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またさらでも
「紫式部ちゃんは、優しいし、皆に好かれていると思うぜ? だから自分でも自分のことを好きにならないといけない、な? な? だから紫式部ちゃん、自分を過小評価しないで。優秀さを皆認めているから、嫉妬なんてする訳がないし、嫉妬をしている方が筋違いだろ」
本心から言ってくれているとも思える程、道長様は自然な流れでそう言ってくれた。優しかった。彼は本当に優しかった。彼程の方なのだから、誰もに惚れられるイケメンなのだから、これくらいの事は言えて当たり前って事なのだろうか。私なんかに、そんな思いを抱いてくれている筈がない物ね。
過小評価なんかじゃないわ。このままだと私、自意識過剰になってしまいそうだもの。清少納言さんは私を過大評価している。そして道長様は、無駄に私へ期待を寄せてしまっている。私は二人が思っている程、優秀じゃないのに。私は二人に言って貰える程、私は二人に並べる程、優れた存在じゃないのに。文章力に自信があるとは言ったけれど、二人と並んではそうでもない。劣るとは言わないけれど、優っているとは言い難い。