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058話 開村祭。

ストックがなくなりました。

そのため【基本一日置きで夜の18時に更新します】

よろしくお願いします。

 

 それからも街道を進む。

 街道と言っても石畳や煉瓦で造られていることはなく、馬車の轍が刻まれた土の道だ。

 周りはニバーンメの街の穀倉地帯で麦畑が延々と続いている。

 そして畑の所々には農作業をする農家さんの姿も見える。

 空は晴れて、白い雲がのんびり浮かんでいる実にのどかな風景だ。




 そして昼休憩を途中で取り、その後はまたのんびり風景の街道を進んだ。

 やがて日が傾き始めた頃、丘の麓に大きめの村が見えた。

 村の周りは木製の柵で囲まれていて、その中には木造の建物が50くらいはある。




「無事に到着できそうですね」




 ツバルさんが笑顔でそう言った。

 ここまで来れば後は坂道を降りるだけで村に到着だ。

 毎回毎回、盗賊や魔物に襲われる訳もないしね。

 今回は無事の冒険になったようだ。




 そして村へ到着した。

 ツバルさんは村のほぼ中央にあるいちばん大きな屋敷の前で荷馬車を停める。

 どうやらそこが依頼主である村長さんの家のようだ。

 まあ、こういう村なら村長がいちばんの金持ちだろうから、いちばん大きな家に住んでいるのは当然だろうね。




「……なにか、あるのかしら?」




 辺りを見回していたエリーゼがぽつりと言う。

 僕はそれが気になってエリーゼに視線を追う。

 すると村の建物だけじゃなく広場の中央に生えている大きな樹木たち、村の境に設置されている木製の柵などに赤、青、黄色の色とりどりな布が紐で繋がって飾られているように見えるのだ。




「開村祭ですね」




 ツバルさんがそう言う。




「開村祭?」




 ツバルさんが説明してくれた。

 なんでも50年くらい前にこの村が開拓されたとのことで、その祝いの祭があるんだそうだ。




「私が運んできたお酒もそのためなんですよ」




 なるほど。

 大事な祭だから高いお金を払ってわざわざ高級酒を取り寄せた。

 たぶん村人に振る舞われるんだろうね。




 やがて老いたいかにも村長って雰囲気のヒゲのお爺さんがやって来た。

 そしてツバルさんと親しげに話を進め、無事に酒樽は納品された。

 会話を聞いていてわかったのだが、開村祭は明日らしい。

 そしてもう日が暮れるので、僕とエリーゼ、そしてツバルさんも村に一軒だけある宿屋に泊まることになったのだった。

 僕とエリーゼは同室にした。

 なぜって? 費用節約のためだよ。だからなにかのハプニングなんて一切ない。

 まあ、いつも通りだね。




 そして翌朝。

 夜が明けたばかりの頃から外では大勢の人々が動き回る気配がしていた。

 窓を開けて見ると、すでに祭の用意は始まっていて肉を焼く料理の匂いとか椅子やテーブルなどを運ぶ様子などがうかがえた。




「今日はどうするつもりなの?」




 エリーゼが尋ねてきた。




「うーん。……せっかくだから祭を楽しんじゃ駄目かな?」




 そうなのだ。

 僕は師匠と山奥で二人きりで暮らしてきたのだ。

 なので祭なんて話でしか聞いたことがない。

 すると僕のそんな事情を察してくれたのかエリーゼは笑顔を見せてくれた。




「そうね。たまにはいいわよね」




 そして今日はすぐにでもサンバーンメの街に行く予定だったのを変更してこの村の開村祭を楽しむことが決まったのだった。

 やがて日がすっかり昇った頃、僕とエリーゼは村の広場にいた。

 そこでは臨時に設えられた祭会場があり、村の有志による楽隊の音楽が鳴り響き、それに合わせて踊りだす者も多くいた。

 テーブル席もたくさん用意されていて、僕たちはそのひとつに腰掛けている。




「これ、おいしいわね」




 エリーゼは果物を食べていた。手で皮を剥いて食べられる柑橘類。つまりみかんだね。

 この祭ではさまざまな食物が振る舞われていた。

 肉は近くの森で捕らえたイノシシ。

 野菜や果物は村で栽培したもの。

 それらを僕とエリーゼ、そして行商人のツバルさんも無料で戴いている。

 そしてお酒も。

 もちろんツバルさんが運んできた高級酒だ。




「お酒もおいしいわ」




 ご機嫌な顔になってエリーゼが言う。

 ほどほどにね。

 僕はもちろん飲んでいない。果実から絞られたジュースを口にしている。

 アルコールが入ったからか、村長さんとツバルさんの会話が弾んでいる。

 僕は聞くともなしになんとなく聞いている。




「そう言えば先日、この村にエルフの女性が来ていてのう」




「ほお。エルフとは珍しいですね。……美人でしたか?」




「ふぉふぉふぉ。べっぴんさんじゃったのう」




 それは聞いたことがある。

 エルフは主に森に住む魔力が豊富な一族で長い耳を持つ長寿種だ。

 でもいちばんの特徴と言えるのが、美人なことだ。

 男も女も全員美人だと言うのだ。




「そのエルフはもういないのかしら?」




 エリーゼもアルコールで陽気になっているようで気軽に二人に話しかけていた。

 僕もなんだか気になったので話の成り行きに注目する。




「……森の中に獣人の集落があるんだが、そこに向かうと行っていたのう」




 村長さんによると、この村にはただ宿を借りるために寄っただけで一泊してすぐに去ってしまったようだ。




「お前さんと同じような格好をしていたぞ」




 酔ったトロンとした目で村長さんが僕を見て言う。

 ……だとすると魔法使いだろうか?

 聞けば三角帽子に長いローブ、そして杖を持っていたそうだ。

 魔力に優れるエルフだから、やっぱり魔法使いかもしれないね。



村のお祭りなのです。(`・ω・´)∩


 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「いらぬ神にたたりなし」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。




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