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093話 サンバーンメの街に到着。

【基本一日置きで夜の18時に更新します】

どうぞ、よろしくお願いします。


 

「もうじきサンバーンメの街ですよ」




 もう商売でなんども訪れているツバルさんがそう告げた。




「もうじきですっ。この丘の頂上から見えますよっ」




 サンバーンメの街を知っているフララランもそう言う。

 とうとう僕たちはサンバーンメの街に到着するのだ。

 本当だったら、エリーゼの生まれ故郷である狼獣人の里を経由してすぐにサンバーンメの街に向う予定だった。




 僕の師匠であるアルが向かっているって情報があったので、超特急ではないけど割と急ぎで行きたいと思っていた。

 だけど、里の少女であるサイラとミーラが攫われたのを奪還したり、タマユラと出会うきっかけとなった霧に包まれた集落に立寄ったり、冒険者組合の手続きでテプ村まで戻ったりとあれこれあったので、ようやく到着か、と感慨深く思うのであった。




 そしてとうとう丘の頂上へと到着した。

 僕は眼下に広がる景色に思わず、おおっーと声を上げてしまった。

 そこには待ちわびたサンバーンメの街が見えたのだ。




「……岩山の上にあるの?」




「そうなんですっ。サンバーンメの街は岩の上にある街なんですっ。難攻不落の天然の要塞で魔物の侵入を防いでいるんですっ」




 フララランが得意そうに言う。

 確かにフララランが以前に言ったように、事前に教えてもらうより、こうしていきなり間近で見た方が驚きが多いよね。




「でも、どうやって街に入るのかしら?」 




 エリーゼの疑問は僕も思っていたことだ。

 サンバーンメの街はテーブルみたいになっている巨大で平らな岩の上にあったからだ。

 そして岩の上に建物が建ち並び、中央には領主の館と教会の聖堂がそびえ立っている。

 領主館と教会以外はせいぜい3階建てくらいの建物が外壁のように岩壁に沿って立ち並んでいる。




「すごい街だね。でもエリーゼじゃないけど、どうやって入るんだろう?」




 平らな岩はそうとう高い。あの岩壁はほぼ垂直になっている。そして高さは50メートルくらいはありそうなのだ。いくらなんでもあの壁を登ってってことはないだろうし……。




「地面にいくつか入口があるんですよ。そして岩をくり抜いた通路を登って上にある街に行けるんです」




 すでになんどもこの街に訪れているツバルさんがそう教えてくれた。

 見ると確かに道が岩の下に続いているのがわかる。

 あの先に岩へと入る入口があるのだろう。




 それから僕たちは丘を降りてサンバーンメの街へ到着した。

 と、言ってもその麓だ。

 麓には確かに入口があった。大きな扉が開かれていてその前に衛兵さんたちが検問をやっている。

 そしてそこの順番待ちで行列ができている。

 僕たちはその最後尾に並ぶのであった。

 やがて1時間くらい待っているとようやく僕たちの順番が来た。




「身分証を」




 衛兵さんがそう告げたので僕たちは身分証を見せる。

 僕たち『ひとつの足跡』はもちろん冒険者組合の札、そしてツバルさんは商業組合の札を見せる。

 そして衛兵さんはツバルさんの荷物である樽を調べて申告通りの蒸留酒だと確認すると街に入る許可を出してくれた。

 そして僕たちは開かれた大扉を抜けて街の入口へと入る。




 そこは洞窟だった。

 もちろん篝火や光の魔道具で照らされているので真っ暗という事はなく歩くのになにも不具合はない。

 そして道は登っていた。つまりこのまま歩いていけば岩山の上にあるサンバーンメの街へ到着できるのだろう。




「案内板があるね」




 僕は壁に設置されている木製の板でできている案内表示を指さした。

 そこには順路が書かれてあり、その指示通りに歩けば街へと登れるようだ。




「……脇道がかなりあるのね」




 エリーゼが周りを見ながら言う。

 そうだった。

 道は一本道じゃなくてあちこちに分岐していた。その分岐した洞窟それぞれに行き先があるようだ。




「そうなんですっ。サンバーンメの街の下はアリの巣のようになっているのですっ。それぞれの洞窟の先には部屋があって、そこにはお店があったり居住区があったり、得体のしれない場所なんかもあるんですっ」




 フララランがそう説明してくれた。

 なんでも街の上部、つまり岩山の上には街の主だった施設と上流階級だけが暮らしているらしい。

 なので貧しい民たちが暮らしているのはこの岩山内部になっていて、大きくくり抜かれた空間に地下の町並みもあるらしい。




「私もその全部に行った訳ではありませんが、一部の場所は治安が良くないと聞いています」




 ツバルさんがそう言う。行商人としてなんどもこの街を訪れているツバルさんでもこのサンバーンメの街の全部は知らないそうだ。

 それに治安が悪い地区もあるらしい。あまり行きたくない場所だね。




「迷ったら大変ね」




「そうなんですっ。案内板にこの岩山内部のすべてが表示されている訳じゃないんですっ。なので軽い気持ちで脇道に入ったら迷子になってしまう可能性が高いんですよっ。中には二度と戻って来られない人もいるそうですっ」




 フララランがそう言う。

 フララランの口調から気軽な感じにしか聞こえないが、これは深刻なことだと覚悟した方がいいように思う。

 間違っても順路だけは外れないようにしようと思うのであった。




 そして1時間以上歩いた頃だった。

 まだ遠いけど、行き先が明るく見えたのだ。




「どうやら出口のようね」




「そうですねっ。いよいよ岩山の上に出られますっ。街に到着ですよっ」




「やっと着いたのう。暗い道ばかりで気分が滅入るところじゃったわい」




 そして僕たちはとうとう岩山の上に出た。

 巨大な石造りの門を出るとそこには立派な町並みが広がっていた。

 そこは大通りで人も馬車も多数行き交っている。相当栄えている様子だ。




「では、私はここで。これから商業組合に向かいます」




 街中に入り、行政府とか衛兵詰所などの街の主要な建物が目立ち始めた辺りでツバルさんがそう言ったので、僕たちは互いに礼を言って別れることになった。

 そしてもちろんツバルさんからは護衛の緊急指名依頼の書類を受け取った。そして僕たちの評価はAとなっていた。これには感謝しかない。すでにSランクであるフララランは別だけど、僕、エリーゼ、タマユラは評価ポイントを貯めて冒険者ランクを上げたいからね。



サンバーンメに到着したのです。(`・ω・´)∩



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「いらぬ神にたたりなし」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。


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