表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/58

風の音

 もう今更、理想の姿を書ける気がしない。そろそろ、光源氏も限界なのかな。途中で彼はいなくなり、主人公を変えるのも悪くない。年齢を考えたら、亡くなっても可笑しくはないでしょう。今度は理想の道長様ではなく、実際の道長様の姿でも元にしようか。


「もう時間が時間ですし、帰らないと怒られてしまいます。家に帰ったら、早速藤原先輩のご意見を参考に、続きを書かせて頂きますね」


 時計を確認してそう告げると、逃げるように私は一人で帰宅した。道長様と一緒にいられる時間は幸せだし、彼とずっと一緒にいたいとも思っていた。それなのに、それなのに私は逃げ出してしまっていた。その行動が、私の気持ちを否定しているようで辛かった。

 確かに私は道長様に惚れた。彼の美しい佇まいに、そして彼の織り成す詩に、私は惚れた。だけどそれは彼の全てを見るに、少な過ぎる情報だった。本当の道長様は、私が思っていたよりもずっとずっと、温かくて優しくて素晴らしいお人。もっと、人間らしかった。幻想ではなく、彼は生きていたんだ。私が追っているものとは違った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ