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あらず

「……ぅっ、うぅ」


 いつの間にか、私は泣いていたらしい。パソコンの前、誰に見られる事もなく泣いていたらしい。それなのに、止まる事もなく動き続けているこの指が、もう憎いくらいだった。どんなに悩んでも書けなかったのに、どうしてこんなにもっ! こんなにも、流れるように書く事が出来るの……?

 今の私は傷付いている。フラレた訳でもないのに、恋が終わってしまったのよ。大切な人を、想い人と親友を、傷付けて嘘を吐いて裏切って。自らの手で初恋を終わらせてしまったのよ。それなのに、どうしてなのよ。自分に問い掛けるけれど、答えなんか返って来る筈もなかった。


「ごめん、なさい」


 私は謝るけれど、それを許してくれる声はどこにもない。優しい声はもうない。誤ってしまった私を、謝った私を、慰めてくれる人はどこにもいない。罪悪感から逃れたくて、この息苦しさを吐き出したくて、私は席を立ち窓を開ける。

 そこから吹き込んでくる北風は、私を冷ましてくれるのに丁度良かった。冬が近付いてくる、秋の終わりの風は冷たいけれど、今はこれくらいが良い。

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