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072話 グルグル巻きはフララランの仕業。

【基本一日置きで夜の18時に更新します】

どうぞ、よろしくお願いします。


 

 ■




 追跡してわずか数分後だった。

 前方がだんだん明るくなって来たのだ。

 どうやら森を抜けるようだ。




「えっ、もう森から出ちゃうんだ」




「そうね。……だとするとラルゴたちはやっぱり森に詳しくなかったってことね」




「どういうこと?」




「だってわずか数分前に10分以上も休憩を取っていたのよ。森からすぐに出られるってわかっていれば、さっきの休憩はしないわよ」




 なるほど。

 どこまで森かがぜんぜんわかってないから、森の境目付近だったにも関わらず休憩を取っていたことになるのか。森に詳しくないってのは納得だ。




「……やっぱり馬車があるわ」




 エリーゼが前方遠くを指さした。

 するとそこは森と街道の境目の平地で一台の幌付き荷馬車が停まっていた。

 荷台をこちらに向けているので荷台に大きな檻が乗せられているのがわかる。

 やはりあの檻にサイラとミーラを閉じ込めるのだろう。




 そして馬車の周辺には3人の男たちがいた。

 すべて人族で腰には剣を吊っている。だが服装や防具がバラバラで統一感がない。

 なので衛兵とかはあり得ないし、たぶん冒険者でもない。

 こんな違法行為に手を染めるのだ。せいぜい冒険者崩れか盗賊もどきってところだろう。



「ねえ、フララランは大丈夫かな……?」




 僕はさっき別行動を起こしたフララランが気になっている。

 争いの物音は聞こえてない。それに未だに姿を現さない。




「私も心配よ。でも本人が大丈夫って言っていたんだから信用するしかないわ。……それよりも私たちよ。どう作戦する?」




「そうだね。ここは僕たちがどうするかだね」




 考える。

 ラルゴたちはもうすぐ馬車の連中と合流する。

 そうするとまずサイラとミーラを檻に入れるだろう。

 そして戦力はラルゴと背負子の2人と馬車にいた3人の合計6名。

 いつもの作戦が良さそうだ。




「いつもの通りかな?」




「そうね。それがいちばんね」




 そうこうするうちにラルゴたちが手を上げながら挨拶をして馬車の3人と合流するのが見えた。

 そこでなにやら森の方を振り返ってあれこれ相談しているのがわかる。




「……ラシンの行方不明についての相談ってことね」




「だよね。しばらく待つのかな?」




「だと思うわ。まさか捜索に森に入るとまでは思わないけど、少しの時間くらいなら待つんじゃないかしら」




 そしてエリーゼの言う通りだった。

 ラルゴたちはまず眠ったままのサイラとミーラを檻の中に入れて扉に鍵をかけるのが見えた。

 そして全員で森の周囲を見回している。

 おそらく道に迷ったらしいと思われているラシンが来るのを待っているのだろう。




 そんなときだった。




「フララランが来るわ」




 突然、エリーゼがそう告げた。気配察知でわかったのだろう。

 そしてその直後に背後からガサゴソ物音がしたのだ。




「お待たせですっ」




 フララランだった。

 見ると手に木の枝らしきものを握っていて、それをたどると後方にグルグル巻きにされた魔法使いのラシンの姿があった。

 グルグル巻きは徹底していて胴体と両手だけじゃなくて口までしっかり巻かれている。これならどんな魔法使いも魔法を使うことはできない。

 いったいなにが起こっているのか僕にはわからない。




「色々吐いてもらいましたっ。やっぱりサンバーンメの街で違法奴隷として売る予定だったそうですっ。街にはそういう組織があるようですっ」




 フララランは用意が良かった。

 ただ拘束するだけじゃなくて、すでに自白させていたのだ。

 さすがSランク冒険者。どうやってやったのかはわからないが結果を聞けば流石だとわかる。




「……ねえ、フラララン。どうやってラシンを捕らえたのかしら?」




 僕も具体的にどうしたかは気にはなる。

 フララランの魔法は予約魔法なのだ。いきなり魔法発動させてグルグル巻きにはできないだろうし。




「おしゃべりをして色仕掛けをして、おしゃべりをして色仕掛けをしての繰り返しで時間を稼いだだけですっ」




 なんとも言えない雰囲気が僕とエリーゼの間で発生した。

 あの空気が読めないおしゃべりのフララランだ。きっとあれこれ相手に口を挟ませない口調で話しかけたのだろう。

 そして色仕掛け……。

 決して大きくない胸ではあるが形が良く、また身体全体が整い過ぎているくらい整っている美貌のエルフなのだ。その色香に簡単に騙されたのかもしれないね。




「その枝みたいのはなにかしら?」

「そう、それはなんなの?」




「これは木の根ですっ。エルフは木々を使う植物魔法が得意なんですっ。なのでおしゃべりをしている間に魔法を予約して根っこでグルグル巻きにしちゃいましたっ。もちろん手も口も塞いでいるので、この男は魔法は一切使えませんっ。だから大丈夫って言ったのですっ」




 そう答えたフララランは手にした木の根をクイックイッと引っ張る。

 すると土から出ていた根がグングン伸びてラシンを更にグルグル巻きにするのであった。まるでグネグネと動く大蛇みたいだ。

 どうやらラシンは意識が朦朧としているようで目がトロンとして焦点が合ってない。

 でもこれで最大の懸念だった魔法使いは封じた。

 後は6人残った敵を倒すだけだ。




「これで最大の脅威である魔法使いを無力化しましたっ。後はマキラの魔法でなんとかなりますよねっ?」




「そうね。じゃあ作戦を始めるわ。フラララン、その魔法使いをヤツらの前に突き出して」




「わかりましたっ」




 そう返事をしたフララランは更に木の根を伸ばし、グルグル巻き状態のままラシンを馬車の近くまで放り投げた。

 根がうねうねとうねりながら宙を飛ばされたラシンはドシンと音を立てて、ラルゴたちの目の前に落ちた。




「ラ、ラシン……?」

「ど、どうしたんだっ?」

「これは、いったい……」




 ラルゴたちの戸惑いの声がここまで聞こえる。

 それもそのはずだろう。

 なんせ仲間が木の根でグルグル巻きの状態でいきなり森から飛び出して来たのだ。

グルグル巻きで捕らえたのです。(`・ω・´)∩



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「いらぬ神にたたりなし」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。




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