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084話 漬物石にでもしようかと……。

【基本一日置きで夜の18時に更新します】

どうぞ、よろしくお願いします。

 

「こんなこともあるんだね」




「滅多にないわよ。私も一気にCランクなんて一度も聞いたことないわ」




「そうですねっ。私はFランクからCランクに上がるまで確か30年くらいかかりましたよっ。もっとも私の場合は低ランクの依頼ばっかり受けてましたからねっ」




 フララランが興奮して言う。

 いきなりCランクのタマユラは確かにすごいが、Cランクになるまで30年かかったフララランも逆の意味ですごいと思う。

 そんなの長寿種のエルフだから可能なことだ。きっとポーション草採集とかばっかり受けていたんだろうな。

 じゃないと逆にCランクになるまで30年もかかる理由がわからない。




 そんなこんなで一騒動あったが、僕たちはテプ村を後にした。

 目指すのはもちろんサンバーンメの街だ。

 ここからなら徒歩なら3日はかかるらしい。




「そうじゃ。この金貨はエリーゼが持っているのが良かろう」




 タマユラがそう言って懐から金貨が入った革製の巾着袋を取り出した。




「それはタマユラが稼いだお金だから、自分の分でいいわよ」




「いや、我が持っていても使い道がない。それに我もすでにパーティメンバーじゃ。パーティとして活動しているときに稼いだ金じゃ。パーティの資金でいいじゃろう」




「そう? なら遠慮なく。……でもお金はマキラに渡して。パーティ資金の管理はマキラに任せているから」




「そうか? なら、マキラ。ほれ」




 そう言ってタマユラは巾着袋をぽーんと放って来た。

 僕は慌てて飛んできた袋を受け取る。

 中にはとんでもない大金が入っているのだ。

 どうやらタマユラはお金には執着が一切ないみたいだね。




 そうそう、今、エリーゼが言ったようにこのパーティのお金の管理は僕が担当している。魔法収納袋はエリーゼもフララランも持っているので誰が担当しても問題ないのだが、お酒を飲みすぎて酔っ払うことがない僕が適任とされた。

 二人ともどうやら酔うと気が大きくなって無駄遣いしてしまうことが多いらしいのだ。




「ちなみにあの原石はどこで手に入れたんですかっ? あれをたくさん手に入れられたら大金持ちになれますねっ」




 遠慮のないフララランらしい質問だった。

 そして問われたタマユラは、はて、と考え顔になる。




「……ああ、そうじゃった。あれはこの世界に来る前の別の世界で手に入れたんじゃ。山のようにたくさん転がっておっての。漬物石にでもなるかとひとつ拾っておいたのじゃ」



「……漬物石って。すごい感覚ね」




「はあ。異世界で手に入れたのですかっ。それは残念ですっ」




 フララランが残念がるのも無理はない。

 山のように落ちていたと言ってもこことは違う異世界じゃ、もう手に入れられないよね。それにしても異世界か……。

 こことは違う世界ってことだけど、どう違うのだろう?

 住んでる生き物とかがまったく違うんだろうか。




「ちなみにタマユラがいた異世界ってどんなところなんですかっ? 異世界から来た人がいるって言うのは何度か聞いたことあるんですが、実際に会ったのは初めてなんですっ」



 どうやらフララランも興味があったようだ。




「我の霧の中の集落を見たじゃろう? あれが我がいた異世界の風景じゃ」




 どうやらあの着物と草履の人々が暮らす世界から来たらしい。

 だとすると昔の日本ってことになるな……。

 ……ん? 昔の日本? 

 なぜ僕はあれが昔の日本と知っているんだ? まるでそれ以降の日本も知っているみたいじゃないか……。




 ……わからない。




 僕はなんどもなんども自分の記憶を深く探ってみる。

 だけど思い出せるのは師匠と暮らしたあの山奥の屋敷の思い出だけだった。

 やっぱり僕には師匠と過ごした日々より昔の記憶はない。




 そんなときだった。




「みんな、ちょっと待って!」




 いきなりエリーゼがそう小声で叫んだ。

 僕とフラララン、タマユラは足を止める。

 そしてエリーゼに注目するのだった。




「……この先でなにかが争っているわ」




 ここは街道だ。

 ただ街や村からだいぶ離れているので行き交う人々の姿は先程からまったく見かけていない。

 そしてこの道の先は森を迂回するために大きく曲がっていて遠くが見通せない。




「誰かが襲われているんですかっ。だとしたら助けないといけませんっ」




「この道の先は森と接しているからのう。森から出た魔物にでも襲われているのかもしれんのう」




 そうなのだ。

 人影がなく、視界も悪い。そして森に近い。

 その条件を考えると魔物に襲われやすい地点と言えるのだ。




「たぶん魔物ね。誰かが襲われている可能性が高いわ。急ぎましょ」




 そう言ってエリーゼが走り出す。

 そして僕、フラララン、タマユラも後を追う。

 そうして大きく曲がった街道の先が見通せる所に来たときだった。

 小さな荷馬車を引いているひとりの行商人がゴブリンの群れに襲われていたのだ。

 行商人は男性で護身用のナイフを振り回し、ゴブリンたちを威嚇する。

 ゴブリンは小さな群れで5匹だった。




「「「「「グギャギャギャギャ!」」」」」




「この、この、あっち行け!」




 不快な雄叫びを上げながらゴブリンたちは粗末な石斧や棍棒を手に行商人に襲いかかる。行商人はナイフをめちゃくちゃに振り回し、追い払うのに懸命だったのだ。



金剛石のまさかの使い道なのです。(`・ω・´)∩



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「いらぬ神にたたりなし」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。


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