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064話 エルフのフラララン。

【基本一日置きで夜の18時に更新します】

どうぞ、よろしくお願いします。



 

「私はフラララン。見ての通りエルフですっ。……あなたは人族ですねっ。旅人さんですかっ?」




「……ぼ、僕はマキラ。見ての通り人族でDランク冒険者です」




 そう言えば思い出した。

 開村祭をしたあの大きな村で村長さんとツバルさんが話していた内容だ。

 村を訪れたエルフがいたが、すぐに獣人の里に向かったと言っていた。

 きっとこのフララランさんがそうなのだろう。




「ここの温泉目当てですかっ?」




「いえ。仲間の故郷がここなので……」




「そうなんですねっ。てっきり私と同じ温泉愛好家かと思いましたっ」




 聞けば世には温泉マニアが多数いて、世界各地の温泉巡りの旅をしているらしい。

 そしてこのフララランさんもそのひとりで世界中の温泉目指して旅をしている最中だと言うのだ。




「湯量も湯温も十分ですっ。ほのかに硫黄も香りますっ。ここは当たりですねっ」




 美人顔の相好を崩しニッコニコでそう言うのだ。

 そこには異性に裸を見られている羞恥は感じられない。

 ただひたすら心から温泉を楽しんでいるように見えるのだ。




 しかしそれよりもだ……。

 僕は気まずい。

 こういう状況では何を言えばいいのかわからないし、どうすればいいのかもわからない。



「……気まずいですよねっ。見知らぬ女性とお風呂で二人っきりってのは?」




「……はい」




「なにを話せばいいのかもわからないし。じっと見つめるのも遠慮しちゃいますよねっ?」




「ええ、まさにそんな状況です」




「大丈夫ですっ。今から1分後に私はここから出ますっ。それまで待ってくださいっ」




「……は、はあ」




 僕は目の前のエルフのフララランさんの顔だけをじっと見てしまう。

 いったいこの人はなにを言っているんだろう。

 そしてなにをするつもりなんだろう……。




 それから会話もなく。ただ時間だけが過ぎていった。

 僕はもうフララランさんを見ていない。

 湯につかっているとは言え全裸の女性の姿なのだ。

 じろじろ見るのは失礼だし変態扱いもされたくないし。

 だから岩場から温泉に流れ込むお湯をぼんやり見ていた。




 そんなときだった。

 温泉の湯全体からモワッと大量の湯気が一斉に発生したのだ。

 それもかなりの密度で一寸先すらまったく見えない。

 僕はなにが起こったのかわからないまま、ただ真っ白い世界で湯につかっていた。




「……じゃあ、私は出ますねっ。この湯気で身体は見えないから安心してくださいっ」




 そんなフララランさんの言葉がどこからか聞こえてきた。

 そしてザバッと立ち上がる水音がして湯の中を歩くザブザブとした音も聞こえてきた。

 やがて水音が聞こえなくなり、ガラリと戸を開ける音が聞こえてきた。




 するといきなり真っ白な湯気がサアッと晴れた。

 戻る視界。

 すると風呂場には僕だけしかいなかった。あの湯気に紛れてフララランさんは宣言通りに出ていったのがわかった。




 ……いったい、なんだったんだ?




 フララランさんが1分後と伝えて、そして湯気が発生した。

 そして宣言通りに去って行ったのだ。

 僕はそれがフララランさんの仕業としか思えない。

 そんなことをしばらく考えていたときだった。




「……え、もしかして誰かいるの?」




 突然、ガラリと脱衣場の戸が開いたかと思うとそんな言葉が聞こえた。

 この声はエリーゼだ。




「エ、エリーゼ……!?」




「ええっ! まさかマキラなの? え、だって入り口の札は未使用になっていたわよ」




「え、そんなはずは……」




 そうなのだ。

 僕は自分が入るときにちゃんと札を裏返して使用中にしておいたはずだ。

 ……ひょっとしてフララランさんのいたずら?




「どうしようかしら……? う~ん。でもマキラならいいわ。私も入るから目を瞑っていてね」




 そう言ってかけ湯を済ませたエリーゼが温泉に入って来た。

 僕はと言えばいい付け通りちゃんと目を閉じている。




「この温泉も久しぶりだわ。……はあ、気持ちいい。……あ、そうそう。もう目を開けてもいいわよ」




 許可が出たので僕は目を開けた。

 すると僕の真横にエリーゼがいた。

 湯に胸までつかっているので全体は見えないけど、それでも白磁のようなたわわな谷間はしっかりと見える。

 僕の鼓動が急に早くなった気がした。




「いいの? 男の僕といっしょに入っちゃってさ……」




「う~ん。なんだか今更って気になって来たのよ。別にもう平気でしょ?」




「その平気になれる気分が僕にはわからない……」




「いいのよ。もう。……それよりさっきお風呂場からエルフの女の人が出てきたのよ。あの人って行商人のツバルさんと村長さんが話していた人よね?」




「うん。そうだと思う」




 そこで僕は説明した。

 彼女の名前はフラララン。温泉愛好家で世界中の温泉巡りをしていることなどなど。

 そして1分後に風呂から出るから待っててと言われて待っていると大量の湯気が発生して気がついたらフララランさんの姿が消えていたこともだ。



謎に満ちたフララランなのです。(`・ω・´)∩



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「いらぬ神にたたりなし」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。



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