クールチェンジ!、ポップチェンジ!
「えっ!?」私が見たのは、優しそうで、静かで、自信なさげなりりあだった。
「これが、もともとの私。」うつむきながら話すりりあは、まったくの別人。「ねえ、どういうこと?」「私は性格チェンジができるの。このコンパクトのおかげで。」
そういって、りりあはハートの形のコンパクトを見つめた。
「私は、いつも自信がなくて、弱虫で。いじめられてて、孤独で。だから、思ったの。もっと強くなりたい。と。そうしたら、次の日、ポケットの中にこのコンパクトが・・。願ったの。強くなりたい。ってそうしたら、あの自分ができた。」だんだん小さくなっていくりりあの声を私はよーくきいた。
「でも、あなたはちがう。普段の自分のことすら忘れてる。ごめんね。私のせいかもしれない。あんなこと言ったから。でも、ああするしか・・・。」
「えっ?あの、よく聞こえないんだけど。」
「つまり、その、このコンパクトがあれば。」
りりあがコンパクトを手でおさえた。
【ブラックチェンジ~】
「性格がかわるのよ!わかったかしら?」
今度は、自信たっぷりのりりあに変身。
「えっ?わかったけど、なんで私にその説明を?」
「あんたが性格チェンジしてるのにきづかないから、いってるんじゃない!」
「わたしが?」
私は、自分の持っているコンパクトを見た。
「わかった。やってみるよ。」
私は、コンパクトを手で胸に押し当て集中した。そして不思議とこの言葉がでてきた。
【ポップチェンジ。】
「うん!思い出した!」
元気な私の声。すべて思い出した!自由帳がやぶかれたことも・・。
「その暗い顔は何?ポップチェンジじゃないの?元気なあんたがだいなしよ!ごめん。あの自由帳は、私がまったく同じのを買ってきたやつ。これ、あんたのよ。あと、ばかみたいッていうのは、その、ばかみたいに元気で、う、うらやましいっていうか、と、とにかく演技よ。」
「自由帳・・・。私の!私の自由帳!でも、どうしてあんなことを?」
「私の思った通りだわ。らら、あんたには性格チェンジのにおいを感じたのよ。」
「私に?」
「そう、それもプンプンね・・・。性格チェンジは、あるきっかけで出来るようになるの。あなたの場合、ああにでもしないとずっと、クールチェンジをねむらせたままになっていたわ。」
「よかった♪本当にやぶれたのかとと思ったよ。」
「いくらブッラクチェンジの私でも、そこまでしないわ。正直、あんたがあそこまで落ちこむとは、思わなかったわ。」
「だって、この自由帳、みんなからお別れのメッセージがかかれてるんだもん。」
私は、自由帳をうけとると、胸へおしあてた。とーーーても、ハッピー!
「でも、私のなかに、ちがう自分がいるなんて。」
ウキウキするような。不安のような・・。
「ちがう自分?そんなのいないわよ。ららはらら、性格がかわっても、同じ自分よ!」
りりあちゃんが私を指して言った。
そうだね!りりあちゃんだって、私だっていうことは、ぜーたい変わらない。私のコンパクト。これが私!