9話 さて、どうしようかな。
およそ一週間が経過した。特にそれといって特別なことが起きたことはないが、ちゃっかり情報を聞いていた。
細川さんの友達に噂好きな前川さんという人がいるのだが、その人にあのクソガキの浜口について聞いてみた。興味あるの?ってちょっとからかわれたような気がするが。
どうやら奴は私の思惑通り細川さんのことについて興味を持っているらしい。
正直な話どうでもいいと心底思うのだが、奴にあの可愛らしい細川さんを近づけさせるの危険だと思う。
ここは一回痛い目にあってもらうしかないな。
という訳でいままたゲームを開いて痛い目にあってもらう(おちょくる)ためにゲームを開いている。ロビーに招待したら意外とすんなりと入った。
今回は浜口一人だけである。その代わりにある人を呼んでおくことにしておく。
「なんで前逃げたんだよ!てか女なら先言っとけよ!クソが!」
おお、最初から飛ばしますね〜。
こちらはもすでに声でびっくりさせる大作戦は使ったので、最初からvcはオンにしておく。
「そうでしたね。すみませんでした〜。でも最初からvcで知らない人に暴言を吐くのはやめときましょうね。ネットデリラシー学びましょうね。」
「うるせえから早く始めるぞ!今度はボコボコにしてやる。」
「あ、ちょっと待ってください。友達がいるのでちょっと一緒にしてもいいですか?」
「別にいいけどへまするやつならボコボコにするからな。」
「はいはい。あとこの子はvcオンにはしないので気を付けて下さい。」
「また心臓に悪くなるようなことはないよな。」
「そんなこと頻繁に起こりませんって。」
まあ、これからびっくりしてもらうんだけどな。
こうして一試合目が始まった。相変わらず上手くないくせにイキってるな〜と思いながら、全開に暴言を吐いてるのを見てるのが面白くなった。中身が誰かわかってない癖に。
最初は私に暴言を吐くことが多かったが、決定的なことがあった。すこしもう一人の子が倒すのに手間取ってクソガキがやられてしまったのだ。
クソガキが射戦管理を一切せずに突っ込んでいったのをもう一人の子が合わせてあげたのにブチギレていた。
「ちゃんと倒せよ!弱いくせに。ヘイト買ってあげてんだから倒しきれよ!」
流石にキツすぎるんじゃなかったと思ったので、
「さっきの言葉覚えてます?初対面の人に暴言吐くのはやめてください。」
「うっせえ。負けるほうが悪いんだ。雑魚がよ。」
はい。あいつこれからの居場所なくなったな。
「え、いつもの浜口くんと違うよ。なんか怖いよ。のあちゃん。どういうこと?」
「え...」
アホな奴があんぐりとした様子である。だから節度を守れっていったのに。
そう。細川さんを実は誘っていたのだ。前の約束も兼ねて。こんなふうに利用してすまんな。
立場がなくなったのか気まずくなったのかすぐに抜けていった。逃げてんのはどっちなんだか。
「ありがとうね。前たまたま会ったときに暴言吐きまくっていたからからって協力してもらって。」
「全然良いんだよ。で、これに関しては何も言わない約束だよね。」
「そうそう。本当にごめんね。好きで暴言言われたい人なんていないだろうし。」
「そんなに謝らなくたって。いいよ。」
「その代わりの見返りがあるから引き受けたこともあるけどね。」
そう、これから絶対に他人行儀にならないように敬語を使うなというルールを与えられた。別そんなのすぐに変えられるからいいが。
「大丈夫。ちゃんと覚えてるから。」
「じゃあ、気分転換にまた二人でしますか!」
「だね〜」
ちょっと気の毒に思いながらも面白いと思ってしまうのがちょっとクズだなと思った。
希空、お前、意外と鈍感じゃない系だな!(多分今後鈍感になるかも。)