071話 僕とフララランの魔法の可能性。
【基本一日置きで夜の18時に更新します】
どうぞ、よろしくお願いします。
「わかったよ。じゃあ、転倒、転倒、転倒……」
フララランはSランク冒険者だ。
なので僕との魔力差を考慮して魔法は重ねがけにした。
――ツルリン。
フララランがいきなり転けた。
ステンと尻から地面に倒れたのだ。
「これは、むむむ。た、立てませんっ」
フララランは両手で、時には膝を立ててなんとか立ち上がろうとするのだけど、その度にステンと転んでしまう。
「……こ、これは降参ですっ。解除してくださいっ」
僕は魔法を解除したのでフララランはようやく立ち上がることができた。
「……しかしこれはすごい魔法ですっ。使い方によっては私の魔法よりもすごいかも知れませんっ」
するとエリーゼが考え顔になる。
しばらく無言のまま額に指を押し当てていた。
「マキラの魔法とフララランの魔法……。単純な攻撃魔法戦には向かないけど使い方によっては最強の支援魔法になりそうね」
「そうですねっ。それは正しい気がしますっ。私の魔法とマキラの魔法を組み合わせれば不可能なことが可能になりますねっ」
「不可能が可能? どういうこと?」
「例えば圧倒的人数差があっても対応可能になることよ」
「……対応可能? どういう意味?」
「あのですねっ。マキラが転倒魔法で転ばせしまえば相手は動けませんっ。そこで例え時間がかかっても私の予約魔法で煮るなり焼くなり好きにできちゃえるってことですっ」
なるほど。
僕の転倒魔法が効果を発揮している間は相手は動けない。
なのでフララランの予約魔法が発動に時間がかかっても相手を倒せるってことだ。
なんせ転倒魔法がかかればその場から動けないからね。
例え1分後でも予約魔法が使える訳ってことか。
しかも予約時間が長ければ長いほど強力な魔法になると言っていた。
だとすると1時間後に発動する超強力魔法なんてのも可能になってしまう。
なるほど、確かにこれは強い手札だ。
僕たち3人はラルゴ一行の追跡を再開した。
互いの魔法の説明などで少し距離が開いてしまったけど、そこはエリーゼの気配察知がある。なので苦も無く追跡ができた。
「どこでしかけるか。どうやってしかけるか。……それが問題ね」
先頭を進むエリーゼがそう呟いた。
「おそらくたぶん、馬車を待たせている。これはいいよね?」
僕がそう問うとエリーゼとフララランは頷いた。
「で、今はサイラとミーラはラシンの魔法で眠らされていて逃げることはできない。そして背負子に固定されていることから、僕たちが下手するとすぐに人質に取られてしまうってことでいいよね?」
「そうですねっ。なのでサイラちゃんとミーラちゃんが馬車に乗せられるまで待った方がいいと思いますっ。おそらく馬車には檻が積んであってそこに入れられると思いますっ。だいたい人攫いは檻を使いますからねっ」
「そうね。檻の中なら逃げられないけどラルゴたちから距離が取れるからすぐに刃物を突きつけて人質に、ってことはないわね」
「やっぱり馬車に到着してからの行動がいいってことだね」
「馬車にラルゴたちの仲間がいてもそう大勢ってことはないと思うわ。これはマキラの転倒魔法で足止めして、私が捕縛すればいい。……けど」
エリーゼがそこで言葉を止めた。
なんだろう? 僕にはそのエリーゼが行動の意味することがわからない。
「魔法使いのラシンですねっ。精神攻撃系魔法を私たちに使われたら返り討ちにされちゃいますよっ」
「……そうか」
そうだった。
片手剣のラルゴには転倒魔法が通用する。それに単純な戦闘でもエリーゼが遅れを取ることもないだろう。
出会ったときを思い出す。ラルゴは森の中でゴブリン2匹に苦戦していたのだ。なのでエリーゼの相手じゃないだろう。
だけどそれでも問題が残る。
それは魔法使いのラシンだ。
ヤツの魔法で僕たちを攻撃すれば眠らされたり麻痺させられたりいろいろ厄介なことになる。
そうなるとサイラとミーラの奪還どころか僕たちまでやられてしまうことになるのだ。
「……じゃあ、こうしましょうっ。ラシンは私が担当しますっ」
「大丈夫なの?」
エリーゼが不安を浮かべた表情でフララランに尋ねる。
「大丈夫ですっ。私はこう見えても海千山千の冒険者ですよっ。なんとでもできますよっ」
両手を腰に当ててフララランはそう豪語した。
その顔は自身に満ち溢れていた。
絶対にどうにかできると確信している表情だった。
そして僕たちは適度な距離を保ちつつ追跡を続ける。
その距離とは見失う寸前まで離れているんだけど、こちらにはエリーゼがいるのでなにも問題ない。
やがてラルゴたちは休憩を取るのがわかった。
少し開けた場所に腰掛けて休んでいるのが遠くからも見える。
そして10分くらい経過した頃、ラルゴたちが立ち上がって移動を再開するのがわかった。今度は順番を変えるようで剣を抜いたラルゴが先頭で、背負子の兄弟、最後は魔法使いのラシンの隊列になっていた。
「ちょうどいいですっ。私はこの場で抜けてラシンを足止めしますねっ」
そう言ったフララランが森の中にスッと姿を消した。
ここはフララランに任せるつもりのようでエリーゼはなんの意見も言わず、僕にラルゴたちの追跡を再開することを伝えるのであった。
ある意味、合体魔法なのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「いらぬ神にたたりなし」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




