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077話 和風のお屋敷。

【基本一日置きで夜の18時に更新します】

どうぞ、よろしくお願いします。


 

 ずっと前方だった。

 まだわずかに残っている霧の影響ですっきりしない視界の先にぼんやりとなにかが見えてきた。

 形からして建物に見える。

 それも大きい。間違いなく屋敷と呼べるような建造物に違いない。




 やがて屋敷がしっかり見える距離まで近づいた。

 黒光りする瓦がびっしりと並んだ和風屋敷だった。

 庭には屋敷よりも背が高い黒松が何本の植えてあり、その配置から和風庭園が造られているのもわかる。

 入口の門は長屋門になっていて分厚い木の扉の左右には小屋が設置されていた。

 そして、その前にひとりの少女が立っていたのだ。

 年の頃は成人前後。たぶん僕と同じくらい。でも背丈は小柄。

 茶色の髪を腰まで伸ばして緋色の着物を着ている。




「ようこそ。よくぞ参られた」




 鈴を転がしたかのような声音で少女がそう告げた。

 うっすらと笑みを浮かべたその顔つきは美しい。

 胸はそれなりにしかないけど、スラリとした体つきは少女にとても似合っている。




「こんにちはっ。私はエルフのフララランですっ。冒険者ですっ」




「私は同じく冒険者パーティ『ひとつの足跡』のリーダーをしている狼獣人のエリーゼです」




「同じくマキラです。魔法使いです」




 僕たちがそう名乗ると少女は笑みを濃くした。




「我はタマユラ。この里の主じゃ」




 驚いた。

 この若さでこの集落の代表だと言うのだ。

 見た目15歳前後なのに。




「長旅で疲れもあるだろう。屋敷でゆるりとくつろぐが良い」




 タマユラと名乗った少女はそう僕たちに告げると背を向けて屋敷の中へと進んで行く。

 なので僕たち3人もそれに着いて行く。




「あのっ。お風呂はないんですかっ」




 フララランが突然に言う。

 遠慮もなにもあったもんじゃない。

 エリーゼを見ると彼女も困り顔だ。僕と同じ考えらしい。




「ある。案内しよう」




 ちらりと振り返ったタマユラがそう返事をした。

 そして僕たちは靴を脱いで土間を上がり板張りの廊下を進む。

 そして奥の扉の前に案内されたのであった。




「ここが風呂じゃ。普段は我しか使わんから湯船はひとつしかないが、ま、問題なかろう」




「……いや、それすごく問題なんですけど」




 僕のそんな苦言はまったく無視された。

 そしてエリーゼとフララランが先に入り、声をかけられてから僕が後から入ることになる。湯船は総桧造りの豪華なものだった。

 広さも十分で10人くらい同時に入れるものだ。

 そこの中にはすでに長い髪を頭の上に纏めたエリーゼとフララランが入っていた。




「お邪魔します……」




 そして僕が怖々と湯に入る。

 左隣にはたわわな胸の谷間まで湯につかっているエリーゼと、ささやかな谷間を見せているフララランがいる。




「やっぱりお風呂は最高ですねっ。まさかサンバーンメまでの旅の途中で入れるなんて思いませんでしたっ」




 フララランは極上の笑みを浮かべて湯につかっている。




「集落も屋敷も『野獣の絶叫』のバルクさんたちが言っていた通りね」




「そうだね。……でもやっぱり不思議だよ。だって街道にこんな集落があるなんてそれまで一度も聞いたことなかったよね」




 そうなのだ。

 こんな集落が実在するのなら、ニバーンメの街でもテプ村でも狼獣人の里でも一度は耳にしていたはずだ。

 なのにそれはなかった。

 唯一、街道の野営地で知り合った『野獣の絶叫』の人たちに聞かされただけなのだ。




「でも、危険な感じはありませんねっ。『野獣の絶叫』の人たちもまったく危ない目には遭わなかったって言ってましたしっ」




「そうね。嫌は気配はまったくないわ」




 悪意に敏感なエリーゼがそう言うのだ。心配することはないんだろう。




「後は食事が振る舞われるんですよねっ。これはとっても楽しみですっ」




 まったく図々しいと言うか、自分に正直と言うか、いつものフララランだった。




 そして僕たちはやがて風呂を出た。

 すると廊下にタマユラが待っていた。

 そして別の部屋へと僕たちを手招きするのである。




「食事の用意ができた。我に着いてくるがよかろう」




 僕とエリーゼ、フララランはタマユラに招かれるまま着いて行く。

 するとそこは大きな広間になっていて、大きく造りの良い座卓と座布団が用意されていた。

 そして座卓の上には温かな湯気をあげる料理があった。

 料理は白米に味噌汁、魚の煮付けに芋などの根菜の煮物、そして漬物などであった。

 そう、完全なる和食だ。




「本当になにからなにまで甘えてしまってよろしいのですか?」




 エリーゼが遠慮を含んだ口調でそう尋ねる。




「遠慮なく」




 そう言ってタマユラは僕たちに着座を勧めた。

 僕とエリーゼが横並び。対面にはフララランとタマユラが腰掛けた。

 そして僕たちはお礼を言って料理に手を付ける。




「……おいしいわ。どれも珍しい料理ばかり」




「そうですねっ。私も初めて見る料理ばかりですっ」



完全に和風なのです。(`・ω・´)∩


 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「いらぬ神にたたりなし」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。


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