068話 Sランクへの到達方法。
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どうぞ、よろしくお願いします。
「ああっ。この冒険者組合の札は本物ですよっ。私は100年くらい前に冒険者になりましたから、こつこつ依頼をこなしてSランクになったんですっ」
僕とエリーゼの驚愕の反応に機嫌を損ねたのか、頬を膨らませてフララランさんが抗議する。
「す、すみません。疑っている訳じゃありません。びっくりしただけです」
「ご、ごめんなさい。ただSランクの冒険者なんて方と、こんな場所で出会うとは思わなかったから驚いただけよ」
なるほど。
エルフはとにかく長寿の種族と聞いている。
100年間もの長き歳月に冒険者稼業を続けていたら確かにランクは上がるだろう。
だけどそれにしてもSランク!
あの『黒の鋼団』のAランク冒険者のライナスさんよりも上のランクの冒険者に会えるとは正直びっくりだ。
「わ、わかりました。じゃあフララランさんも私たちと同行をお願いします」
リーダーであるエリーゼがそう発言した。
なので僕には不満はない。
本人は100年かけた上で到達したランクと言ってるが、それでもSランク冒険者だ。頼もしい限りである。
「あっ、ならいっそ私もエリーゼのパーティに所属させてくださいっ。それの方が冒険者組合の処理も簡単になると思いますっ。……あっ、リーダーはエリーゼがそのまま務めてくださいねっ」
「ええっ! マジですか?」
僕は驚きの声を上げる。
思ったことを遠慮なく口にするフララランさんらしいと言えばらしいが、なにが嬉しくてDランクパーティに加入したいと言い出すのか。
「……私は構いませんが、フララランさんと私たちは天と地ほどランクが違いますよ。それでもいいのですか?」
「ランクがその人の実力とは言い切れませんよっ。Sランクでも弱い人は弱いですし、Dランクでも強い人は強いですっ。それに私が加入したいのはお二人に興味が湧いたからですっ。これは私が420年生きてきた経験からビビッと来たのですっ」
……420年ってなに? もう歴史の範疇でしょうが。
それに言ってる意味がわからない。Dランクでも強い人はいる可能性はわかる。元々実力があったが登録してまだ日が浅い強者なんかはいるだろう。でもSランクで弱い人がいるなんてあるのか? そもそも弱ければSランクにはなれないだろうが……。
「ビビッ? なにが来たのでしょうか?」
「退屈しないだろうと思ったんですっ。さあ、サイラちゃんとミーラちゃんを助けましょうっ」
なんか謎のフララランさんに気圧されて話が纏まってしまった。
里長さんはテプ村への使者に少女誘拐の件だけじゃなく、フララランさんの『ひとつの足跡』加入の件まで請け負ってくれて使いの者を送ってくれた。
そして新『ひとつの足跡』三人は少女奪還のために狼獣人の里を離れることになった。
「ラルゴたちはニバーンメの街に戻ると話していました。なのでニバーンメを目指したいと思ってます」
年上のフララランさんが相手なのでエリーゼは敬語になっている。
それは僕にしても同じだ。
相手は420歳だ。とてもじゃないが、呼び捨てにはできそうにない。
「あのねっ。私に対しては呼び方も呼び捨てで会話も対等でいいよっ。だって同じパーティの仲間でしょっ」
「わかったわ。フラララン」
「わかったよ。……フラララン」
「それでいいですっ」
なぜかフララランはご機嫌になるのであった。
そして僕たちは深い森の中を進む。
行き先はもちろんニバーンメの街の方角だった。
「追いつけるかな?」
「微妙ね。数時間は先に進まれているから」
「向こうは少女二人に怪我させないように向かっているから、歩く速度はこちらの方が速いと思いますよっ。エリーゼは狼獣人ですしっ、私も森には慣れてますからっ。……もし心配があるとしたらマキラが私たちのペースに着いてこられるかどうかですっ」
なるほど。
確かにエリーゼとフララランは僕よりも速度が速い。
僕は遅れがちになるので気合を入れてペースを上げるのであった。
そしてそれから1時間以上、森を進んだ。
「変ね。方角からしてニバーンメの街へ最短距離を私たちは進んでいるんだけど、ラルゴたちの足跡のひとつも見つからないわ」
「そうですねっ。休憩をした痕跡もちっとも見つかりませんっ」
エリーゼとフララランが疑問を口にする。
「……違うコースを選んだのかな? 例えばもっと歩きやすい道を歩いているとか」
「それはないと思うわ。里から追手が出るのは理解していると思うから」
「そうですねっ。追いつかれないためにも最短距離を選択したはずですっ」
僕の疑問に対して女性二人はそう返答してくれた。
やはり僕よりも経験が豊富なだけあって頼りになる。
……ちなみにだけど、僕はさっきからちょっと良からぬことを思っていたりする。
エリーゼは狼獣人の中では大きくないと言っているけど、やはり胸は大きい。
行動するのに邪魔にならないようにさらしで胸を巻き付けているくらいだ。
それに対してフララランはスレンダーだ。
スタイルはいい。
だけどエリーゼと比べると明らかに胸の大きさはささやかだ。
これは種族的な差かもしれないね。
「……ねえ、マキラ。なんか変なこと考えてないかしら?」
「そうですねっ。なんか私たちを見比べている感じがしますっ」
エリーゼとフララランにちょっと睨まれた。
「……べ、べつに変なことなんて考えてないよ。気のせいだってば」
冷や汗をだらだらと流しながら僕は弁明する。
2人はしばらく僕をジト目で見ていたけど、やがてため息をつく。
「まあ、いいわ。マキラも男の子ってことよね」
「そうですねっ。まあ仕方ないですっ」
100年間の活動結果なのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「いらぬ神にたたりなし」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




