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092話 オークの群れの襲撃。

【基本一日置きで夜の18時に更新します】

どうぞ、よろしくお願いします。


 

 そして街道は岩山が続く地帯を迂回するために大きく曲がり森の近くを通るようになっていた。

 この間、人家は一軒もなく。無人の土地を通っている。

 近づいた森は鬱蒼としていて、隙間なく下草まで生えていることから人の手が一切入っていない森だとわかる。




 そんなときだった。

 時は太陽がほぼ真上にある頃。

 気持ちの良い陽気で荷馬車の音だけが辺りに響いていた。




「……気配があるわ」




 突然、エリーゼがそう呟いたのだ。

 見るとエリーゼはもはや臨戦態勢になっていて短剣を抜いていた。




「魔物? 盗賊? どっち?」




「魔物ね」




 僕が問うとエリーゼがそう答えて森の中に視線を巡らせている。

 すると背の高い茂みがガサガサと揺れてオークが姿を現したのだ。

 その数、5匹。手には粗末な棍棒を持っている。




「「「「「ブモモッー!」」」」」




 オークたちは一気に森から飛び出した。

 そして棍棒を振り上げて、そのまま襲いかかってくる。

 僕らを包囲してとか、誰かひとりに狙いを定めてとかの連携は一切ない。

 ただ稚拙に飛び出してくるだけ。

 だけどその巨体は1匹でも脅威だ。ただの人ならば例え武器を持っていても勝ち目がないのがオークなのだ。




「ツバルさんは動かないでください。タマユラは幻術を、フララランは魔法の用意を。マキラはツバルさんに近づいたオークを転倒させて!」




 エリーゼが素早く指示を出す。

 僕たちは無言で頷いて、それぞれ与えられた役目を全うする。




「彷徨え」




 いきなり周囲の視界が悪くなった。

 一瞬で深い濃霧に覆われたのだ。今、互いには黒い影の輪郭しか見えない。だけどオークは巨体なのでどれが敵なのかはすぐにわかる。

 そしてオークなのだが、いきなり真っ白に染まった視界に戸惑ったようで、立ち止まっている。

 もちろんこれはタマユラの幻術だ。

 そして脇差しを咥えたキツネたちが10匹、地面からぬっと現れてオークたちに立ち向かう。

 キツネたちは身体は小さいが俊敏だ。縦横無尽に動き回り、深手こそ与えられないが少なくない手傷をオークたちに加える。




「「「「「ブギーッ!」」」」」




 鬱陶しいのだろう。

 オークたちが暴れに暴れてキツネたちを追い払おうとするが、右に左に飛んで更に手傷を与える。

 気がつくとエリーゼもキツネたち同様に素早く動いて短剣で切りつけている。

 ただ数が多いので致命傷を与える機会がなかなか訪れない。




 そのとき1匹のオークがキツネたちの包囲網を抜けて僕とツバルさんに向かって来た。

 ツバルさんが、ヒイッと悲鳴を上げる。




 ――転倒。




 ツルリン。




 わずか3メートル手前まで接近していたオークがもんどり打って転倒する。

 足元に浮かんだ魔法陣に捉えられて転倒魔法が発動したのだ。

 オークは立ち上がろうとして棍棒を手放し、両手を地面に付くのだが、そこでまたどてんと転倒する。

 そしてなんども同じことを繰り返していた。




「お待たせしましたっ!」




 フララランがそう叫んだ。

 すると人の胴体くらいの太さもある木の根が突如地面から数本ニョキニョキと伸び出した。そして5匹のオークたちをぐるぐる巻きにする。

 その木の根の力はとても強く、怪力のオークたちでも抵抗ができない。




「仕留めます!」




 ぐるぐる巻きで地面に固定されたオークたちにエリーゼが近づく。

 そして1匹、更に1匹と首を掻き切る。

 やがてオークたち5匹はすべて動かなくなるのであった。




「オークは売れるのじゃろう? なら我が運ぼう」




 タマユラがそう提案してきた。

 見るとタマユラは着物の袖から風呂敷を取り出してオークを順々に包んでいく。

 あれは金剛石の原石を包んでいたものだ。

 やはり魔法収納袋と同じ機能があるようで見上げる程の巨体のオークたちがおもしろいように一枚の布切れに収納されていくのであった。

 すべてのオークを包んだ風呂敷の四隅を縛ったタマユラはそれを着物の袖の中に仕舞う。



「すごい収納容量ね」




 エリーゼが感心したように言う。

 確かにあの風呂敷はすごい。もしかしたら僕の魔法収納袋よりも容量は上かもしれないね。




「いや~、助かりました。やはりあなたたちを護衛してもらって正解でした」




 ツバルさんが心底ホッとした表情でそう告げる。




「いえいえ。私たちも護衛を受けたからには仕事がないと居心地が悪いので、良かったと思っています」




 エリーゼが代表して言う。

 それは僕も同じ気分だ。

 もちろんわざとトラブルに巻き込まれたい訳じゃないけど、なんの活躍もなく護衛料だけをもらうのはすっきりしないよね。

 それは僕だけじゃなくて、フララランもタマユラも同じだったようで頷いているのがわかった。




 そのときは……。僕たちは気づいていなかった。

 これがサンバーンメの街に到着してから問題になるとは……。




 ■




 それからの旅は快調で魔物も盗賊も現れることがないまま歩みは続いた。

 街道には立て看板があり『これよりコウ王国』と表示されていた。そしてそこを通過する。

 つまり僕たちはオツ王国領内を抜けてコウ王国に戻ったことになる。

 緩やかな起伏がある麦の畑が左右に続く。

 人が暮らす街が近いのだ。この辺りはその街の穀倉地帯なのだろう。




 道は今、緩やかに登っている。

 そしてその先は見えない。ってことはつまりここは丘の途中でこの先は頂上になっているんだろう。



オークの群れに襲われたのです。(`・ω・´)∩


 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「いらぬ神にたたりなし」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。

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