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094話 緊急指名依頼の報告で。

【基本一日置きで夜の18時に更新します】

どうぞ、よろしくお願いします。


 

 そして4人となった僕たち『ひとつの足跡』はこのヨンバーンメの街の冒険者組合に向かうのであった。

 建物はすぐに見つかった。

 見慣れた剣と槍と盾の混ざった図案の看板が目立つからだ。

 そして建物はさすが大きな街の組合事務所なので3階建てで大きかった。




「やっぱり大きいわね」




「そうですねっ。テプ村にあったのは出張所ですから、やっぱり支部は大きいですっ」




「そうじゃのう。出入りしている冒険者の数も多いのう」




 そうだった。

 エリーゼ、フラララン、タマユラの感想は僕も同意だ。

 やっぱりそれなりの規模の街となると、冒険者組合の建物は大きいし、それを利用する冒険者の数も多いのだ。




 そして僕たちは扉を開けて中に入った。

 通常、冒険者組合は朝と夕方が混む。それは朝は依頼を受ける冒険者たちが多く、夕方は受けた依頼の報告や素材の買い取りなどで賑わうからだ。




 そして今は昼。

 普通ならガラガラな状態なのに、ここの冒険者組合は混んでいた。

 やはり街の規模が大きいと依頼の数や種類も多いので依頼票が張り出される回数が多いのだ。なのでこの時間でも新規の依頼が提示されることもあることから日中でも訪れる人が多いのだろう。




 僕たちは受付窓口へと並んだ。

 まずは行商人のツバルさんから緊急指名依頼を受けた護衛の件の提出とその報酬を受け取るためだ。

 僕たちが並んだ列にはすでに10人くらい並んでいた。なのでしばらく待つことになる。




「なら、リーダーのエリーゼに任せて私たちは依頼を見ていませんかっ」




 フララランがそう提案してきた。

 確かに全員で並ぶ必要はない。




「そうじゃのう。では我も見に行くかのう」




 そしてタマユラも名乗りを上げた。

 そして僕だが……。




「僕はここでエリーゼと並んでいるよ」




 確かに報告と報酬の受取だけなのだからパーティリーダーのエリーゼひとりでも問題はないのだが、なんだか面倒事をエリーゼに押し付けるのも悪い気がしたので僕は居残ることにした。

 そして僕の返事を受けて、フララランとタマユラは掲示板の方へと歩き去った。




「別に私ひとりでも良かったのに」




「いいんだよ。ひとりでただ並んでいるのも退屈でしょ?」




 僕がそう答えるとエリーゼは笑顔になった。

 それを見て僕はドギマギしてしまう。ただでさえ美しいエリーゼなのだ。その整った顔に笑みを浮かべるとさらに美しさがマシマシになってしまっている。




「ふふ。ありがと。マキラは優しいのね」




「そ、そんなんじゃないよ」




 たぶん真っ赤になってしまったであろう自分の顔を見せないように僕はそっぽを向くのであった。

 それを屈んで下から見上げてくるエリーゼ。ちょっと君、いじわるだよ。




 そんなこんなをしていたら前に並んでいた人が去った。つまり僕たちの順番が来たのだ。見ると笑顔の受付嬢が手招きしている。いつも思うんだけど冒険者組合の受付嬢って容姿で選ばれているんじゃないかと想像してしまう。




 だって街で10人女性がいたとして、その中でいちばんの美人さんに該当するレベルで容姿が整っている女性ばかりなのだ。しかも若い。みんな10代半ばから20代くらいだし。




 まあ、なにが言いたいのかと言うと、この受付嬢もかなりの美人さんだと言うことだ。きれいな黒髪を編み込んで後ろに纏めている。

 そして制服である紺色のベストがとても似合っていた。




「はい。お話をうかがいます。私は受付のリリエと申します」




「お願いします。私は『ひとつの足跡』のリーダーのエリーゼと言います」




 そういうやり取りがあって、エリーゼがツバルさんから受け取った書類を渡すのであった。もちろん僕とエリーゼは冒険者組合のDランクの札も渡す。フララランとタマユラはこの場にいないので彼女たちの札は提出していないけど、パーティとして登録されているので僕やエリーゼの札から紐づけされていることから、その点は問題ない。




「……道中で受けた緊急指名依頼ですね? はい。依頼人の署名も評価もありますし問題ありません。………………え?」




 営業用の笑みを浮かべていた受付嬢のリリエさんが突然、固まった。

 そして書類を指で何度もなぞり、口の中でぶつぶつと何事が呟いている。




「あの……。なにかありましたか?」




 リリエさんの態度を不審に思ったのか、エリーゼが問いかけた。

 するとリリエさんは書類を見ていた顔を上げて僕たちを見る。その顔は真剣でなにやらただならぬ緊張感をはらんでいた。




「……か、確認したいことがあります。ちょっと別室でお話を伺えませんか? 他のパーティメンバーも含めて全員で」




 なにか嫌な予感がする。

 僕はこの場を離れてフララランとタマユラを呼んできた。

 そしてエリーゼと合流する。




「なんなんですかっ? 良さそうな依頼があったんですけどっ」




「いったいなんなのじゃ? そんなに慌てて」




 フララランもタマユラも呼ばれた意味がわからず不審がっている。

 だがそれは僕も同じだ。




「みなさん、そろいましたね。これから支部長の部屋まで来てもらいます」




 僕たち『ひとつの足跡』全員がそろったのを確認したリリエさんが受付窓口から離れて歩き出す。

 仕方ない。

 なにが起こったのかわからないけど、僕たちもその後に着いて行くのであった。




 そして階段を登り突き当りの部屋に到着する。

 黒光りするよく磨かれた木製の扉が存在感を放っている。

 ここが支部長室なのだろうか。




「入ります」




 ノックをして許可が出たことでリリエさんが扉を開けるのであった。

 すると奥に大きくて立派な造りの執務机があり、そこにゴツイ中年男性が座っていた。

 どう見ても元冒険者って感じで強そうな人だった。

 体がとても大きくて頭頂部近くに茶色の耳が生えている。全体の感じからして熊の獣人だと思えた。




「支部長。ご報告したい件があります。彼ら『ひとつの足跡』の依頼の件なのですが……」




 リリエさんがそう切り出した。

 支部長さんは僕たちに座るように促したので大きなソファに腰掛けることになった。

 僕、エリーゼ、フラララン、タマユラは4人並んで座った。

 そしてその正面に支部長さんとリリエさんが座るのであった。



なにやら呼び出されたのです。(`・ω・´)∩



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「いらぬ神にたたりなし」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。

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