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062話 狼獣人の里に到着。

【基本一日置きで夜の18時に更新します】

どうぞ、よろしくお願いします。

 

「そう言えば魔物が暴れた件では大丈夫だったんですか?」




 会話が一段落したとき、エリーゼがそう発言した。

 あ、そうか。ニバーンメの街と言えば魔族が暴れた件だ。

 時期的に考えてラルゴさんやラシンさんたちもそのときはニバーンメの街にいただろう。だが、ラルゴさんとラシンさんは一瞬キョトンとした表情になった。




「……ああ、あの件ね。……あったね」




「……えっと。……ずっと宿屋の部屋にいたから、よく知らないんだ」




 ラルゴさんとラシンさんがそう答えた。

 なるほど。どうやら2人はあの件は知らないようだ。

 詳しく知っていれば暴れたのは実は魔物じゃなくて魔族だってわかるからね。

 それに触れないってことは、やっぱり知らないんだろう。

 あれだけの事件だけど、街は広い。

 まったく離れた場所にいたのなら知識はこんなものかもしれない。

 意外や意外だが、目の前にそういう人物たちがいるのだ。納得しなきゃな。




 やがてそれから1時間以上歩いたとき、小高い丘になっている森の間から麓に広がる集落が見えた。

 集落の周りは木製の柵で囲われていて、その中に草葺の屋根を持つ木造家屋が80件近く並んでいた。




「……あれが狼獣人の里」




「ええ。あれが私たちの里です」




 ラルゴさんに問われてエリーゼが返事をした。

 里の家々からはうっすらと煙が昇っている。時間的に夕食の準備中かもしれない。

 集落の中央は広場になっていて子供たちの集団が走り回って遊んでいるのも見える。




「私たちは里に行きます。どうします? ラルゴさんたちを里長(さとおさ)に紹介しましょうか?」



 エリーゼが振り返ってそうラルゴさんたちに提案した。

 するとラルゴさんとラシンさんたちは首を横に振った。




「いや。俺たちは今回は里の場所を探しに来ただけなんだ。行商する商品も手土産も持って来ていない。次に来るときに用意するつもりだったんだ」




 なるほど。

 人里離れた森深くの集落だ。

 まずは場所を確認してからの行商なんてのもあるんだろう。

 考えはわかった。




「でもせっかくですから一泊くらいはしてはどうです? まもなく日も暮れますよ」




「いや。気持ちだけいただいておく。俺たちはこのままニバーンメの街に帰るさ」




 どうしてもの都合があるんだろう。

 例えばできるだけ急ぎで取引したいので一泊するのすら時間が惜しいとか。

 人には人の事情がある。なので僕もエリーゼも無理強いはしないことにした。




 そして手をふるラルゴさんたちと別れて僕とエリーゼは森の斜面を降りた。

 そして里へと続く土の道に到着し、そこを歩き始める。

 やがて森が開け、木製の門と柵が見えてきた。狼獣人の里に到着したのであった。




「……ただいま」




 門には1人の狼獣人の男性が槍を持って立っていた。

 最初は怪訝そうな顔をしていたんだが、エリーゼを確認したら耳をピンと伸ばしその顔に笑みを浮かべた。



「ん? エリーゼか? 久しぶりだな。確か冒険者になったんだったな」




「ええ。仕事で近くまで来たので里に顔を見せようかと」




 門番の男性は笑顔でエリーゼの肩を叩く。




「おお。して、そちらの方は?」




「私の旦那様です。将来の……」




「ええっ~!」




 僕は驚きの声を上げた。

 だって、そういう約束じゃなかったでしょ? ねえ?




「おお。そうか。それはめでたい。これは里長に知らせんとな。どれ待っておれ」




 そう言った門番の男性は里の中へ走って行ってしまった。

 背中がどんどん遠ざかり一際大きな屋敷の中へ姿を消す。




「ちょ、ちょっとエリーゼ」




 僕は抗議の声を上げてエリーゼを見る。

 するとツーンとおすましをしてそっぽを向く。

 どうやら言っても無駄のようだ。

 まあ正直言えばぜんぜん悪い気はしてないんだけどね。




 やがて門番の男性が戻って来た。

 そして手招きされるまま里長の屋敷の方へと案内された。




「ぜんぜん変わってないわ」




 里の中を見回してエリーゼがそう呟いた。

 郷愁。

 きっとそんな感じなんだろうな。

 僕だってきっとあの山奥の師匠と暮らした家に戻れば同じ感想を抱くだろう。




 家々はすべて木造で粗末な造りだった。

 屋根は草葺。

 壁は木板で扉も板作り。

 窓にガラスはなくてただ開けるか閉めるかだけの簡単な構造。

 でも不思議に貧しさは感じられない。

 それは手入れが良くされているからだろう。

 ただ昔からの暮らしをずっと守って暮らしている。そんな印象を受けた。




 屋敷に入ると大広間に案内された。

 するとそこには民族衣装と思われる赤や黄色の色使いの上着を着た壮年の男があぐらをかいて座っていた。たぶん里長、つまり族長だと思われる。

 その周りには年老いた男や女が数人いる。この人たちはこの里の長老格ってところだろう。

 やがて民族衣装を来た、里長と思われる男性が僕とエリーゼに正面に座るように手招きした。




「エリーゼ。よく戻った」




「はい。伯父上もお元気そうでなによりです」




 聞けば里親の男性はエリーゼの伯父さんとのこと。

 そして魔族と戦って亡くなったエリーゼの父親はこの里親の弟だそうだ。




「して、そちらが婿殿か?」




「ええっ……「そうです」」




 僕の戸惑いの声はエリーゼの声に上書きされた。

 ちょ、ちょっと~。

 僕はエリーゼを軽く睨むがエリーゼはやっぱりつーんとおすましだ。



里に到着したのです。(`・ω・´)∩


 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「いらぬ神にたたりなし」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。



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