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side千鶴――魔王さまのご帰還

連続更新 3/3



世の中ナルニア派と指輪派とで血で血を洗う戦争が行われているわけですが、あ、ちなみにこむるはナルニア派ですかね。もちろんトールキン先生も嫌いでないですよ。でも指輪よりホビットの方が、どちらかというと好みですかね。


でも、両者を比べるのってナンセンスだなあと思ったりもするわけですよ。

だって、テイストが全然違うじゃないですか。ナルニアはどちらかというと児童文学、メルヒェン寄りで、指輪はがっちがちの重苦しいファンタジー小説っていうか設定厨っていうか。


あ、そうそう、異世界召喚、転移ものの元祖、もしくは金字塔を述べよときかれたら、こむるは迷わずナルニア国物語をあげますね。あと、アンドレ・ノートンの魔法の世界エストカープシリーズ。選ばれし主人公感がすごい。四十年以上前にこれが書かれていたことに感動する。


 その時、わたし達の横を進み出る人影があった。


「え、あ――アルスさん……!」


 まだ何があるか分からないから――と引き留めようとした指先が、アルスさんの服の裾を掠める。


「危険だって、アルス!」


「戻って来てください――!」


「アルス――!」


 皆の静止も耳に入らない様子で、迷いのない足取りで壇上を目指すアルスさん。


 何故か周りの魔族の……違った、ベルーカの人達――そういえばベルーカって名前に凄く聞き覚えがあるんだけど、どこで聞いたんだっけ――は、それを止めるどころか一斉に膝をついて――って…………え?


 その間座ったままだったサキちゃんは、自分の目の前までやって来て立ち止まったアルスさんを見上げ、それから、花が咲いたように笑って。


「お帰りなさい、アルス!」


 お帰りなさい。と――。


 そう言ったのだった。




「ああ。ただいま」


 まるで繊細な宝石細工を扱っているかのような手つきでアルスさんはサキちゃんを抱き上げ、その頬にキスをした。


「まさかサキも一緒に待っててくれるなんて思ってなかったから、びっくりしたよ。こんな悪ふざけを企むのは、ナタンじゃなくてシッドの方か――?」


 玉座の左右に控える二人――のうち、煉瓦色の髪をした男の人の方を順に目をやるアルスさんに、サキちゃんもキスを返し。


「ふふっ、わたしは遠慮するからって言ったんだけどね。玉座に座るのだけはどうにか許してもらったの」


「サキが座るのだったら一向に構わないんだけどな」


「もう。だめよ、()()()。その辺はきっちりしとかないと――でもみんなひどいと思わない? ナタンもジェラードさまたちも、勇者さまたちをお迎えするご挨拶を、全部わたしに押し付けるんですもの」


 ……これは、一体どういうこと、なの――?


 この城に来てからというもの、もう何度浮かんだかも分からない“何故?”が頭の中を埋め尽くす。


「そうは言うけど、なかなか堂々としたものだったじゃないか。あと、そのドレスは普段は着ない色だけど、わざわざ()()用に? ずいぶんと手が込んでる」


 ヨランダから無理矢理連れて来られた筈のサキちゃんが、まるで元からベルーカの人間――それも国の中枢にかなり近いような言動を取っていて――


「せっかくなら、少しでも勇者さまたちのイメージする“魔王”っぽくしてみようって、侍女さんたちが張り切っちゃって……」


 そしてアルスさんも、まるで()()()()()人間であるかのように――どうして? アルスさんはヨランダを拠点に活躍する冒険者で……わたし達の大切な仲間で……なのに、


「どうせなら“世界の半分をやろう”とか言うくらいに徹底すればおもしろかったのに」


「いやよ。わたしそんな演技派じゃないもの」


 どうして、“王様”なんて、呼ばれて……いるの――?


「アルス、さん……」


 サキちゃんとクスクス笑い合いながら、アルスさんは正面に向き直り、跪いたままの人達に声を掛けた。


「皆、楽にしてよい――留守中、よく城を守ってくれた」


 その言葉に、彼らは一糸乱れぬ動きで立ち上がる。


「嘘、だろ……」


 ぽつりと落とされたレオン君の呟きは、どこか頼りなさげで。


 玉座の一段下にいる灰色の髪の文官っぽい出で立ちの人が、代表して口を開いた。


「もったいないお言葉にございます。我ら一同、陛下の無事のお戻りを心よりお喜び申し上げます」


 壇上に控えていたもう一人――長い黒髪をサイドに弛く纏めたイケメンさん……っていうか、さっきの文官さんといい煉瓦色の髪の人といい、誰も彼もイケメンばかり……――が玉座の横に配置し直した椅子にサキちゃんを座らせ、アルスさんも、もう何度もそれを繰り返して来たと言わんばかりの自然さで玉座に着いた。


「――では、本当に貴方は……」


 ゆるゆると首を振るキースさんの目は、痛みと悲しみに彩られていて。


「遠路はるばるよくぞ参られた。わたし――第二十一代ベルーカ王アルス・ドゥーシェは、異界よりの勇者殿並びに“外”よりの客人らを歓迎する」


「我々を騙して……裏切っていたのか……?」


 苦し気に顔を歪めるエドガーの問い掛けが、わたし達皆の気持ちを代弁していて――。


 ああ、アルスさんは――――


 もう、わたし達の名前を呼んではくれないの……? 仲間ではないから、この国の王だから……?


「……裏切るもなにも、金髪のは元よりこの国の王であったろうに」


 バルコニーで欠伸を噛み殺していたドラゴンが、クツクツと喉を鳴らした。






 わたし達の心を置いてきぼりにしたまま、この予期しない形で始まった謁見は続く。


「この度貴殿らにご足労願ったわけは、貴殿ら“外”の者たちが度々行っている勇者召喚について、伝えねばならないことがあるからなのだが――まあそうだな、貴殿らの目的としていた“和平”とも関わってくると言えるかもしれない」


 最も――とアルスさんは皮肉げに口の端を歪めた。


「そもそも我が国と貴殿らの国とは戦時下にあるわけでもなし、貴殿らが()()()()()()()()()()()()だけの状況で、何をどう和平とすればよいかはわからないのだがな」


「「「っ――……」」」


「それ、は……」


 確かに、わたし達は魔王軍(ほんとはそんなもの存在しなかったのだけど……)に戦いを挑んでいるつもりが、ベルーカ側から見ればそう映っていたのだろう。


 いつだったか、どこかで聞いた“茶番”という単語が脳裡を過る……。


「詳しくは明日席を設けるとして、旅の疲れもあるだろう、今日のところはゆっくりと休まれよ」


 話は終わったとばかりに立ち上がり、サキちゃんの手を取って奥の扉に向かおうとするアルスさん。


 その後ろ姿はなんだか初めて会った頃のように……ううん、それよりももっと分厚い壁で隔てられているように感じて。


「あのっ、アルスさん――!」


 思わず、わたしはアルスさんに向かって呼び掛けていた。


「っ……国王としてのアルスさんには、きっと立場とか色々あって、今までみたいに、気軽に話とか……出来なくなるのかも知れないけど――」


 アルスさんは足を止め、何の感情も映さない瞳でこちらを振り向く。


「だけど……それでも、わたし達とあの旅を乗り越えたアルスさんは……冒険者としてのアルスさんは、確かに存在したと――」


 ――あれは、“本当の”アルスさんだったと、


「信じて、いいんですよね? ……わたし達は、まだアルスさんの仲間でいて、いいんですよね――……?」


「「「チズル(様)……」」」


 この問い掛けにアルスさんが答えてくれることはなかったけど。



でも、信じてるから――――。






お好み焼きを作ろう。



みんなの家ではお好み焼きに何を入れてますか?

オーソドックスにキャベツとか豚とかイカとか、チーズやお餅、ちくわや鮭フレークなんてのもあるかもしれませんね。


我が家では、基本はキャベツとニラとネギ、そこに冷凍コーンとピザ用チーズを入れてます。あと豚肉。

その日の冷蔵庫事情により、ニラが入らなかったりコーンがなかったりとかします。

お魚の特売日には、イカが追加されることもあります。

ニラコーン入りお好み焼き、おいしいです。


お餅を入れるのも好きだけど、サイコロに切るのが大変なのであまりしない。

お餅を切るのは出刃包丁推奨。あと、冷凍する前に切ってしまっておくのがよいでしょう。


サイコロといえば、じゃがいももほくほくでおいしいですね。生地に混ぜこむのではなくて、フライパンの底に敷いてから、生地を流すとほくっとかりっとなるのではないでしょうか。

あらかじめレンジなんかでちょっと火を通しておくと安心ですね。

冷凍のフライドポテトなんかを使うのも便利ですね。


豚肉を並べるのが面倒、もしくはうちにはバラなんていい肉ねぇよ、こま切れしか買ってねぇよ、このブルジョアが! という場合は、最初に肉を炒めてあら熱をとってから、生地に混ぜこんでしまう。

それかモダン焼き用の焼きそばと一緒に炒めて挟む。


焼きそばは、半分か四分の一に切っておくと食べやすい。炒めて控えめに焼きそばソースもしくはお好みソースで味付け。

モダンにするときは、生地はなるべく薄く流して焼きそばを置き、なるべく薄く生地を置かないと大変。いつまでたっても中が生焼け。




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