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082話 里への送り届け完了。

【基本一日置きで夜の18時に更新します】

どうぞ、よろしくお願いします。


 

 ■




 そして僕たち新生『ひとつの足跡』4人はユミア、シリス、アンシュの幼い狼獣人の少女を連れて、来た道を戻ることになった。エリーゼの生まれ故郷である狼獣人の里に向うためだ。

 街道を進み、その後深い森の道を更に進み、暗くなる頃には狼獣人の里へ到着することができた。




 一度去った僕たちが道中の仲間を増やして、更に見知らぬ幼い同胞までも連れ立って戻って来たことに門番の獣人は驚いていたが、すぐに里長へ連絡してくれた。

 そして僕たちは里長、つまりエリーゼの伯父さんの屋敷の中へ案内されるのであった。




「……それは大変だったな。どれ、しばらくはここで暮らすがいいだろう。元居た里へはさっそく連絡を取ってみよう」




 里長はユミア、シリス、アンシュの身柄を快く預かってくれた。

 ユミアたち3人も顔の表情を見れば、見知らぬとは言え周りは同胞ばかりなのですっかり安心した様子でお礼を言っている。




「そしてこの人が私たちの新しいメンバーであるタマユラなのですっ。妖狐なんですよっ」




 突然と言うか場違いと言うか、別の会話の最中にいきなりフララランが割り込んで発言する。

 まあ、確かに里長や居合わせた長老たちも見慣れぬ装束姿のタマユラが気になっていたようではあったことから顔を一斉にタマユラに向けるのだった。




「妖狐? あなたは狐獣人なのか?」




 里長がそう尋ねた。

 僕たちと出会った頃は隠していたキツネ耳とフサフサの尻尾は今は出ている。

 確かにそれだけ見れはキツネの獣人に見えるだろう。




「我はキツネではあるが獣人ではないのう」




「と、言いますと?」




 タマユラの説明によると、タマユラは元はただのキツネだったと言う。だが長生きするにつれて知恵が付き、異能力が身についたことで上位種とも言える妖狐となったと言うのだ。

 見た目は僕より幼く見えるタマユラだが、フラララン同様にその姿に似合わない高齢だと言うことなのだろう。




「よくはわからないけど、見た目は獣人族に見えるから狐獣人で通せばいいんじゃないかしら?」




「そうですねっ。いわゆる処世術ってやつですっ。その方が過ごしやすいですよっ」




 その提案にタマユラは納得した様子だった。

 たぶん妖狐って魔物の部類として判断されちゃうから、下手すれば討伐対象だ。

 だったら獣人族として暮らす方がいいと思う。

 人族の街に入る時、認識阻害の魔法を使っているブルーオーガのミサイアさんの様に。




 その後、同胞の少女3人が救われた祝いと言うことで宴となり、夜遅くまで賑やかな宴席が設けられたのであった。

 そして僕は果実水だったけど、エリーゼたちには酒が振る舞われた。

 エリーゼはほどほどにフララランとタマユラはこれでもかと言うくらい飲んでいた。

 そしてフララランは酔い過ぎてヘベレケになっていたが、タマユラは酔わない体質のようでケロッとしているのが印象的だった。




 ■




「サンバーンメの街に行きたいのだけど……」




 翌日のことである。

 すっかり旅支度を終えた僕たちは里長の屋敷の外に出た。

 そのときのことであった。

 エリーゼがタマユラを見ながらそう口ごもる。




「なんじゃ? 我はどこに行くのでもいいぞ。元々行く宛もない身なのじゃからな」




「そうですねっ。タマユラは異世界からの旅人ですからねっ。でもエリーゼが言いたいことはわかりますっ。ちょっと戻る形になっちゃいますけどテプ村に行きましょうっ」




「……え? テプ村」




 開村祭をやっていた村だ。

 エリーゼの生まれた里に来る前に立寄った場所なのだが、それだとサンバーンメの街とは逆方向になる。

 いったいなにか理由があるんだろうか?




「そうなのよ。タマユラが『ひとつの足跡』のメンバーになったことを冒険者組合に届け出ないとならないのよね」




「サンバーンメの街には入口で検問がありますからねっ。そこでパーティメンバー登録していないとちょっと面倒になりますねっ」




 なるほど。

 サンバーンメの街は大きい街だと聞いている。だとすると当然街の入口では衛兵による検問所が設置されているはずだ。

 僕、エリーゼ、フララランは冒険者登録してあるし、『ひとつの足跡』のメンバーだと身分証で証明できるから街に入るのに問題はない。

 だけどタマユラはまだパーティメンバーとして組合に届け出ていないのだ。

 それなら面倒事が発生する可能性は高い。元々、魔物枠の妖狐だし。




「ちなみにタマユラは冒険者なのかしら?」




「はて? 確か50年くらい前かのう。登録はしたことだけはあるのじゃ」




 そう言って首元から金属札が取り出された。

 それは冒険者組合の札でFランクが表示されていた。

 聞くとタマユラはこことは違う世界に住んでいたと言う。

 つまりは異世界にいたらしい。

 異世界……。そんなものあるんだな。

 それである日気がついたら、この世界にいきなり迷い込んでしまい、そのとき出会った人に身分証代わりとして冒険者組合への登録を勧められたと言うのだ。




 なるほど。

 50年前に登録してFランクってことは冒険者としての活動はしていないようだ。

 だが、まあ身分上は冒険者なので街へは自由に出入りできるな。




「ならば手続きはパーティ加入だけですねっ。テプ村まで行きましょうっ」




「そうね。だったら話は簡単だわ」




 そうして僕たち4人はサンバーンメの街とは逆方向へと旅立つことになった。

 ここからいちばん近い冒険者組合の施設があるのがテプ村だからだ。

 そして森を抜け街道を村へと進む。

 ときどき休憩を取りながら旅は快調に進行して行く。

 前にも通った道だ。なんとなく見覚えがある風景が続く。

 そしてようやくテプ村が見えてきた。

 木の柵で周囲を覆った景色が記憶通りだ。




 それから僕たち4人は村の中にある冒険者組合の出張所に入った。

 出張所なので小屋程度しか大きさはない。

 だけど中にいる冒険者も2人しかいなかったので狭さは感じられない。




「パーティメンバーの追加加入の件で来ました」




 代表してリーダーのエリーゼが窓口でそう伝えた。

 対応してくれた受付嬢はもう僕たちのことはよく知っているようだった。




「はい。『ひとつの足跡』のみなさんですね。メンバーの追加の件、承ります」




 そうしてタマユラが進み出て冒険者組合のFランクの札を取り出して提出した。

 そして僕、エリーゼ、フララランも札を提出する。

 メンバーが増えたのでそのことを刻印するためだ。


狼獣人の里に無事に届けたのです。(`・ω・´)∩



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「いらぬ神にたたりなし」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。

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