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三つ四つ
ただ褒めるだけだったら、感想を言う人の語彙力さえ高ければどんなものだって構わないだろう。それでも道長様は、私が自分じゃ気付かなかった点を指摘してくれた。良いところも悪いところも、細かく指摘をしてくれた。
「続きは? 光源氏はどうなるんだろうか」
私がお礼を言って、嬉しさのあまり踊りたいくらいの気分にいると、道長様は不安気な声でそう問い掛けてくれた。この声に嘘はあるまい。きっと、本当に源氏物語を面白いと感じてくれて、光源氏がどうなるのか気になってくれているんだろう。
これだけ道長様が期待してくれているんだったら、がっかりで残念な終わりを書く訳にはいかないよね。他にも読んでくれている人はいるんだから、道長様だけを理由にするのもいけないけど。こうして天才的な才能を持った方に言われるのはまた別だし、それ以前に想い人の言葉は格別に決まっている。
「それが、思い付かないんです。それで続きをどうするのか、道長様にも一緒に考えて頂きたく思いまして。それと、助言なども頂きたいですし。時間があればで良いのですが是非」