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蒐集少女の拾遺譚  作者: 伏見 七尾
Ⅰ.綺羅と累囚
12/58

10.

「ちょうどいい、せっかくだからこれ課題にしようか。はざまの中にある赤匣屋敷の探索。そしてできるならキラを持ってくること」

「か、課題って……」

「たまには先生らしい事しないとね。できなかったら夕飯抜きにするよ」

 めぐるは作業机に座り、ポケットからシガレットケースを取り出した。

 累は親指の爪を噛み、渋い表情で考え込んだ。

「いきなりそんなこと言われても……屋敷そのものがはざまの中にあるなら手の打ちようがない。私はまじないは得意だけど、そんな事は」

「いや、入れるよ。貴女なら。――これを使えば良い」

 細い煙草をくわえながら、めぐるは近くの棚から何かを取り出した。

 そして累の前に立ち、取り出した物を無造作に突き出す。

「これは……?」

 それは光沢のある黒いケースだった。ちょうど掌にのるほどの大きさだ。

 累は戸惑い、ケースとめぐるとを交互に見る。

「……いつになく、私に甘い気がするよ。なにか企んでる?」

「ちょっとだけ甘やかしたくなっただけ」

 めぐるはせかすように、よりケースを近づけてくる。

 累はおずおずと手を伸ばし、それを受け取った。重みはほとんど感じない。ひんやりとした金属の冷たさが掌に伝わってくる。

「蓋を開けて」

 ケースに顔を近づけて細部まで観察する累に対し、めぐるが命令した。

 累は警戒のまなざしを彼女に向ける。

「何が入ってる? 今までろくなものを受け取ったためしがないし、気になるんだけど」

「貴女に必要なもの。ほら、開けて」

 せきたてるめぐるの言葉ににやや眉をしかめつつ、累は恐る恐る蓋を開けた。

「これ、は――」

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