弱い僕と『先生』
先生と一緒に働きたかった、弱い少年。
小説家になるため先生をやめる新米教師。
すれ違い、それでも彼は。
小説家になろう公式企画、テーマは『仕事』、参加させていただき、ありがとうございました。
『生徒の皆、おはようございます。桜です。
まさか、学校の桜を見れなくなるなんて。
けど、小説の賞を受賞したので、私の夢を綺麗に咲かせていきたいと思っています。
2年間、先生の経験も2年間だけでしたが、本当に、本当にありがとうございました』
微笑みながら、壇上で頭を下げる先生。拍手をする生徒や先生たち。
小説家になれる確率は低い。だから、賞を受賞してデビューするのは先生にとって誇らしいことなんだろう、僕たち生徒たちも誇らないといけないんだろう。
けど、僕は喜べない。
失ってしまったから。
憧れの桜先生と一緒の高校で働く、という夢を。
3年生になるから必死に勉強しようと決めてたのに。
「先生、僕はどうすればいいんですか?」
離任式直後の体育館、僕は桜先生に聞く。
「最後の悩みだね、ユウくん」
いつものように、困り顔をさせてしまっている。
この高校に入り、約2年間、毎日のように僕はこの人に悩みを相談していた。
「僕は、桜先生としか話せません。
なのに、なんで小説家に」
「そうだね、ユウくんは本が大好きで、人と関わるのが苦手だよね。
でも、だからこそ、私は小説家になりたかったの」
「どういうことですか?」
涙を流しそうになりながら、僕は聞く。
小学生みたい、自分でも高3になる奴とは思えない。小学生で止まっていたんだ、桜先生のおかげでゆっくりと進めていたのに。
「ユウくんみたいな人たちを救いたいって思ってる」
いつものように優しく、応えてくれる。
「私の力で、ユウくんみたいに、何かに困っている人を、1人でも多く救えたら、素敵だなって」
なぜか、先生がいつもよりも輝いて見えた。
そして、1人になる。
「僕は…」
桜先生と一緒に働くという夢は終わってしまった。僕は小説家になれる気はしない。確率は低いから。
でも、桜先生のように、教師になって、僕みたいな人を助けたい。
教師になるのも大変だけど、だからこそ高校生最後の年を頑張ろう。
1人だけど。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!




