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弱い僕と『先生』

作者: 史町
掲載日:2026/05/13

先生と一緒に働きたかった、弱い少年。

小説家になるため先生をやめる新米教師。


すれ違い、それでも彼は。


小説家になろう公式企画、テーマは『仕事』、参加させていただき、ありがとうございました。

『生徒の皆、おはようございます。桜です。

まさか、学校の桜を見れなくなるなんて。

けど、小説の賞を受賞したので、私の夢を綺麗に咲かせていきたいと思っています。

2年間、先生の経験も2年間だけでしたが、本当に、本当にありがとうございました』


微笑みながら、壇上で頭を下げる先生。拍手をする生徒や先生たち。


小説家になれる確率は低い。だから、賞を受賞してデビューするのは先生にとって誇らしいことなんだろう、僕たち生徒たちも誇らないといけないんだろう。


けど、僕は喜べない。

失ってしまったから。

憧れの桜先生と一緒の高校で働く、という夢を。


3年生になるから必死に勉強しようと決めてたのに。




「先生、僕はどうすればいいんですか?」

離任式直後の体育館、僕は桜先生に聞く。

「最後の悩みだね、ユウくん」


いつものように、困り顔をさせてしまっている。

この高校に入り、約2年間、毎日のように僕はこの人に悩みを相談していた。


「僕は、桜先生としか話せません。

なのに、なんで小説家に」

「そうだね、ユウくんは本が大好きで、人と関わるのが苦手だよね。

でも、だからこそ、私は小説家になりたかったの」

「どういうことですか?」

涙を流しそうになりながら、僕は聞く。

小学生みたい、自分でも高3になる奴とは思えない。小学生で止まっていたんだ、桜先生のおかげでゆっくりと進めていたのに。

「ユウくんみたいな人たちを救いたいって思ってる」

いつものように優しく、応えてくれる。

「私の力で、ユウくんみたいに、何かに困っている人を、1人でも多く救えたら、素敵だなって」

なぜか、先生がいつもよりも輝いて見えた。




そして、1人になる。

「僕は…」


桜先生と一緒に働くという夢は終わってしまった。僕は小説家になれる気はしない。確率は低いから。


でも、桜先生のように、教師になって、僕みたいな人を助けたい。


教師になるのも大変だけど、だからこそ高校生最後の年を頑張ろう。


1人だけど。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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