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060話 互いの理解。

ストックがなくなりました。

そのため【基本一日置きで夜の18時に更新します】

どうぞ、よろしくお願いします。

 

 耳を伏せて俯いたまま、エリーゼがポツンと呟いた。

 僕は突然のことになにも言えなくなってしまう。




「……やっぱり私じゃ嫌? それとも私が人族じゃなくて狼獣人族だから?」




 返事をしない僕になにか躊躇う原因があるんだろうと思ったのか、エリーゼが問いかけてくる。




「そ、そんなことないよ。……えっと、人族と獣人族だとなにか問題があるの?」




「別になにもないわよ。ちゃんと子供も生まれるし。……ただ種族が違うのを嫌がる人も多いから」




「そうなんだ」




 僕はエリーゼが嫌いじゃない。いや、多分好きだと思う。

 だって性格の良いきれいなお姉さんなんだ。嫌なはずがない。

 だけど知り合ってまだそれほど月日が経ってないんだ。

 お互いの良い部分はいいとして、悪い部分もきっとあって、それもお互いに見極めてから結婚するのが普通なんじゃないかと思ってしまう。




 それにエリーゼとはこれからもいつもいっしょだ。

 なんせ同じ『ひとつの足跡』なんだからね。

 だから慌てて判断する必要なんてないんじゃないかと考えてしまうんだ。




 それにだ。

 僕は未成年だしね。エリーゼとは確か3歳年が違う。

 年上の女性が嫌とはまったく思わない。

 なんせ師匠といっしょに長年暮らしていたからね。

 むしろ同性と長く暮らす方の方が想像できない。




「エリーゼの一族にそういう決まりがあるの……?」




「そういう決まりって?」




「えーと、は、肌を見ちゃったら結婚しなきゃならないとか」




「あるよ。未婚の女性は絶対に男性に肌を見せちゃダメなのよ。だからもし見せちゃったら……」




 なるほど。そういう慣習があるのか。

 だからエリーゼはムキになっているんだな。

 ここはどうしよう。

 やっぱり正直に言った方がいいんだろうな。




「あのね。……僕はエリーゼが好きだよ。でもそれは人間としてのエリーゼが好きってことで、女の子としてのエリーゼが好きという気持ちにまでなっていないんだ。

 もちろんこれからもパーティを組んでいろいろ経験していくうちにエリーゼを女の子として好きになっちゃうかもしれない。

 ……だから、今はお嫁にもらうってのを保留にできないかな?」



 嫌われるかもしれない。

 怒らせるかもしれない。

 でも僕は今の僕の正直な気持ちを正直に伝えた。




 静かだった。

 外から鳥がさえずる声だけがかすかに聞こえる。




「……わ、私も。……考えたら私もマキラが好き。

 ……でもそれは人間として好きであって、まだ正直男の子として好きとは言えないかも……」




「へへ。同じだね」




「そうね。同じね」




 僕たちはその後も話し合った。

 またお互いのことを全部知っていない。

 きっと隠された良い面、悪い面もあるはずだ。

 そういう部分もすべて含めて納得し会ったときに二人の関係は進展するんだろう。




 ■




 村一軒の宿屋を出る。

 目の前は昨日は大騒ぎの祭り会場だった広場だが、痕跡はすっかり片付けられていて今はほとんど人がいない。

 あまりにも静か。まさに祭りのあと状態だ。

 そんな中、僕たちは空いていたベンチに並んで腰掛けた。




「ねえ、マキラに見せたい場所があるの」




 そう突然エリーゼが言ってきた。

 どこかと訊くとこの村から街道を西に歩いて森に入る一日の距離だとこと。




「なにがあるの?」




「狼獣人の里。私の生まれ故郷よ」




「へえ、割と近くだね」




 聞けばエリーゼはそこで生まれ育ってニバーンメの街で冒険者になって、イチバーンメの街に来たらしい。

 もちろん冒険者になった理由は里が魔族に襲われて父親や同郷の獣人たちが殺されたからだ。

 彼女は復讐を決意して冒険者になったのだ。




「里に見せたい場所があるの?」




「ええ。……でもそれがなにかは今は内緒」




 なぜだろう?

 なにか目的があるんだろうか?




「どうして?」




「ふふふ。それは行ってからのお楽しみよ」




 そう言ってエリーゼは笑顔になるのだった。

 目元は優しく口元は僅かに開いている。

 なんてきれいな笑顔だろう。僕は正直にそう思った。

 またエリーゼに魅了されてしまったようだ。




 ■




 その日は村近郊の森に入ってウサギや鳥を狩った。

 それを村にある冒険者組合の出張所に持ち込んだ。

 それなりの規模の村なので冒険者組合の事務所があるのだ。

 だが、規模はそれなり。

 掲示板に依頼票は少なく、魅力ある依頼もない。

 だからいつも買い取ってくれる常時依頼の獲物を狩ったのだ。

 大した金額にはならなかった。

 だけど今日一日をただぼんやりと過ごすには退屈だったので、狩りをしたと言う訳だ。




 そして翌朝。

 宿で昨夜依頼しておいた早めの朝食を摂って僕とエリーゼは旅立つことにした。

 昨日のうちにツバルさんや村長さんには挨拶しておいたので、僕たちはまだ村人たちが活動するよりも早い時間に村の門を出たのであった。



獣人の里に向うのです。(`・ω・´)∩


 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「いらぬ神にたたりなし」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。



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