051話 置き手紙。
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その後、支部長さんから説明があった。
今回の魔族襲撃の件は領主様にもすでに伝えてあるとのこと。
そして僕たち『ひとつの足跡』とライナスさんたち『黒の鋼団』にも謝礼金を出すとのことだった。
僕たちは全然活躍できなかったが、それでも魔族に立ち向かい勇者到着まで時間稼ぎをしたことが評価されたようだった。
それから僕とエリーゼは『黒の鋼団』と別れた。
ライナスさんたちは手を振りながら出て行ってしまったが、僕とエリーゼは冒険者組合の建物に残る。
その理由は僕の師匠である魔法使いアルの行方探しだ。
「……魔法使いのアルさんですか?」
窓口の受付嬢のお姉さんに僕とエリーゼは尋ねた。
すると茶髪ロングでなかなかの美人さんの受付嬢さんは該当する書類を見て難しそうな顔になる。
「結果から申し上げますと、まだこのニバーンメの街にいらっしゃいます」
これは嬉しい情報だ。
この街は広いがそれでも見つかる可能性がある。
「ですが……。詳しくはお教えできません。そのようにご本人から申告がありましたので」
なんか雲行きが怪しい。
どうやら師匠は自分のことをいろいろ公開したくないようだ。
だからこの受付嬢さんは難しい顔をしていたのか。
「宿泊している宿とかよく行く場所とかだけでも教えてくれたらいいんですけど……」
「……申し訳ありません」
頭を深々と下げられてしまったよ。
僕はエリーゼを見る。するとエリーゼも首を振っている。
諦めろと言う意味なんだろうね。
「自力で探すしかないか……。エリーゼはそれでもいい?」
「私はいいわよ。パーティメンバーだし。……それに街を歩けば案外すぐに見つかるかもしれないわよ」
そう言ってエリーゼは笑顔を見せてくれた。
エリーゼが師匠捜索に同意してくれただけでも良しとしよう。
そして街を歩く。
それは今夜泊まる宿を行くためだ。宿はすでに冒険者組合で見つけて予約してある。
もちろん僕たちはすれ違う大勢の人たちの中からローブ姿の魔法使いに注意を払っている。だけど魔法使いはほとんど見かけず、また見つけてもそれは師匠ではなかった。
予約した宿である『水鳥の憩亭』は歩いて40分くらいだった。
冒険者組合からはちょっと遠いけど距離と価格のバランスを考えた結果、ここに決めたのだ。
ニバーンメの街はイチバーンメの街より宿代が高かったのだ。
そして宿で食事を済ませ、僕たちは予約した部屋に入る。
今回も宿代節約のために僕とエリーゼは相部屋だ。
そして相変わらずベッドはぴったりとくっつけてあった。
僕は思わず苦笑いをしてしまう。
「ベッド、離した方がいいかしら?」
「……いいよ。このままで部屋が狭いから」
そうなのだ。
この部屋は狭い。なんか一人部屋に無理やりベッドを2つ入れた感じなくらい狭いのだ。なのでベッドを離してもせいぜい15センチくらいしか離せない。
それに僕は変な気を起こさなければいいだけの話だしな。
それから僕たちはベッドの上に座って話をした。
その内容はやはり魔族の襲撃と勇者スザクとの試合になる。
特に勇者戦は反省と手応えが大きいので自然と話の中心となる。
「マキラの魔法の重ねがけは悪くなかったわね」
「そうだね。例え相手が強者でも転ばせることはできなくても足止めができるのがわかったのは収穫だね」
そうなのだ。
強い相手にただレジストされてしまうだけでは僕はまったくの戦力外となってしまう。
だけど重ねがけすることで相手を地面に固定できることがわかったのだ。
こうなると僕たちの攻撃は有利になるし戦い方の選択肢も増える。
……もしかして?
もしかして、僕の転倒魔法の応用を体験させるために、あえて勇者スザクはあの試合で最初から立ち位置を動かず僕の魔法を受け続けてくれた……とか?
……んー。考え過ぎかな?
夜も更けてきた。
僕たちは明日に備えて寝ることにする。
するとエリーゼがこちらを向いたまま服を脱ぎ始めた。
するするっとボタンを外し、あっという間に上はさらし、下はショーツだけの姿になる。
……げ。
僕は思わず視線を外す。
だけどたった今見てしまった真っ白な肌と下着だけの姿が目に焼き付いている。
きれいだった。
だけど直視するのは罪の意識を感じさせる。
そのくらい清楚なお姿だったのだ。
「……エ、エリーゼ。どうして下着姿になるの?」
「え? だって寝るんでしょ? 私、寒くないと寝るときは下着だけよ」
「そ、そうなんだ」
目に毒なんだよ。
僕の年齢を考えて欲しい。
ただでさえエリーゼは整った顔つきとスタイルの美少女なんだ。
そんな姿をされたら、僕の理性がどうにかなっちゃいそうだって思わないんだろうか?
「お、お休み!」
僕はあわてて毛布を被った。
そしてエリーゼを見ないように背を向けて目をつむる。
なんだが胸の鼓動が激しくて眠れそうにない。
そんな風に思っていたが、やはり疲れは溜まっていたようで知らないうちに眠りに落ちていたのだった。
■
翌朝。
僕は少し寝坊したようだ。日はすっかり昇っていて窓から日差しがたっぷり差し込んでいたからだ。
そして横のベッドを見る。
するとそこにエリーゼの姿がなかった。毛布がきれいにたたまれているのを見ると、ちょっとトイレに抜け出したとかじゃなくて、すっかり起床した後だとわかる。
……どこ行ったんだ?
僕は辺りを見回した。するとエリーゼの防具や短剣もないのがわかる。
どうやら外出したようだ。
更に見回すと丸テーブルの上に紙があった。
手にとって見る。
するとそれはエリーゼの書いた手紙だった。
手紙が残されていたのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「いらぬ神にたたりなし」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




