第九話 ナコビ
夜が明けルーデンとヤゴリ達の雷狸族が他の種族たちを探しに行って数時間。何か見つけたようで帰ってきた。帰ってはきたのだが・・・。
「ルーデンどうしたの?」
「いや、それが・・・他の種族を見つけたのは見つけたのですが、何せ雷狸族との相性は絶妙に悪い種族でして・・・。力は雷狸族に劣らず強いのですが。」
「と言うと?何の種族なの?」
「狐火族でございます。その長、ナコビはヤゴリ同様、私と同等の力の持ち主でございます。戦力にはなるかと・・・。ですがあの調子でして・・・。」
と指さされた先にはヤゴリと狐らしき獣人が。この人がナコビか。狸と狐、道理で仲が悪いわけだ。こっちの世界でも同じという訳だな。
「はいはい、そこまで!仲が悪いのは分かるけどちょっと待ってね。」
「ルーデン!ヤゴリ!もはや人間族と手を組んだのか!見損なったぞ!かつては共に戦ったのも忘れたか!?」
「ナコビよ、ようく見てみろ。オべリス様は人間だが違うのだ。味方なのだ。その纏っている魔力をよく見てみろ。」
「何を言うかヤゴリ!?お前の目はクズになったか!?」
「いいからオべリス様をよく見てみろ。」
と言われてナコビはこちらをじーっと見てきた。と同時に、一瞬にして厳戒態勢をとった、ように見えた。
「な、なんだこやつは!?本当に人間なのか!?ヤゴリ、ルーデン、こやつは何者だ!?人間ではない!化け物だ!?なんてものを連れてきたんだ!?」
「まぁ落ち着けナコビ。オべリス様は味方だと言ったであろう。確かに見た目は人間だが魔力量と言い、何とも言えぬ力と言い、人間離れしておるが、我々の味方であることには違いない。一緒に人間族を滅ぼしてくれると言ってくれし、この魔族領も発展させると言ってくれた。」
そんなこと言ったか?まぁいいけど。
「何?それは本当か!?そ、それは失礼した、オべリス殿。この魔族領を守ってくれるのですか?」
「そうだよ。まぁそのために異世界から来たと言ってもいいかな。」
「異世界だと!?異世界の御仁だとは知れず、失礼いたしました。うらはナコビ。狐火族の長をしております。」
「うん!よろしく、ナコビ!それで他の仲間たちは?」
「ほらみんな、出てこい!大丈夫だ!」
とナコビが言うと、物陰から50人ほど出てきた。雷狸族と同じくらいか。狐姿の者もいるし人に近しい者もいるようだ。
「ナコビよ!お前もオべリス殿にテイムしてもらっては?わいも雷業に進化したのだ!」
「なんだと!?雷業なんぞ見たことないぞ!?オべリス殿!うらもテイムしてください!」
「えぇー、ほんとにいいの?」
「いいのです!この地や種を守れるなら、長としてその力を頂戴したく!!」
「うーん。わかったよ。」
血を一滴、ナコビに与えた。するとナコビは光だし、そして業火に包まれ、今までの風貌より変化し少し人間よりに、狐耳獣人へと化した。狐耳の美人で見とれてしまう。
「こ、これは!?またもや!?狐火族でも稀に見られる火の妖精に似た姿!?これは燐業(りんわい)でございます!私の時とヤゴリの時と言い、またもや進化したというのですか!?」
「そうなの?まぁ確かにさらに美人になったけど・・・。」
「オべリス殿。この力、あなた様のため、この地のために使わせていただきます!」
「うん、よろしくね!それじゃ魔王城の余ってる部屋使っていいから!」
「よろしいので?」
「わいらも使っておる。オべリス殿は寛大なんだ!」
「ありがとうございます。それでは皆で使わせていただきます。」
と言うと、ナコビ率いる狐火族は部屋へと納まった。
昨日今日とで2種族増えた。どれくらい種族がいるんだろ。多いに越したことはないが。ルーデンに明日聞いてみよう。
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