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055話 魔族の再出現。

【毎日夜の18時に更新します】

よろしくお願いします。



 

「それにしても。……どうしてミサイアさんがこの街に?」




 エリーゼが当然の質問をした。

 そうなのだ。

 わざわざ仲間に認識阻害の魔法をかけてもらってまで、この人族の街にいることに疑問がある。




 そのときだった。

 笑顔だったミサイアさんの表情が一瞬で引き締まった。

 そしてエリーゼも両耳をピンと立てる。




「……マキラ。悪意の気配があるわ」




 小声でエリーゼが伝えてきた。

 周囲には日常生活を送っている平和な人々の笑顔があるのだ。

 だから慎重になっているんだろう。




「魔族ってこと……?」




「そうね」

「そうだ」




 エリーゼとミサイアさんが同時に返事をした。

 僕は不安になり辺りを見回す。

 もちろん挙動不審な人物を探すためだ。

 魔族は人族に化ける。それは前日の少女ですでにわかっている。




 そのとき僕は石畳の通りの向こうを見た。

 そこには花屋があって、売られている切り花を見ているおばあさんがいた。

 だが、なにか様子がおかしい。

 その老婆は首を左右に不自然に振っている。

 そしてそれだけじゃなくてやがて身体全体を左右にゆらゆらと振り始めたのだ。




「ねえ、エリーゼ」




「そうね。なにか様子がおかしいわ」




 そしてその直後だった。




「グゲゲゲゲッ……!」




 老婆がおぞましい声を大音量で上げたのだ。

 そして身体が見る見るうちに巨大化し、服を破り、その下から青黒い肉体が現れたのだった。

 頭部には羊のような角。そして両目は燃えるような赤……。




「出たっ……!」




 僕がそう叫んだ。




 ――ピリリリリリッ!




 突如笛の音が響いた。

 エリーゼが冒険者組合から渡された非常用の呼子を吹いたのだ。

 これで辺り一帯に非常事態が伝わっただけじゃなく、魔導具でもある笛の能力で冒険者組合にも魔族出現とその位置が判明したはずだ。




 そして魔族だが、花屋に一撃を加え店を半壊させた後、近くにいた人たちを両手で薙ぎ払った。




「「「「「キャーッ」」」」」

「「「「「ウギャー」」」」」




 辺り一帯に悲鳴が響く。

 太い腕で薙ぎ払われた人たちは空中に吹っ飛んでいた。

 その中には深い傷を負った人もいるようで宙に血が撒き散らされる。




 そして僕たちだ。

 僕は杖、エリーゼは短剣を抜いて戦う準備は終えた。

 だけど僕たちの力が通用しないのは前日の魔族戦ではっきりしている。

 でもだからと言って、冒険者である僕たちがただなにもせずに見ているのはできない。

 僕とエリーゼは互いの顔を見て頷いた。

 それはせめて応援が来るまで戦うことの決意の確認だ。それがただの時間稼ぎにしかならなくても……。




 そのときだった。




「エリーゼ、マキラ。お前たちは支援に回れ!」




 そう叫んだメサイアさんが剣の柄に手をかけて魔族に突っ込んで行ったのだ。

 町娘風の紺色ロングスカートの裾がひらひらと舞う。

 いったいメサイアさんはどうするつもりなのだろう。

 彼女とは森の中で一戦交えているので実力はわかるのだが、魔族に通常の攻撃は一切効かないのだ。




「マキラ、私たちも……」




「わかった」




 エリーゼに続き僕もミサイアさんの後を追う。




「私はミサイアさんの後ろで援護するから、マキラは魔法を!」




 僕は頷いた。

 そうだった。

 前回、僕の転倒魔法は魔族にレジストされた。

 だけど勇者スザクと模擬戦をしたときに多数重ねがけをしたところ、転倒まではできなかったが下半身を動けなくすることはできたのだ。

 なので今回も試してみる価値はある。




「転倒、転倒、転倒、転倒、転倒、転倒、転倒、転倒……」




 のっけから飛ばした。

 僕は息が続く限り、魔力が続く限り、転倒魔法を発動させた。

 すると暴れている魔族の足元に魔法陣が次々と重なって浮かび上がる。

 最初のいくつかはその場でパリンと割れてしまったが、それでも続けているとやがて魔法陣が完成した。

 そしてその魔法陣の上に更に魔法陣が浮かび上がる。





「グギギギギ……?」




 魔族が戸惑ったかのような声を上げた。

 無論、転倒させるまではできなかったが、明らかに動きが鈍くなった。

 まるで泥沼に足が埋まったかのように歩みが遅くなる。




「はあっ!」




 そこに到着したミサイアさんが抜刀するのが見えた。




「……青い剣!」




 そうなのだ。

 まるで認識阻害魔法がかかっていないときのミサイアさんの肌の色、つまり空色のような真っ青な剣だったのだ。



また魔族が現れたのです。(`・ω・´)∩



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「いらぬ神にたたりなし」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。




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