はつこい
初めて書いてみました。読んでいただけたら嬉しいです。
同じクラスでもなくて。
ただ、放課後の部活動の姿や、教室の窓から見る姿で、
なんだかとても気になっていた。
はじめて彼を知ったのは、高校に馴染み始めた5月。
部活動の時間だった。
拾い損ねたテニスボールを追って、私は体育館の入り口まで来ていた。
先輩、スマッシュ決める方向くらい考えてください…
なんて頭の中で文句を言い募りつつも、ダッシュで追いかける。
黄色いボールは、誰かの足に当たって止まった。
当たった本人がすっと屈んでボールを拾ってくれる。
ボールにばかり目が行っていた私は、ボールが拾い上げられていくのと同じスピードで視線を上げていく。
背の高い、男の子。
175㎝はあるかな。すらっとしている。
愛想のよさそうな感じではないけれど、整った顔立ち。
同級生…かなぁ?
そんなことをぼんやりと考えていたら、彼は私とボールを見比べるようにしてから、
「はい。」
と手渡してくれた。思いがけず爽やかな笑顔付きで。
「ありがとうございます。」
私も笑顔でお礼を言って、ボールを受け取り踵を返した。
ボール拾いをしながら何気に観察してみると、どうやらバレー部の1年生らしい。
私と同じクラスの男の子と一緒にいたから。
接点はただそれだけだった。
私は2組、彼は5組。教室もビミョーに間があいてる。
友達情報網を駆使してわかったことは、私の隣校区の中学出身で、校区は違うけれども私の家とは隣の町で、家も意外と近くてバス停も同じ。勉強もできるらしい。運動神経もいいらしい。ということだった。
彼を好きだという子も、何人か知った。
でも、やっぱりそれだけ。
何の接点もない私たちはそれ以上進展するはずもなく、廊下ですれ違う時になんとなくペコリと挨拶するくらいで。
ただただ何気なく時間は過ぎてゆき、それでも私たちはつながることなく、進路も全く違う学校へ。
いつしか彼の話も聞かなくなった。
偶然にも出会うことすらなかったから、心の奥底にしまいこんだ。
そんな彼に久しぶりに会ったのは、大学も卒業して社会人になりたての頃だった。
通勤のためにバスを待っていたら彼がやってきたのだ。
彼は自転車に乗っていた。
駅まで自転車で行くのか、はたまた会社まで行くのか、私にはわからない。
すれ違う刹那。目が合った。
私にははっきりと彼を認識できるけれど、彼にしたら私なんて「どこかで見たことのある子」か、下手したら「じろじろこっちを見る変な奴」くらいなんだろうな。
記憶に残っていたら、うれしいけれど。
目が合って、なんとなく、どちらともなく軽くペコリと挨拶する。
なんだか懐かしかった。
去っていく彼の後姿を見ながら、切ないけれど少し心が温かくなった。
彼って、やっぱり私の初恋の人なんだなぁ、と。
他の人を好きになり、付き合ったりもしたけれど、やっぱり彼のことは忘れたことはなかった。
見つめるだけしかしなかったからか、心の中できれいな思い出のまま。
あれから何年経ったのかな。前よりもっとかっこよくなったね。
心の中で、そっと話しかけた。
それから何度もバス停で出会ったけれども、やっぱり私たちはそのままで。
軽い挨拶をして終わり。
それもいいか、と思えてる。
「初恋は実らない」って歌詞を、どこかできいたことあるよなぁって、ちょっと笑えた。
拙いお話ですが、読んでいただいて、ありがとうございました。