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061話 深い森の中。

ストックがなくなりました。

そのため【基本一日置きで夜の18時に更新します】

どうぞ、よろしくお願いします。



 

 そして街道を西に進む。

 背後の東から朝日が登り始めて前方の道の上に僕たちの影が現れる。




「日が昇ってきたね」




「背中がちょっと温かいわ」




 そんなことを言い合いながら、僕たちは村の外で栽培されている果樹園を両脇に見ながら進むのであった。

 途中、昼の休憩を挟んで、なお旅は進む。

 そして魔物に襲われることもなく快調そのものだった。

 やがて街道を僕たちは外れた。

 そこには見回せないほど広がった森があった。

 森の中に通じる小さな道があるが左右は見上げるほどの巨樹だ。




「この道は途中までしかないのよ。狩りや木材伐採のためのものだから奥までは続いてないのよね」




 そうエリーゼは説明してくれた。

 やがてエリーゼの言う通り森の中を右に左にうねっていた小道はこぢんまりとした広場で途絶えた。

 そこは直径50メートルくらいの円形になっていて木々がすべて伐採されていることから膝下よりも短い草が生えているだけの場所だった。

 そしてエリーゼが言った通りに切り出した丸太の山がいくつかある。

 樵さんたちの集積所のようだ。




「ここから更に奥へ行くのよ」




 広場で小休憩を取った僕たちはまた森の中へと入って行った。

 だけどもう道はなくて背の低い木や大木の枝や根を避けながらの移動となってしまった。辺りは急に暗くなり、日差しは木々に遮られて地面まで照らしている箇所はない。




「深い森だね」




「そうよ。だからこの先まで人族が来るのは稀だわ」




 なるほど。

 確かに道なき道の深い森だ。

 それなりの目的がなければ踏み入れる必要はないよね。

 それからも僕たちは森に踏み入り続けた。

 僕からすると目印もなにもない森の中で移動を続けることに不安を感じる。

 もしかしたら同じ場所をぐるぐると迷っているだけなんじゃないかと思ってしまうのだ。だけどエリーゼを見ると行き先の方角に確固たる自信があるようで、その歩みに迷いはない。




 そんな歩きを2、3時間続けた頃だった。




「……気配があるわ」




 前を歩くエリーゼがいきなり言う。

 両耳をピクピクと動かしている。




「魔物?」




「いいえ。たぶん人よ。3人。……いや4人ね」




 こんな森の奥に人がいる。

 それは驚きだった。




「冒険者とかかな?」




「かもしれないわね。……念のため用心して確認するわよ」




 エリーゼに気配察知は優秀だ。

 まだ相手側は気づいていない。

 なので僕たちは物音を極力抑えてゆっくりと移動する。

 そんなときだった。




「……ううう。は、早くポーションを」




「わ、わかった」




 そんな男同士の会話がかすかに聞こえてきた。

 僕たちは緊急性はあまりなさそうな、もう事は終わったかのような雰囲気を感じ取ったので、それほど急ぎ足ではないまま声の方へと近づいたのだ。

 するとそこには4人の男たちと地面に切られて伏せられた2匹のゴブリンの死骸があった。




「大丈夫ですか?」




 大きな木の陰から身体を半分だけ見せて僕が尋ねた。




「ああ? ああ、大丈夫だ。なあにちょっとゴブリンに襲われてな」




 腕に怪我をして治療を受けている男がそう返事した。

 見るところ30歳くらいの男性で皮の胸当てに片手剣を装備している。

 そしてその片手剣の男をポーションで治療しているのが頭からローブを羽織った細身の男でやはり30歳くらいに見えた。

 こちらの男は魔法使いだろうか。

 そしてその周りに身体が大きな男が2人いた。

 背に背負子を背負っているが、特に荷物を持っている様子はない。

 まあ、食料とかテントとかの主だった荷物は魔法収納袋に入れているだろうしね。

 こんな深い森の中に来るくらいだ。当然持っているだろうし。




「僕たちは冒険者です。お手伝いすることはありませんか?」




 すると片手剣のどうもリーダーっぽい男が僕、と言うよりも僕の背から姿を見せたエリーゼを見て、少々驚きの顔を見せていた。




「ああ、ありがとう。今は大丈夫だ。……それよりも君は狼獣人なのか?」




「ええ。そうですが」




 エリーゼが質問の真意がわからない様子を見せていたが正直に答えた。

 すると片手剣の男が笑顔になる。




「そうか。……我々は行商人なんだが、この近くに狼獣人の里があると聞いて探しているんだ。場所は知らないだろうか」




 それはもちろん知っている。

 だって僕たちはそこを目指しているんだし、第一そこはエリーゼの生まれ故郷だ。




「わかります。案内できますよ」




 エリーゼがそう答えると片手剣の男は笑顔になった。




「それはありがたい。俺の名はラルゴ。そしてこっちの魔法使いがラシンだ」




 それから背負子の大男2人も自己紹介した。確かハメンだかヘメンだかそう言った名前の男たちだ。似ているから兄弟かもしれない。




 そしてエリーゼを先頭に僕たちは森を移動することにした。

 ラルゴさんの腕の怪我は相棒の魔法使いラシンさんの治療ですっかり良くなっている。

 そして話題はニバーンメの街のことだった。

 湖が美しいこと。おいしい店が多いことなど僕とエリーゼにもわかる内容が多かったので会話は弾み、道のりは退屈することがなかった。



行商人たちと出会ったのです。(`・ω・´)∩



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「いらぬ神にたたりなし」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。



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