083話 いきなり3ランク昇格。
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どうぞ、よろしくお願いします。
「はい。これでタマユラさんもメンバーに追加されました。……それとなのですが、狼獣人の里から緊急指名依頼された誘拐された少女の奪還の件の依頼票はお持ちですか?」
「ああ、そうでしたね。これです」
エリーゼが魔法収納袋から依頼票を取り出した。
それは里からサイラとミーラを連れ戻して欲しいと依頼された件の緊急依頼票だ。
里からの依頼がない状態で誘拐犯から取り戻す行為を行った場合、私闘扱いされてしまうので正式な組合からの依頼とするために里長に書いてもらった件だ。
もちろんサイラとミーラは無事に取り戻し、里長からはA評価をもらっている。
エリーゼが依頼票を提出すると受付嬢が処理してくれた。
そして依頼達成の報奨金を受け取ることができた。
これでわざわざここまで戻ってきたことのすべてが終わった。
後はサンバーンメの街へと向うだけだ。
そんなときだった。
壁に貼られた依頼票を物珍しそうにタマユラが見ていたのだ。
「Fランクの依頼はお使いくらいしかないわよ」
エリーゼがタマユラに近づいてそう言う。
そう言えば僕はFランクのときは街中でペット探しを請け負ったな。Fランクは街中の清掃とか街路樹の剪定とかの確かにお使い程度の依頼しか受けられない。
だがタマユラが見ていたのはFランクの依頼掲示板ではなくて、常時依頼の掲示板だった。
そこには素材採集の依頼が貼り出されている。
見るとポーション草やオークの牙などのいつでも需要がある素材の依頼票が多かった。
「……これは、なんじゃ?」
タマユラが掲示板のいちばん上の隅に貼ってある依頼票を指さした。
「これはいつも貼ってある依頼票よ。なかなか手に入らないけど万が一入手できたら儲けもの程度に貼ってあるものなのよ」
エリーゼがそう説明する。
僕は興味が湧いたので、どれどれと見てみる。
するとそれは鉱物の採集依頼だった。
金額を見るとなんと金貨80枚! どうやら金剛石と言う宝石の原石の採取依頼のようだ。
「Sランク相当の依頼ですねっ。私が知るにもう10年以上前からあちこちの冒険者組合の事務所で掲示されている依頼ですっ。でもこの大きさのものはまず見つからないので賑やかしの案件とまで言われていますっ」
なるほど。
図を見ると片手では持てないくらいの大きさの原石のようだ。
元々宝石の原石など簡単に見つかることはない。
国が管理している鉱山なんかでも出土はするけど、かなり小さいものばかりだと聞いたことがある。
そんなときだった。
タマユラが着物の袖から四隅を縛って袋状になった布を取り出したのだ。
あれは風呂敷だ。僕の知識がそう認識した。それも中身の大きさからして魔法収納袋と同等の機能がありそうな魔道具だとわかった。
そして台の上に置くと結んでいた四隅を解く。
「我の持っているこれのことじゃないのかのう」
そう言って風呂敷から両手でしか持てないような大きさの鉱石を取り出したのだ。
それは全体的に白い石で所々が黒ずんでいるが、そこいらに転がっているようなただの石じゃないことは素人の僕でもわかる。
「金剛石の原石じゃ」
「「「「ええっ!」」」」
僕、エリーゼ、フラララン、そして偶然居合わせた冒険者たちが一斉に叫んだ。
その叫びに驚いた受付嬢もカウンターから飛び出してきた。
「タ、タマユラさん。ちょっと鑑定させてもらってもいいですか……?」
受付嬢が引き攣った笑顔を見せてきた。
それはそうだろう。
まだ本物かどうかはわからないけど、10年間ずっとあちこちで依頼を出しっぱなしになって放置されていた案件が完了するかもしれないんだ。
しかも金貨80枚! 僕だって興味津々だ。
「構わんぞ」
タマユラが気軽に許可した。
すると受付嬢が建物の奥から平たい台のような鑑定の道具を持って来た。
おそらくあれは鑑定の魔道具なのだろう。
受付嬢はしばらく鑑定道具をあれこれいじっていたが、だんだん顔色が変わってくる。
最初は青い顔をしていたのだが、目に輝きが灯り今度は紅潮してきたのだ。
「ほ、本物です……! ま、間違いなく本物の金剛石の原石です……!」
「「「「「ええっ!」」」」」
なんてことだ。
ここにいる人数は大したことはない。僕たち『ひとつの足跡』の4人。元からここにいた冒険者が2人、そして受付嬢と奥の事務所から出てきた所長らしき人族の中年男性の8人だ。
だが当の本人であるタマユラを除く7人が一斉に叫んだのだ。
狭い小屋は大騒ぎになってしまった。
「と、とにかくです。この金剛石はお売りしていただけると言うことで良いのでしょうか?」
受付嬢がタマユラに確認を取る。
「構わんぞ。我はいつかは処分するつもりで持っていただけじゃ。欲しがる者がおるならそれが最善じゃろう」
「わ、わかりました! それでは買い取りと依頼完了の手続きをさせてください」
受付嬢に案内されてタマユラは窓口に立つ。
そして促されるままに冒険者組合の札を提出する。
「はい。金貨80枚です。ご確認を……。後、タマユラさんは依頼完了の実績でランクを昇級させていただきます」
そう言って変更された札がタマユラに渡された。
「Cランク。すごいわね」
「そうですねっ。なんと言ってもSランクの依頼ですから一気に3ランクアップですねっ」
そうなのだ。
タマユラはたった1件の常駐依頼を完了させたことで、FランクからいきなりCランクになってしまったのだ。
いきなりの昇格なのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「いらぬ神にたたりなし」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




