑みを浮かべ――


「アルス、さん……?」


 ベンチから立ち上がったわたしに驚いたのか、こちらに向けたアルスさんの顔から笑顔がなくなっていたのが少し残念だった。







「なんだか……こうやって話をするの、久しぶりな気がしますね」


「――そうだったろうか」


 確かに、毎回ではないけど話し合いの場にアルスさんが参加することもある。


 でもわたし達と話すのは主にセニエさんで、本当にそこにいるだけって感じで。


 “国王として”でない、言葉数も少なくクールというよりはいっそ素っ気ない位の、“いつもの”アルスさんが今わたしの目の前にいる――。


 そう思うだけで、心臓がうるさい程に音を立て始める。


「そうなんですよ。アルスさんと出会ってからずっと、このお城に着くまでいつも一緒にいましたから。この一週間――アルスさんのいない一週間が、わたしにとっては凄く長く感じたんです」


 くすりと笑ってアルスさんを見ると、ほんの少し、困ったように眉が寄せられた。


「あ、別に責めてる訳じゃなくて……アルスさんにも色々と事情があったんですから。それはわたしもエドガー達も分かってるから、大丈夫ですよ。わたし達、今でもアルスさんのことちゃんと大切な仲間だって、その気持ちは全然変わってませんから……ね?」


 アルスさんからの返答はなく、ただ軽く息を吐き出す気配のみ。


 ――変わらないなぁ、アルスさん……。


 素直でない反応に苦笑して。


「――わたし、ここに来てから自分は何にも知らなかったんだなぁって思い知らされてばっかりで……」


 苦笑した顔のまま、へにょりと眉を下げた。


「その、無知とかそういうのだけじゃなくて、自分の考えの甘さみたいなものも……。魔族……とわたし達が思い込んでいたこの国の人達のことだって、もっとわたしが相馬さんの手記をしっかり理解していれば――」


 そう。ヒントは手記の中に沢山残されていた筈なのに……。自分達に()()()()()()()だけしか見えていなかった。


「サキちゃんのことも……もっと周りに気を配れていれば、あそこまで悲しませることはなかったかもしれない……。本当は今でも謝りたいんです。でも――謝ることすら余計に傷を抉ることになってしまう悲しみが存在するなんてことも、わたしは知らなかった……」


 こんな時、アルスさんは余り口を開かず聞き役に徹してくれる。アドバイスが貰えないような気がして不安になることもあるけど、今日は却ってそのことに勇気付けられるように感じて、わたしは続けた。


「今は自分に出来ることを一生懸命やろうって――それで少しでも償いになるのならって。……ね、アルスさん。わたし、頑張ります。勇者召喚をなくす為に、そんなもの必要ないって皆が思えるような世界にする為に……」


 強い決意と、ほんの少しだけ混じってしまった甘い期待を込めて。


「アルスさんと一緒に、頑張りますから」


 ちょっと首を傾げて見上げると、アルスさんは目を伏せてたっぷり一呼吸置いてから、


「――――協力に、感謝する」


 と言ってくれたのだけど――。


「……ふふっ、他人行儀ですよ。わたし達仲間じゃないですか」

 その、なんだかしかめつらしい口調に思わず笑ってしまうのだった。




 二人の間を暖かな春の風が通り過ぎる。


 少し湿ったような草の匂いに微かに紛れ込んだ薔薇の香り。怖い位に綺麗な満月が淡く影を落とし――。


「覚えてますか? まだエスター王国にいた頃、こうやって一緒に月を眺めたことがありましたよね?」


「あれは……忘れたくても忘れられない記憶だな……」


 どこか遠い目をするアルスさん。


「あの時は、アルスさんが転生者だって知らなかったから……、つい“月が綺麗”なんて言っちゃって。きっと、困らせちゃいましたよね」


「ああ――ものすごく困ったことになったな……」


 きっと――――。


 月がとても綺麗だったから。


 アルスさんの表情(かお)が、苦さの中にも不思議と甘く優しい色に彩られていたから――。


 だから。


 今言わないと、絶対に後悔すると思ったのだ。


「でも……今ならわたし、自信を持って“月が綺麗”って言えます」


「それは――」


 僅かに見開かれる目。


「好き……です」


 きゅっと手を握り、祈るようにそのペリドットの瞳を見詰めた。



魔王様ルート突入。千鶴さんがたどり着くのは果たして何エンドなのか!? 待て次回!



昨日作った野菜入り天津飯(だと思う……)がおいしかったので、忘れないうちにメモ。


材料(3~4人分):

・タマネギ 1/2個

・ニンジン 1/3本

・シイタケ 3~4個


・水 500cc

・酒 大さじ3

・砂糖 大さじ1~2

・しょうゆ 大さじ3

・酢 大さじ1程度

・中華スープのもと 小さじ2程度

・片栗粉 大さじ2

・ごま油 少々


・卵 6~8個程度

・サラダ油 適量

・ご飯 人数分



作り方:

・タマネギ、ニンジン、シイタケを千切りにして、油をひいたフライパンで炒める。

・酒、砂糖、しょうゆ、中華スープ、酢、片栗粉と合わせた水を入れとろみがつくまで、かきまぜながら火にかける。

・火を止めてごま油をまわしかける。


・ご飯を皿、どんぶりなどに入れる。

・熱して油をひいたフライパンに溶き卵を入れ、へら、菜箸などでざっとかきまぜる。

・丸くまとめてやや半熟くらいでご飯の上に乗せる。

・野菜あんをかける。



メモ:


・甘酢あんが苦手な場合は酢減らす、もしくは入れない。


・家にある人は中華スープを少し減らしてその分オイスターソースを入れるとよいと思われる。


・調味料類を最初から全部まぜておく、水を少し取り分けておいて水溶き片栗粉にするなど、自分のやりやすい順番で味をつければ酔いと思う。


・卵はひとり1.5~2個くらい。ひとり分ずつ作るかまとめて作って切り分けるかは本人のやる気次第。


・卵を焼くときの油は多めに。テフロン推奨。古くなって焦げ付きやすいフライパンを使うときはさらに油多めに。


・カニのほぐし身、カニかまなどを入れるとき、卵に入れるかあんに入れるかはお好み次第…ってかこむるさんカニ食べられないから卵に混ぜて自分のには入れない方式を採用……(´・ω・)。


・もしかしてサラダチキンとかゆでたササミなんかをほぐして入れたら代用になりませんかね?




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