第十一話 2人の帰還
翌日。『ミナカ』と『アシカビ』が1つのお札が無数に貼ってある球体と黒い棺桶をを持って帰ってきた。
「主よ、ご所望のヤマを柊様から預かって参りました。」
「2人ともよく戻ったね。これが、ヤマかい?」
「はい。柊様曰く、魂の状態とのことで重々大事にとのことです。それで、器が必要だと。こちらの棺桶にその器が入っておるようです。」
「僕と同じパターンか。なんの器だろうか。とりあえず魂を入れてみようか。ありがとう、君たちは下がっていいよ。」
「御意。」
「『復せよ』。」
そう唱えると、黒い棺桶から一体の鬼人が現れた。元はなんの体かは分からないが、とりあえず魂を入れてみることにした。
「『入れ』。」
ヤマの魂は、その球体のお札が徐々に剝がれていき、赤色の魂が顕になった。そしてすーっとその鬼人の体に入っていった。成功だろうか。
「ヤマ、目を開けよ。」
「ここは・・・。私は・・・。死んだはず。」
「やぁ初めまして。僕はオべリス。君はヤマだね。」
「これは一体どういう状況なのでしょう?」
「柊さんが僕によこしてくれたんだよ。どうやら君は生まれ変わった。死んだことは覚えているようだからね。死んだ後のことは覚えているかい?」
「柊殿が・・・。確か・・・寺で罪人を裁いていたような、そんな仕事をしていたような・・・。すみません、記憶が曖昧で。」
「まぁしょうがないよ。たぶん、その記憶は確かだよ。君は一度死んで、冥界で罪人を裁く仕事をしていた。それは間違いないと思う。今度はその力を僕のために使ってほしいんだ。頼めるかな。」
「柊殿の頼みとあらば。オべリス殿が主人でよろしいか?」
「うん。僕が主人だ。僕も柊さんからここに転生させられた身だよ。」
「なんと!?同じ境遇だとは。それならば貴方に使えましょう。」
それからこの世界のことをヤマに説明し、人間を裁くという任を与えた。
「がしかし、ここはなんとも珍妙な場所ですなぁ。以前いた世界とは全く違う。」
「まぁ異世界だからね。あ、そういえば前居た頃の力は使えるかい?」
「やってみましょう。『出てこい、お前達』。」
というと3つの物体が現れた。それは僕が聞いたことのある物と同様の物だった。
「紹介します。これが私の仕事道具たちです。檀荼幢、浄玻璃鏡、業秤でございます。」
「これが噂の!実物見るとなかなかなものだね。」
実際に見る道具はなかなかの一品だった。浄玻璃鏡を覗いてみると、前世の僕が映し出されていた。間違いない。噂通りの物だ。
「道具もよし。あとは君の体だね。鬼人の体を柊さんは用意してくれたみたい。どうだい?」
「なぜか以前の者よりもしっくりきております。有り難き幸せでございます。」
「力は?魔力とか?どう?」
僕はヤマの力に興味津々だった。
「冥界にいた10人分の力が私に凝縮されているようです。それから、以前の召使いを使えるようで。」
「10人分ってことは1人でこなせるってことか。柊さんもえげつないことするなぁ。召使いって召喚ってことかな?」
「左様で。私の仕事仲間とも言うべき存在でございます。」
「それは知らなかった。また今度紹介してね。」
「勿論でございます。それで、あのぅ、オべリス殿。私が働く場所はどこでしょう?」
「あぁそれがまだなんだよ。いずれはこの魔王城を立て直す予定なんだけど、ヤマの仕事場、どこがいいかな?」
「私が決めていいので?」
「仕事場くらい決めさせてあげるよ。まぁそこはホワイトに!」
「有り難き幸せでございます。それでは新しくなる魔王城の地下をお借りしたく。」
「地下か。そうだね、そうしよう!まぁ魔王城をどんな風にするかまだ決まっていないんだけどね。ヤマの案もまた今度教えてよ。」
「御意に。」
「それから、この世界の仲間を紹介しないとね。」
僕はルーデンとゴブリン達、3種族を集めた。
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