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045話 惨劇の始まり。

【毎日夜の18時に更新します】

よろしくお願いします。



 

 そうなのだ。

 街の奥には山々が連なっていてそこから流れる水が太い滝となって大きな湖に流れ込んでいた。

 街は湖畔に並ぶように建っている。

 湖には大きめの島があり、街から幅広い石橋でつながっていた。

 島には大きな尖塔を持つ巨大な石造りの建物が3つあるのが見えた。




「島には領主様の屋敷、大聖堂、そして冒険者組合があるのよ」




 よく見れば3つの大きな建物の周りには小さな建物が密集している。

 そして石橋の橋の欄干に当たる部分がすべて建物になって連なっていた。

 要するに湖畔と石橋と島を合わせたのがニバーンメの街らしい。




「イチバーンメの街も大きいと思ったけど、ニバーンメも同じくらい大きいんだね」




「交通の要所だから規模としてはニバーンメの方が大きいわよ」




 エリーゼがそう説明してくれた。

 そんなこんなで商隊は進み続け、それからしばらくしてドガ商会の商隊はニバーンメの街の門に到着したのだった。




 そして検問所に着いた。

 検問所はイチバーンメと同じく列が3つ分かれていた。

 徒歩の人用と馬車用とお貴族様たち用だ。

 もちろん僕が乗る商隊は馬車用に並ぶ。

 そしてしばらく待つと順番が来た。




 僕たちは衛兵さんたちに注目されていた。

 それはドガ商会がただの商隊じゃなくて隊の後方に縛り上げた盗賊6人を連れているからだ。




「盗賊ですか?」




「はい。一部を捕獲。大多数は殺害して遺体は保管しています」




 代表のドガさんがそう対応していた。

 そして僕たちは衛兵詰め所へと商隊ごと誘導されるのだった。

 詰め所には衛兵隊の隊長さんが応対してくれた。

 そしてドガさんが経緯を説明した。そして確認が取れたことで生き残りの盗賊6人とライナスさんが魔法収納袋に入れていた15人の盗賊の遺体を引き渡すのであった。

 僕とエリーゼは荷馬車の御者台に座ってそれを見ていた。




 そしてドガさんはこの事件の背景にあるゴリアス商会の件ももちろん伝えた。

 それに関しては生き証人として盗賊たちの生き残りがいることだけじゃなくて、衛兵隊も独自に調査していたようで、過去のいくつかの商隊襲撃事件にゴリアス商会の影が見え隠れしているのを掴んでいたようだ。

 そのことで今後、ゴリアス商会には家宅捜索が入る予定とドガさんに返答しているのを僕たちも聞いた。

 これでゴリアス商会ってトコは終わりなんだろうな。




 そしてすべての手続きが終わった。

 ドガ商会の荷馬車は商会のある建物に向かうとのことで、ここで僕たち『ひとつの足跡』と『黒の鋼団』は分かれることになった。




「エリーゼ、マキラ、お疲れ」




『黒の鋼団』のリーダーのライナスさんが僕たちのところにやって来た。




「これ、お前らの取り分だ」




 そう言って小さな麻袋をエリーゼに手渡す。

 中身を確認すると金貨が5枚入っていた。




「これは?」




 僕が尋ねるとライナスさんがニヤリと笑う。




「盗賊の代金だ。生きたままだから犯罪奴隷として売れたってことだ」




 なるほど。

 盗賊5人で金貨5枚。

 生かして捕らえて良かったと思った。

 エリーゼを見ると彼女も笑顔だ。きっと僕と同じ考えに違いない。

 それから僕たちはライナスさんたちと冒険者組合に向かうことになった。

 それはもちろん護衛依頼の報告のためだ。




 ニバーンメの街は煉瓦色で統一されていた。

 石畳も煉瓦色で両脇の建物も煉瓦色。

 統一感があってきれいだと思った。

 そして賑わいがすごい。

 冒険者組合がある湖に浮かぶ島までの通りはこの街のメインストリートになっているので道の両側のほとんどが店になっているのだ。




 店はざっと見ただけでも八百屋、食堂、薬屋、武器屋、菓子屋、服飾屋などなどたくさんの種類の店舗が並んでいる。

 そのため買い物客、通行人も多い。

 なので僕たちは人の流れに乗りながらゆっくりと冒険者組合を目指す。

 そしてそんな最中だった。




「……変ね」




「なにが?」




 エリーゼの言葉に僕は尋ねる。

 するとエリーゼは怪訝そうな顔になりしきりに耳と鼻を動かすのだ。




「……なにか悪意のような気配を感じるのよ。気配はひとつだけなんだけどとても強い感じ」




 僕は辺りを見回した。

 僕たちの前には冒険者組合にいっしょに向かっている『黒の鋼団』の人たち。

 そして周りには街で買い物をする大勢の人々。みんな楽しげな笑顔を浮かべ悪意の欠片も感じられない。




「不審な人はいないみたいだけど……」




「そうね。見える範囲にはいないわ。どこかに隠れて様子を伺っているように感じられるのよ……」




 エリーゼは怪訝そうな顔つきを崩すことなくそう告げた。

 今まで例えば森の中とかで僕はエリーゼの気配察知の能力のすごさを知らされた。

 彼女が感じると言えばそれは実在するのだ。




 改めて周囲を見回す。

 通行に買い物に動き回る雑踏。

 人それぞれが自分の目的のために動いて会話しているのだが、そこに事件性は感じられない。

 初めて来た街だが、きっとこの街はいつもこんな感じなんだろうと思わせる日常性。

 エリーゼが察知した悪意とはどこにいるんだろうか……?

 この激しい往来の中に魔物でも紛れているってことなのかな。




 そんなことを考えていたときだった。




「「「「「キャーッ!!」」」」」




 突如、斜め前方の人混みから数人の人間が空中に吹っ飛んだ。

 そして大量の血も宙にばら撒かれる。

 見るとその中には切断された人間の腕やら足やらも混じっている。

 途端に人混みから悲鳴が湧き上がり逃げ惑う人々の姿が見えた。




「マキラ! 行くわよ!」




 エリーゼが駆け出した。

 僕は当然、追いかける。そして見ると『黒の鋼団』のライナスさんたちも全力疾走して現場へと向かっていた。



大事件の始まりなのです。(`・ω・´)∩



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「いらぬ神にたたりなし」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。


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