1/58
春は曙
私の名前は紫式部、ごく普通の高校生。運動神経は悪いし、勉強も特別得意と言う訳じゃ無い。国語だけは得意と言えるけど、他は駄目駄目って感じ。
そんな私が恋をした。恋と言えるような物じゃ無いかも知れない。それでも、私の学園生活は一気に薔薇色に染まった。
彼は学園で一番の人気者。運動勉強は勿論、料理に絵に音楽に何でも出来る。妬むような人もいるみたいだけど、素直に尊敬する。見た目も良いし、優しいと聞く。
そんな彼と私じゃ、余りにも不釣合い。理解はしているけど、想いだけでも伝えたいと思った。
恥を掻くのは嫌。だけど私は、想いを伝えたいと思った。想いを伝えないといけない、勝手にそう感じていたの。
でも言葉で伝えるなんて無理。そんな勇気はどこにもないし、彼は忙しいからそんな時間はない。だから私は考えた。
この気持ちを文字にしよう、と。
唯一得意と言える、文章を書くことで伝えよう。
きっとその方が上手く伝えられる。
それにそうすれば、皆の前で恥を掻くこともないでしょ。
だから私は書くんだ。
”ラブレター”を。