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R大学の相撲部員たちも退場したところで10時から競技スタート! 1回戦の組み合わせは以下の通り。トーナメント方式となっているので例えば開幕の山口対岡島の勝者は正野対村松の勝者と対戦と言った風になる。
山口和菜・鳥羽西小 VS 岡島弘子・鳥羽西小
正野小春・南王路小 VS 村松美羽・高玄寺小
竹下瑞穂・鳥羽西小 VS 夏川あずさ・藤野小
黒崎凪沙・高玄寺小 VS 藤森千夏・鳥羽西小
伊藤愛乃・鳥羽西小 VS 小田島詩織・御園原小
山根美優・南王路小 VS 渡辺凛・御園原小
松井康彦・住吉北小 VS 塚山柊・左近東小
梶潤一郎・鳥羽西小 VS 吉田翔大・高玄寺小
藤本健太・鳥羽西小 VS 小林比呂矢・奥の社小
谷井優仁・住吉北小 VS 梅垣空澄・高玄寺小
奥西将大・南王路小 VS 鳥居駿・左近東小
門前永時・御園原小 VS 武田咲希・藤野小
脇屋輝夢・南王路小 VS 原亮輔・住吉北小
加藤孝太・鳥羽西小 VS 佐野正頭・奥の社小
玉野一行・南王路小 VS マクレーン龍児・藤野小
宮上昂心・左近東小 VS 赤井羽留馬・鳥羽西小
1回戦第1試合 山口和菜 VS 岡島弘子
山口ちゃんはおかっぱが印象的な女の子。まったくやる気のない表情のまま土俵に上がった。岡島ちゃんはポニーテールが印象的だが体格は明らかに上。目つきも割とどっしりとしており「多分こっちが勝つだろうな」とは一見してすぐに思えた。
果たして、取組では組み合ってすぐにグルグル回されて山口ちゃんは倒された。しかし取組前と同じような表情のまま、「あーあやっぱり負けちゃったわー」と言わんばかりにあっけらかんと一礼すると、さっさと土俵から去っていった。おそらく山口ちゃんの人生に相撲が関わる瞬間はもう金輪際ないであろう。そして本人も今日の取組などすっかり忘れて生きていくのだろう。それもまたひとつの人生である。
1回戦第2試合 正野小春 VS 村松美羽
正野ちゃんは小春と書いてうららと読むらしい。山本リンダの例の曲が脳内で流れる。村松ちゃんはポニーテールを止めていたプラスチックの飾りがささると痛そうなので外された。取組はともに決定打が出ずに長く続いたが、最後は正野ちゃんが倒れこむようにして村松ちゃんに土をつけた。
体格は互角、技など知っているはずもない。そうなると本当に力と力の対決になるというか、グダグダな戦いが繰り広げられる。これは特に1回戦において何度か繰り返されたものだ。
1回戦第3試合 竹下瑞穂 VS 夏川あずさ
竹下ちゃんはおかっぱに近い髪型をしている子だった。ほっそりとした体つきにくりくりとした目はなかなかにかわいいものがある。対する夏川ちゃんは2本のおさげが特徴で、全体的にパーツが細長いという印象を残す。ちょっとお姉さんっぽいと言うのだろうか。
取組はそれなりに長く続いた。やはりともに決め手を欠いた展開だったが、竹下ちゃんの投げを夏川ちゃんがこらえたりと見所はそれなりにあって場内は拍手で満たされた。何度かグルグル回った末に最後は夏川ちゃんが竹下ちゃんに投げられた。倒された際の当たり所が悪かったのか、夏川ちゃんは目に涙をためていた。やっぱりまだまだ子供だからね、痛ければ泣けばいい。
1回戦第4試合 黒崎凪沙 VS 藤森千夏
藤森ちゃんはそれまでの子とは全然違う雰囲気の持ち主だった。とにかく目つきからして本気度がマックス。その鋭さはまさに野獣の眼光。短く整えられた髪形もアスリートのそれを思わせるりりしさをたたえていた。黒崎ちゃんは明らかにやる気がない、あっけらかんとした目をしている。
勝負は一瞬だった。藤森ちゃんの猛攻の前に黒崎ちゃんはなす術もなく後退、そしてあっさり寄り切られた。迫力が違うのでこの結果も予想通りと言える。というか藤森ちゃんはかなり強い。優勝候補なのではないか。
1回戦第5試合 伊藤愛乃 VS 小田島詩織
あんまりやる気のなさそうな2人の取組。伊藤ちゃんはポニーテールを止めるピンク色のリボンがアクセントとなっていた。小田島ちゃんは少し茶色がかった色の髪の毛が特徴的で、ふわふわとした存在感のあるかわいい子。
取組は小田島ちゃんが勝利したのだが、正直なところどんな戦いだったかちっとも覚えていない。割とあっという間に終わった気がする。一番頭に残らない取組だったと言える。
1回戦第6試合 山根美優 VS 渡辺凛
山根ちゃんは明らかに華奢だし渡辺ちゃんは明らかにデブ、じゃなくて立派な体格をしている。という事で取組も渡辺ちゃんがグイグイ押しまくっているところで山根ちゃんのひざがついてしまい終了。柊君が勝ったら次の次はこの子かあとか皮算用をしてみた。
そして目当ての柊君はこの取組の後だ。「東ー、松井康彦君」と行司役のおじさんが呼びかけると、土俵の外から元気よく返事が返ってくる。同じように「西ー、塚山柊君」と行司が呼ぶ声に負けないように「はいっ!」と手を上げて土俵に上がった私の柊君。頑張れよ。
1回戦第7試合 松井康彦 VS 塚山柊
まずは柊君のスペックについて説明したい。柊君はざっと見たところ他の子と比べてもまったく引けを取らない、とは言っても決して巨体ではない程度の体格である。要は普通だ。つり目の猫目はパッチリとしていて、何かをたくらんだ時のような、にやりとした笑みがとてもいい。それに何よりすばしっこい。一緒に遊んでいてもいつの間にか消えてたりするやっかいな子だ。松井君はやや小柄でやる気もあまりなさそうだった。
取組はすぐに終わった。柊君が押して押して押して終わり。松井君はあっという間に土俵の外へと押し出された。そんきょして勝ち名乗りを受ける柊君は喜色満面。土俵に下りてからも同級生とハイタッチをして喜びをあらわにしていた。
1回戦第8試合 梶潤一郎 VS 吉田翔大
梶君は丸坊主にほっそりとした体つきが印象的な子。対する吉田君はまったくもって恵まれた体格を有しており、すでに腹がブヨブヨと揺れていた。体格だけですべてが決まるわけではないが、ここまで差があるとさすがに決定的ではないか。
そして取組、意外と梶君が粘った。しかし最後は吉田君に掴まれて、体格の差から押し倒された。これは梶君健闘と言えるだろう。そして吉田君は恵まれた体格を持ちながらおつむのほうはやや不安ありと見えて、勝ち名乗りを受ける前に土俵を下りて審判に指摘されるという一幕も。存在自体が強い相手だが、柊君にも勝ち目がないわけではないはずだ。
1回戦第9試合 藤本健太 VS 小林比呂矢
藤本君もかなり立派な体格をしている。直前に出てきた吉田君に勝るとも劣らない立派な腹だ。それに加えて動作もきびきびとしている。小林君はほっそりした体つきだが芯の強そうな目つきをしている。それと色黒が印象的。
取組の序盤は小林君が勢いよく前に出ていて有利に見えたが、しだいに藤本君が本領を発揮してきた。土俵際まで押されるがそこでよく粘る小林君。このまま寄り切られるかというところでうまく体勢を変えて踏ん張るなど、観客の拍手を何度か誘った。熱戦の末に最後は崩された小林君だが、根性を見せてよく健闘した戦いだった。
1回戦第10試合 谷井優仁 VS 梅垣空澄
谷井君はぼーっとした雰囲気が漂う小柄な子。梅垣君の名前はこれであすむと読むらしい。子供たちの名前は「なるほどこう読むのか」という子も確かにいるが決してそればかりではない。まあ慣れてくれば相当突飛なもの以外は何でもなくなるだろう。しこ名だってそんなもんだ。勝の字を「と」と読ませたり、バルトだのセントルイスだの出身地で決めたりまあやりたい放題よ。
さて取組は、組んでいる内に谷井君が膝をついてしまったので梅垣君の勝利となった。「ええっ、これで終わりなの?」という微妙な空気が漂う。まあこんなこともあるよね。大相撲じゃないんだし、全部が全部エンターテインメント的に許される結果とならないのは仕方ない。
1回戦第11試合 奥西将大 VS 鳥居駿
奥西君はさっぱりとした短髪の子で、体格は普通と言ったところだが、対する鳥居君がかなりほっそりとしているので相対的にごつく見える。鳥居君は髪の毛が長くて目もぱっちりとしていて女の子のようだ。
細い手足を折りたたんで構える鳥居君の姿は私に一茶の句を浮かばせた。そして取組は双方がグルグルとよく動く、なかなか見ごたえのある戦いとなった。単なる力比べよりも、縦に横にと動き回ったほうがダイナミックに見えるというものだ。最後は鳥居君が自分より大きな奥西君を土俵際で倒した。天晴れ。やせガエルの意地を見せてくれた鳥居君に、私は惜しみない拍手を贈った。
1回戦第12試合 門前永時 VS 武田咲希
門前君は明らかに強豪であると断言できるオーラを体中から発していた。体格の立派さもさることながら、目つきが藤森ちゃんと同じで鋭い。ただ大きいだけでなく、動作がきびきびしていて知性さえ感じてしまうほどだ。武田君はこれでしょうきと読むらしい。
そして門前君はやはり強かった。彼の母親と思しき女性が私の後ろで応援していたが武田君をさくっと倒すと「やったー!」と狂喜していた。それにしても、私は一番後ろに並んだはずなのにいつの間にか私の後ろにまた列が出来ているな。今は二重ってところだが、まだまだ観客は増えていきそうだ。
1回戦第13試合 脇屋輝夢 VS 原亮輔
脇屋君は1年生で唯一本物のまわしを締めている。何か道場みたいなものに入っているのだろうか。やはり体操服の上に履いたものより強そうに見える。体格もなかなか立派だ。原君は体格は普通で天然パーマ気味の短髪が特徴。
取組は意外と勝負になったのだが最後は脇屋君が実力を見せた。さすがまわしを締めているだけある。まあ逆に言うとまわしを締めるほど気合が入っていながら1回戦負けはちょっとね。ともすると単なる押し合いへし合いになりかねないこの年代の相撲だが、脇屋君はしっかり相撲を取っていたあたりはさすが。
1回戦第14試合 加藤孝太 VS 佐野正頭
加藤君はほっそりとしたやせガエル。佐野君はデブというほどではないがかなりしっかりとした体格をしている。取組ではなぜか巻き起こるコータコール。同じ小学校の子が多いので必然的に多く応援されるのだ。女の子たちからも黄色い歓声が飛び交っているのはちとうらやましい。
四面楚歌な佐野君だがよく粘っていた。加藤君は何度か投げを試みたが通じない。体格が上の佐野君は押してくるがこれも決定打にはならない。土俵が大きく見える。そのうちに行司が腕時計をちらりと見た。そして組んでいる2人に割って入った。制限時間を越えたため取り直しとなったのだ。第15試合が終わった後で改めて対戦となる。万雷の拍手が2人の勇者に贈られた。
1回戦第15試合 玉野一行 VS マクレーン龍児
マクレーン君はその名前の通りハーフの子らしい。ナチュラルな茶髪に加えて肌の色もやや白っぽくて掘りが深い。玉野君は特に特徴のない小さな子だった。明らかに前みつの部分がゆるゆるだなあと思ったら案の定立ち合いの前、行司に締め直されていた。
取組はマクレーン君が一気に押しまくって一瞬で勝負がついた。間違いなく最初から決めていたのだろう。とにかくためらいのないぶつかりが印象的だった。そのスピードの鮮やかさは私も思わず見とれてしまうほどであった。
1回戦第14試合 取り直し
加藤君と佐野君の戦いは第2ラウンド。しかしこの取組は大方の予想を裏切って佐野君のワンサイドゲームとなってしまった。佐野君の速攻に加藤君はされるがまま、あっという間に押し出された。体力がすでに尽きていたか。加藤君お疲れ様。
1回戦第16試合 宮上昂心 VS 赤井羽留馬
宮上君は丸っこい顔が特徴的だが体格は普通。赤井君は髪型が何と言うか、刈り上げに上部は茶髪に染めていてハンバーグのようなものを形成していた。赤井君が悪いのではないが何となく宮上君を応援してしまった。よく見ると柊君の同級生だし。
取組は赤井君のほうが常に優勢でガンガン押していた。そしてその勢いに屈したように宮上君は膝をついてしまい勝負あり。残念ながら実力に差があった。やはり攻める気があるほうが勝ちに近づけるものだ。




