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079話 妖狐の能力。

【基本一日置きで夜の18時に更新します】

どうぞ、よろしくお願いします。

 

 ■




 翌朝。

 タマユラの屋敷を僕たちは出た。

 気持ちの良い朝と言いたいけど、辺りはうっすらと霧に包まれている。

 昨夜の内に妖狐の居場所はタマユラに聞いていた。

 この屋敷の裏に広がる森の中に住んでいるらしい。

 そしてタマユラだが、今朝は姿は見ていない。どうやらどこかに出かけたようで屋敷の中でも見かけなかった。




「この先の森ね」




「そうですねっ。屋敷の裏側に森に入る道があるって言ってましたよねっ」




 僕たち『ひとつの足跡』の3人は屋敷の広大な敷地をぐるりと周り裏側に出た。

 すると見上げるほどの大樹の森が奥までずっと広がっていた。

 森に入ると辺りは急に薄暗くなった。

 元々晴れていたのではないのだから、明かりが欲しいくらいの暗さだった。




「深い森ね」




「エリーゼの生まれた里と同じ感じの森だね」




 そうなのだ。

 今の森も大樹ばかりだけど、狼獣人の里もこれと同じくらいの木々が密生した森だった。



「霧があるからあのときよりも視界が悪いですよっ」




 フララランがそう言う。

 確かに霧は森の中にも広がっていてあまり遠くまで見通せない。

 奥の方は木の幹がぼんやりと黒く見えるだけだ。




「……確か祠って言うのがあるのよね?」




「そのホコラってなんですかっ? 私は意味があんまりわからなかったんですっ」




「異教の神の小さな神殿のことみたいだね」




 事前にタマユラから話は聞いている。

 森の奥に祠と言う神殿があって、妖狐はそこをねぐらにしているらしいのだ。

 なので僕たちはそこを目指していることになる。




 それからしばらく歩いた。

 森には小さいけど踏み固められた小道があって、そこを歩くのでさほど苦労はない。

 ときおり小鳥の鳴き声が聞こえるくらいで危険な魔物の気配は一切なかった。




 そんなときだった。

 左右の樹上が見えないくらいの大樹の道の先が明るくなったのだ。

 ちょうど拓かれた場所で円形に50メートルくらいの広場になっていたのだ。

 そしてその中央に石造りで背丈くらいの高さの神殿を小さくしたような創造物。つまり祠があったのだ。




「あれかしらね?」




「みたいですっ。だとすると妖狐はどこでしょうかっ?」




 僕たち3人は辺りを見回した。

 すると突然、エリーゼが叫んだ。




「あれを見て! 女の子たちよ!」




「……ひどいですっ。あれはかわいそうですっ」




 見ると大人数人が両手を広げても届くかどうかもの太さの幹を持つ大樹に獣人の10歳くらいの少女3人が囚われていた。

 ロープで身体を樹木に縛られているのだ。両手と腹の部分をしっかり固定されてしまっているので、あれでは動きようがない。

 そして少女たちは全員、狼獣人に見えた。ピンと伸びた耳とフサフサの尻尾の形がエリーゼそっくりなのだ。




「ちょっと助けてくるわ!」




 エリーゼがそう宣言して獣人少女たちに向かって走り始めた。

 そんなときだった。

 辺り一帯に深い霧がいきなり発生したのだ。

 それは僕たちはもちろん祠もそして縛られている少女たちも一斉に包み込み、白い闇となってなにも見えなくなったのだ。

 かろうじてエリーゼとフララランの輪郭がわかるくらいだった。




「エリーゼ。今動くのは危険だ」




「……そうね」




 僕の助言に答えてエリーゼが返事をして戻って来る。

 だけどその表情は悔しさで溢れていた。




「ああっ。見てくださいっ。なんかいますよっ」




 フララランがそう叫んで前方を指さした。

 すると祠があったと思われる辺りになにかがいた。

 輪郭からして獣。耳がピンと立ち、鼻が長い。

 そして特徴的なのは尻尾だった。

 広がるように伸ばされた長いフサフサの尻尾は数えたら9本もあったのだ。




「……あれが妖狐かしら?」




「たぶん、そうだね」




「敵意を感じますっ。気をつけてくださいっ」




 そんな会話をした直後だった。

 妖狐が直立したかと思ったら両手を前方に伸ばしたのだ。

 そして指を怪しげに動かす。




「気配を感じるわ。なにかいる」




「そうですねっ。なにか登場しそうな予感がしますっ」




 エリーゼとフララランがそう呟いた。

 その瞬間だった。

 妖狐の前方。つまり僕たちと妖狐の間にボウッと黒い塊がいくつも浮かび上がったのだ。



「キツネ? なにか咥えているわ」




「刃物ですねっ。これは要注意ですっ」




 そうだった。

 登場したのは人ほどもある大きさのキツネ。

 そして口にするどい刃物を咥えているのだ。

 あれは形からして抜き身の日本刀だ。ただし長さからして短い脇差しの方に見える。



妖狐の登場なのです。(`・ω・´)∩


 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「いらぬ神にたたりなし」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。


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