074話 あるCランクパーティとの出会い。
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この後、僕たちはここの里で5日ほど滞在することになった。
僕としては師匠がいるとの情報があったサンバーンメの街に急ぎたい気持ちがあったんだけど、救出だのなんだので疲労が溜まっていたのもあるし、なんと言ってもフララランがここの温泉を気に入ってしまったからだ。
「やっぱりここの温泉はいいですねっ」
ご機嫌のフラララン。
そしてなぜか僕とエリーゼもいっしょだ。
最初にエリーゼとフララランが入って、声をかけたら僕に入って来いと言うのだ。
だったら別々に入ればいいんじゃないかとも思ったのだが、年上の女性2人にそう命じられれば僕は従うしかない。
今、僕は2人の真ん中で湯につかっている。
右にはたわわな胸の谷間を見せているエリーゼ。
左にはささやかだけど形の良い胸のフラララン。
ちなみに2人とも長い髪を湯につけないように(エリーゼは銀髪、フララランは金髪)丸めて上げているので、真っ白なうなじが見える。
それがなんかちょっと新鮮と言うかエロいと言うか……。
「……」
「マキラ。さっきからずっとだんまりよ?」
「気まずいんですよねっ。美少女2人が裸なんですっ。ジロジロ見るのも怒られそうですしっ、なにを話せばいいのかわからないんですよねっ」
「……そこまでわかってるなら僕の気持ちもわかってよ」
そう言った僕は目を閉じて鼻まで湯に沈んでブクブクするのであった。
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そしていよいよサンバーンメの街に行くことになった。
サンバーンメに行くには森を進むよりも街道に出たほうが早いので、僕たちは狼獣人の里を出ると、まず街道に向かった。
そして森を抜けて北へと進む。
途中、運が良ければ乗合馬車に乗れるけど、遭遇しない場合は徒歩で行く予定だった。
それでも2日あれば街には到着できる。
「エリーゼはサンバーンメの街には行ったことないんだっけ?」
「そうよ。行くのは初めてね」
僕が問うとエリーゼがそう答える。
もちろん僕も初めてだ。
「私は何度かありますよっ」
するとフララランがそう返事をしてくれた。
「どんな街なの?」
尋ねるとフララランはその細い顎に指を当てて顔を上げて考え込むように少し黙る。
「そうですねっ。今は大きな街とだけ言っておきますっ。それ以上は着いてからのお楽しみってのはどうですかっ。どうせ初めて行く街なのなら全部は知らない方が楽しみがあっていいと思いますよっ」
「そうね。それは確かにあるわね」
なるほど、それは一理ある。
確かに知らない方が見た時の楽しみは大きいだろうしね。
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それから日が傾き始めた頃だった。
街道脇にはところどころに広場のような場所が設置されている。
草を刈って平らにしただけの場所なのだが、この土地に馬車を入れて野営したりするための広場だ。
そこにはもちろん馬車だけでなく、僕たちのような徒歩の旅人も野営を行うことができる。
なので僕たち『ひとつの足跡』の3人も当然そこで野営することになった。
野営地には馬車は1台もなかった。
だけど隅の方に焚き火を囲んで休んでいる冒険者らしき集団があった。
人数は5人。
見ればすべて人族で男が3人、女が2人のパーティのようだった。
だが様子が少しおかしい。
会話がまったくなく、全員俯いているのだ。
「こんばんはっ。休憩ですかっ。ここは寂しいところで景色も楽しめませんねっ。私たちは『ひとつの足跡』と言うパーティで、こっちがリーダーのエリーゼ。こっちの魔法使いがマキラ、そして私も魔法使いでフララランと言いますっ」
他人とコミュニケーションを取るのにまったく躊躇いがないフララランが5人組パーティに話しかけた。
するといちばん年長に見える30歳くらいの戦士の男性が顔を上げた。
「ああ。俺たちはCランクパーティの『野獣の絶叫』だ。俺がリーダーのバルク。こっちが斥候のハンス。こいつが剣士のマイティス。こっちの魔法使いがハンナ。で、僧侶のリリアだ」
バルクさんと名乗った男性戦士がパーティメンバーを紹介してくれた。
斥候のハンスさんは25歳くらい。剣士のマイティスさんは30歳くらい。魔法使いのハンナさんと僧侶のリリアさんは20歳過ぎくらいだろうか。
いちおう全員顔を上げてくれたが、その表情は決して明るくない。
「なにかあったんですか? 見たところ怪我をされている様子もないようですが?」
エリーゼが『野獣の絶叫』のリーダーのバルクさんに話しかける。
するとバルクさんは首を左右にゆっくり振ったかと思うと大きなため息をついた。
「……なあに。別に強力な魔物の群れや大集団の盗賊から逃げ出して来たとかじゃないんだ。俺たちはサンバーンメの街からニバーンメの街へ旅をしていただけなんだが、……どうにも説明がつかない体験をしちまった。それで精神的に疲れちまってな……」
そんなことを話始めたのだ。
「説明がつかない体験ですかっ。それはどういったものなんでしょうかっ。非常に興味がありますっ。差し支えなければ教えてくれませんかっ?」
場の空気にお構いなく元気一杯にフララランがそう尋ねる。
いつも通りのフララランだ。
するとなにか言いにくそうになっていたバルクさんだったが、フララランの勢いに気圧されたようで、表情は引き締めると口を開くのであった。
元気のないパーティと出会ったのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「いらぬ神にたたりなし」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




