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やうやう白く
「あたしさ、ラブレターとか書こうと思っちゃってる。文章力めっちゃあるし、文字も凄い上手じゃん? だからさ、ロマンチックにラブレター」
私は学校でラブレターの内容を考えていた。何を書こうか考えていた時に、そんな声が聞えて来た。
同じクラスの清少納言さん。運動も勉強も出来るとは聞かない。出来ないって話も聞かないから、普通なんだろう。彼女も国語が得意。作文の表彰とかで、結構一緒になったりする。
性格は余り好きじゃ無い。自慢ばかりしているからだ。それと、人の陰口ばかり叩くからそこも好まない。外見は綺麗な方だと思う。手入れのよく行き届いた滑らかな長い黒髪。吊り上がり気味の目に、お淑やかに笑う口に覗く八重歯。
そんな彼女がラブレターを? 自分大好きなのに、他人を好きになったりすることも出来るんだ。相手は誰なんだろう。彼女が好きになるってことは、相当素敵な方なんだよね。
もしかして、彼女も彼の事が? だとしたら、私じゃ勝ち目が無い。文章力で圧勝出来る相手でなければ、私の勝ち目は全く無いんだからさ。