069話 誘拐犯の発見。
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どうぞ、よろしくお願いします。
なんとか許されたようだ。
そして僕たち3人はまたしばらく進む。
だけどラルゴたち4人、そしてサイラとミーラの足跡も休憩したと思われる痕跡も見つからないのであった。
そんなときだった。
僕は歩きながらラルゴたちの発言を思い出していた。
するとなんか引っかかることが浮かんだ。
「ねえ。ラルゴたちはホントにニバーンメに向かったのかな?」
「どうして? だって本人がニバーンメから来たって言ってたし、ニバーンメに帰るって言ってたわよ……。あ……」
「なるほどですっ。ニバーンメに向うって話は誘拐犯たちの自己申告なんですねっ」
そうなのだ。
今から思い返してみれば、やたらニバーンメを強調していた気がするのだ。
「そうね。言われてみれば自己申告だわ。……もしかしたら最初から嘘を言っていた可能性もあるわね」
「それは考えられますねっ。わざと最初からダミー情報を流していたこともありますっ。当初から少女たちの誘拐を企んでいた場合、目撃者でもあるマキラやエリーゼを撹乱するための偽情報ってこともあり得ますねっ」
考えられる。
狼獣人の里を探していたら僕たちと出会ってしまった。
里の場所を見つけるのには好都合だけど、自分たちが犯罪を犯した後、僕たちが追手になる可能性も考慮していたはずだ。
だとすると、最初から偽情報を流して追跡を困難にする手段としてニバーンメの街のことを強調していたのかもしれない。
「……それに今から思えば、あれも不思議よね?」
「あれ?」
僕はエリーゼに問い返す。
なんのことかわからなかったからだ。
「ニバーンメの街で起こった魔族の襲撃のことよ。ラルゴたちは本当に知っていたのかしら?」
「……確かにそうだね。なんか曖昧な返事をしていた」
そうだった。
ラルゴは、あったね、程度だったし、魔法使いのラシンは宿にいたから知らなかったと返答したはずだ。
確かにニバーンメの街は大きい。
あの騒ぎをすぐには知ることができなかった人たちもいるだろう。
だけど街をうろつけば、あの事件のことは嫌でも耳に入ったはずだ。
しかし、あの日、あの街にいなければ魔族のテロのことを知らないのは当然だ。
テプ村の人たちも狼獣人の里の人たちも僕たちが伝えるまで知らなかったのだ。
情報の伝達は距離が開けば常に時間がかかる。
だとするとラルゴたちは実は魔族テロのことはまったく知らなくて、それを僕たちに悟られぬように話を適当に合わせた可能性がある。
「ここに来て発見ですねっ。これはもうニバーンメの街に向かった可能性はないかもしれませんねっ」
「だとしたら、どこに向かったんだろう?」
「テプ村はあり得ないわね。……だとすると別の街かしら?」
「そうですねっ。違法に攫った少女たちを奴隷として売るのなら大きな街しかないですねっ」
僕たちは互いに顔を見合わせた。
ニバーンメではない、テプ村は小さ過ぎてあり得ない。
……だとすると。
「サンバーンメの街?」
「そうね。ここからならニバーンメよりも近いし、街の規模からしてそういう違法な商売を手掛けている連中もいそうね」
「それ、きっと当たりですよっ。サンバーンメの街には奴隷商人のお店がありますっ。もちろん正規のお店では違法奴隷の販売はできませんが、きっと裏で取り扱っている悪徳商人もいる可能性がありますっ」
奴隷。
話には聞いたことがあるけど、僕の住んでいた師匠の家の近くの集落にもイチバーンメの街でもニバーンメの街でも見かけなかったし、奴隷商の店もなかった。
だけどサンバーンメの街には奴隷商がいる。
きっと僕やエリーゼがニバーンメの街に向う途中で捕らえた盗賊たちは犯罪奴隷として売られたと聞いたから、サンバーンメの街まで運ばれたのかもしれないね。
それから僕たちは進行方向を変更した。
3人での相談の結果、ニバーンメの街方面じゃなくて、サンバーンメの街方面へと変更したのだ。そして1時間くらい歩いたときだった。
「……足跡があるわ」
先頭を歩いていたエリーゼが土の上に残る複数の足跡を見つけた。
ちょっとぬかるんだ地面があって、そこにしっかり残っていたのだ。
「3人、……いや、4人分の足跡ね。ラルゴたちの可能性があるわ」
「そうですねっ。女の子たちは背負子に乗せられている可能性がありますしっ」
なるほど。
ハメンとかヘメンとか紹介された大男たちは背負子を背負っていた。
あれにサイラとミーラを乗せていると考えれば足跡の数の説明がつく。
それから僕たち新生『ひとつの足跡』はラルゴたちと思われる集団が残した足跡を辿った。ときどき見失うこともあったけど、森の中にはぬかるんだ土の部分はいくつもある。
なのでその度に発見して方向を確認し、追跡を続けたのであった。
そしてしばらく時が経過した頃だ。
先頭を歩くエリーゼの耳がピクリと反応するのが見えた。
「……いるわ」
そして振り返り、背の低い茂みに身を隠したので僕とフララランも同じように屈んだ。
「近いの?」
「もうすぐそこよ」
「やはり森歩きには慣れてないようですねっ。意外と早く追いつけましたねっ」
僕とエリーゼ、フララランの3人は茂みの陰から覗き見る。
すると遠くの大木の根本に数人の人間がいるのが見えた。
どうやら休憩中のようだ。
まず片手剣を抜いたまま周囲を警戒しているラルゴ。
杖を手に石に腰掛けて休んでいるラシン。
そして大男のハメン、ヘメンは背負子を背負ったまま立っている。
その背には俯いた姿勢で座らされ固定されている狼獣人の少女たちの姿があった。
誘拐犯に追いついたのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「いらぬ神にたたりなし」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




