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急ぎおこして

「そうですか。私も、……ですよ。ラブレターを書き終わって、どう渡そうか悩んでいるところです」


 嘘ではなかった。嘘を吐いた訳ではないのだ。それでも、自分の事は騙し切れず、更に心が苛まれていくようだった。心が欲望と恐怖に蝕まれ、汚く染まってしまうようで、私は逃げ出したかった。だけど、道長様と向き合って、現実と向き合うって決めた。清少納言さんからも、逃げ続けてはいけない。

 もうちょっと、待って欲しかったけどね。今はまだ早いよ。先程勇気を振り絞って、道長様に謝ってきたところなんだ。すぐに清少納言さんの方にも謝りに行こうとは思っていた。私のタイミングで、せめて言わせて欲しかった。すぐに、ちゃんとすぐに行くつもりはあったんだ。だからちょっとだけ、あとちょっとだけ待って欲しかった。


「ああ、渡し方も大切よね。あたしの家で会議でも開く?」


 なんでもないように、言わないでよ。何もなかったように、言わないでよ。優しくされてしまうと、逆に苦しくなってくる。裏切りという罪が、より大きくなり私の上に伸し掛かるようだから。

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