表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/131

side千鶴――だってこれは夢だから

2話連続更新 2/2


先生「レオン君はオレンジ色の髪、シドニー氏は茶色がかった赤毛。いいね、ここテストに出るからね」




勘違いとすれ違い警報発令中。



 あれから少しの間、ドラゴンが戻って来ないのを確認してから皆の所に帰ったわたし達は、レオン君の推測も合わせてあの緑色のドラゴンについて報告した。


 エドガーは厳しい戦いの予感に、魔の森を抜けるまでに、更に実力をつけなければと気を引き締め。

 キースさんは、わたしとレオン君が恐ろしい目に遭ったことに気遣ってくれ、また、無事だったことを喜んでくれ。


 そして、二人共レオン君と同じように、必ず魔王城まで連れて行くからと言ってくれた。


 ――うん、その、無駄にキラキラしく誓われるものだから、照れるというか、羞恥心的なあれがそれで、すっごい挙動不審になっちゃったよ……。


 ちなみにアルスさんは、微妙に苦い顔っていうか苦いものとか渋いものを飲み込んだような顔で、「そうきたか……」と呟いていた。

 表情の変わるアルスさんなんてここ最近では特に貴重だから、少し得したような、事はそれだけ重大なんだって気が引き締まるような。







 ドラゴンの登場はそれだけインパクトを残したということなんだろう、その晩、わたしは夢を見た――



「――、……ああ、しばら……りだな、――――」


 ――誰? 誰かの話し声がする……。一人は、アルスさん?話し相手は――


「――ふん、そなたらニンゲンは、一度我に挑んでしまえばそれまでという者どもが多すぎる」


 焚き火に反射する深緑の煌めき、山のような身体を器用に折り曲げて、その長い尻尾でアルスさんを包むように地面に身を横たえたソレは、見紛うことなくドラゴンで……。


「そなたも、もっと我のもとに頻繁を訪れてよいのだぞ」


 ツンデレだ! ツンデレさんがいる……!


 と、ふんっと息を鼻から吐き出しながら言うドラゴンに、思わずくすりと笑いが漏れた。


「そういえば、黒髪の姫――そなたの嫁御があの赤毛のに連れられて来た」


 黒髪と赤毛――あ、レオン君オレンジ色の髪をしてるもんね。そっか、このドラゴンは今日の……。


 それにしても、アルスさんとドラゴンが仲良く焚き火を囲んでるなんて……もしかしてこれ、夢なのかな?


「ああ、話は聞いてるよ」


 久しぶりに見るアルスさんの穏やかな笑顔――ああ、やっぱり好きだなあ……。

 それにドラゴンも気が早いよ、わたしがアルスさんのお嫁さんだとか――ふふっ、照れるなあ。


「我の鱗も有効活用されているようで何よりだ。全く、そなたの過保護と溺愛振りには胸焼けがしそうだ」


 いえいえ、貴方の鱗で造られたアミュレットには、ほんと御世話になってます。


 それにしても、ドラゴンと知り合いってアルスさんすごいなぁ。


「うるさいな、あれでもまだまだ足りないくらいなんだよ」


 焚き火の照り返しか、ほんのり赤い顔をふいっと背けるアルスさん。えっ、うそ、もしかして照れてるの!?


 うわぁ、うわぁ! ケータイ! スマホ! ここが日本だったら絶対写メってるのに!! はっ、ていうかこれはわたしの夢なんだから、出そうと思ったらスマホも出て来るんじゃないの!?


「やれやれ。そなたは、いったい何から姫を守ろうというのだ?」


 ドラゴンが呆れたような声を出す。


 うん、それはね。貴方を始めとする魔王軍の皆さんとですね……。


 激レアなアルスさんを激写すべくスマホを操作しようとするのだけど、腕が重くて持ち上がらない。頑張って持ち上げたと思ったのに、何故か力なく敷布に投げ出されたままで。


「いくら強力な道具があったところで、目に見える攻撃からしか守れないじゃないか。それじゃ、全然足りないんだよ」


 胸がどきんと鳴った。


「あいつは、辛い目にあって、その上たった一人でこの世界に連れて来られて――でも、必死にそれを受け入れて前を向こうとしている。俺は、そんなあいつの力になりたいし、あいつを苦しめるもの、悲しませるもの全てから守ってやりたいんだ。そのためなら、なんだってできる――」


「此度の旅もその一環というわけか。ご苦労なことだ」



 ううん、――ううん、その気持ちだけで十分だよ、アルスさん……。



 アルスさんの想いの深さに、幸せな気持ちがじんわりと広がる。


 アルスさんが居てくれるから、守ってくれるから。この旅だって辛いなんて思わないし、日本に残して来た家族や友達のことだって……時々は寂しくて胸が痛むことがあるかもしれないけど、きっと、優しい思い出に変えていける。



 だから、大丈夫なの……――。



 ふふっと笑った――気配を察したのか、アルスさんとドラゴンが同時にこちらを振り向いて。


「ふむ、術の掛かりが悪かったか?――娘よ、しばし眠っておれ。そして……」


 ――――“忘れろ”と。


 僅かに爪を動かした。





 ――ふわりと意識が宙に浮いて、そして沈んで行く……。





 まるで鉱物のように無機質な()()()目が。



 興味無さげにわたしから外されて。



「そういえばお前、今日の()()、どうせ城にでも行ったんだろ。こいつらがわけの分からないことを言い始めて、ほんと面倒くさかったんだぞ。人騒がせな」



 待って。



 違うの。



「人騒がせとは、失礼なことを言うでない。そやつらのことなど知らぬし、城の者たちはみな歓待してくれたぞ。ああ、姫には手ずから茶と菓子を馳走になったな」



 そんな目で見て欲しいんじゃない、あの女性(ひと)みたいに優しく笑い掛けて欲しいの。



 これは夢なんだから、わたしの思う通りになる筈でしょう?



「それは自慢か? 勇者どものお守りでろくにサキに会えない俺への嫌がらせか? この場で叩きのめして向こう五百年分の鱗を剥いでやろうか?」



 だから、ねぇ、わたしを見て?



「おもしろい。やれるものならやってみるがよかろう」



 伸ばした筈の手はアルスさんには届かなくて。



 わたしは、夢よりももっと深い眠りへと落ちていく……。




 同時に、夢の内容もさらさらと零れ落ちていき……




 待っ……て……、ねえ待って――





 もっと――この夢を――――






 見て――いたい――覚えていたい――の――――…………
















スルメの唐揚げ



スルメっていうかイカの一夜干し?こむるはイカリングよりも好き。



材料:

・イカの一夜干し

・塩こしょう

・片栗粉

・油


作り方:

・イカを食べやすい大きさに切る。

・軽く塩こしょうを振って片栗粉をまぶす。

・油で揚げる。



メモ:


・フライや天ぷらにしてもおいしい。


・きっちり干したスルメでやる場合は水で戻すとかすればいいかも?


・片栗粉がつきにくいなら、水で溶いた小麦粉を使うとよいと思われる。


・しょうゆとマヨネーズとちょっとの一味唐辛子。これがマイジャスティス。





揚げ物つながりで、春の野草を天ぷらにする話。


こむるはユキノシタとヨモギの天ぷらが好き。ユキノシタは毒にも薬にもならない感じの味がよいし、ヨモギは紫蘇の天ぷらのキク科バージョンって感じで好きです。

タラの芽、コゴミ、ウドなんかももちろんおいしいけど、よし、天ぷらしよう。なんか種類を増やそう。って思ったときに、特別山に行ったりスーパーに行かなくても、庭のすみやその辺の畦道で摘んでこれる手軽さがよい。

季節が合えばフキノトウやツクシなんかもとれるわけだけど、フキノトウは見つけたときにはたいてい開いてて食べごろを過ぎてるし、ツクシははかま取りやアク抜きがめんどくさい。

つまり、ユキノシタとヨモギの手軽さには勝てない。


よく洗って水気をとった葉っぱ(柔らかい若芽がよいでしょう)に小麦粉をまぶして、天ぷらの衣をつけてさっと揚げる。紫蘇の天ぷらの要領で片面だけに衣をつけるとオサレ。


天つゆもいいけどシンプルにしょうゆだけとか塩だけ、抹茶塩も好き。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ