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065話 精霊の泉。

【基本一日置きで夜の18時に更新します】

どうぞ、よろしくお願いします。



 

 すると最初はなるほど顔で聞いていたエリーゼだったんだけど、僕の話が進むに連れて難しい顔になっていた。

 なにやら気分を害している感じなのだ。




「……それって、そのフララランさんとマキラが二人だけでお風呂に入っていたってことでしょ!」




「……あ」




 僕は気がついた。

 エリーゼが不機嫌なのは僕がフララランさんと二人で温泉に入っていたことが原因だ。

 もしかして……、嫉妬……? いや、まさか……。




「フララランさんは僕より先に温泉に入っていたんだよ。それで湯気でなにも見えなかったときに彼女は出て行ったんだ。……だから彼女の裸は見てないよ」




 額から汗がだらだら流れた。

 僕は嘘を言ってない。だけどそれを判断するのはエリーゼだ。

 頬を若干膨らませてジト目で僕を見るエリーゼ。




「……まあ、いいわ。それって事故ってことでしょ?」




「そ、そう。事故、事故だよ」




 するとエリーゼはため息をひとつつくといつもの表情に戻ってくれた。




「……でも不思議よね。マキラの話によるとフララランさんは濃霧のような湯気を予告したんでしょ?」




「そう。まるで1分後に湯気が大量発生することが最初からわかっていたみたいだった」




「……それ、魔法かもね」




 なるほど。魔法か。

 予め予告しておいて魔法を発生させたのか。

 魔力量の多いエルフのことだ。そんな魔法を使えるのに不思議はない。




「でもさ。なんで1分後だったんだろうね」




「そうね。それは私も気になるわ。すぐに発動させてもよかったわよね」




 謎は深まるばかりだった。

 その後、僕たちは(なるべくエリーゼを見ないようにしながら)温泉を満喫したのだった。




 ■




 翌日。

 僕はこの里に一軒しかない宿で目を覚ました。

 ちなみにエリーゼはいない。

 彼女は里親である伯父さんの屋敷に泊まったのだ。




 そして宿を出るとエリーゼが外で待っていた。

 着ている服は狼獣人族の民族衣装らしい青、赤の混じった上着とズボン姿だが革製の胸当てと短剣を装備している。




「おはよう。マキラ」




「おはよう。エリーゼ」




 互いに挨拶を交わすとエリーゼは僕を手招きする。

 そして森の更に奥の方角へと指さしたのだ。




「見せたい場所があるって言ったでしょ」




 そう言えばそうだった。

 エリーゼはこの里に僕に見せたい場所があると言っていたのだ。

 僕はそのことから先行くエリーゼの後をついて行く。




 エリーゼは村の裏門を抜けるとそのまま森に入って行った。

 森は小道こそあるものの、手つかずの森林ですぐに日光が差さない薄暗い世界になる。




「遠いの?」




「そうでもないわ。だいたい30分くらいね」




 遠くで鳥のさえずりが聞こえる。

 時折風が揺らす葉音が響く。

 そんな静かで平穏な森の小道を僕とエリーゼは進む。

 そんなときだった。




「着いたわ」




「うわぁ……」




 そこは大きな泉だった。木々がないので明るい日差しが十分に差し込んでいる。

 水底に生える水草と泳ぐ魚たち。それでとても透明度が高いのがわかる。

 そして水がこんこんと湧き出ていて、水面が水の勢いで盛り上がっている箇所もある。




「すごくきれいだね」




 見ているととても不思議な気分になる。

 なんて言うんだろう? 気持ちが落ち着く感じ。

 いつまでも時をここで過ごしていたい。そんな気持ちになるのだ。




「でしょ? ……私たちは精霊様がお住まいになっている泉。……精霊の泉と呼んでるわ」




「わかる気がする」




 聖域。神域。

 そういう不浄とは縁のない特別に祝福された土地。

 初めて訪れた僕でもそんな印象を持ってしまう。




「子供の頃からつらいことがあると、いつもここに来ていたわ。すると……、不思議ね。しばらくここで泉を見ていると悲しいこととかが徐々に収まっていくのよ」




 子供の頃からか……。

 きっと父親が魔族と戦って亡くなったときもエリーゼはここに来ていたんだろうな。




「エリーゼ。ありがとう」




「え?」




「こんな大切な場所に連れて来てくれて感謝してるんだ」




「……良かった。マキラも気に入ってくれて嬉しいわ」




 エリーゼは微笑んでいた。

 その顔はとても美しくて神々しい感じに見えた。



きれいな泉なのです。(`・ω・´)∩



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「いらぬ神にたたりなし」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。

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