044話 尋問の結果。
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よろしくお願いします。
魔法はどうやって憶えるか。
それは個人の資質によるとしか言えない。
まず魔力が一定以上あること。これは必須だ。
だけどそれ以降は人によって使える人と使えない人に分かれる。
僕を例とすると、師匠にはまず火魔法で試された。
蝋燭が目の前に置かれ、それに火を点けてみろと指示された。
そこで火をイメージすると蝋燭が灯る。
これが火魔法の基本だ。
ところが僕の場合は違った。
火をイメージしたところ蝋燭が倒れた。
そしてやり直そうとして蝋燭を燭台に立たせようとするとまた倒れてしまい、蝋燭は僕が魔法を解除するまで立たせられることができなかったのだ。
これで僕の魔法が転倒魔法だと言うことが判明したという訳だ。
その後、氷魔法や雷魔法なども試したが発動するのはぜんぶ転倒魔法。
そのことで師匠からは他の魔法を憶えるのは後回しにして、まずは転倒魔法を極めろとの命令を受けたのだ。
そのため僕は他の魔法を習ってないし使えない。
なのでAランク魔法使いのリサさんも知らなかった転倒魔法は僕しか使えないユニーク魔法なんじゃないかと言われた訳だ。
「……やっぱり私じゃ使えないのね」
「うひゃあ……」
目の前に倒れもがいている盗賊の身体に大量の水が降ってきた。
そのことで盗賊が悲鳴を上げた。
「……ひょっとして転倒魔法を試したんですか?」
僕が尋ねるとリサさんが頷いた。
「転倒をイメージして魔法を発動してみたんだけど水が発生しちゃったの」
かわいい系美人のリサさんが小首を傾げる。
つまりリサさんは盗賊を転ばそうとイメージしたのに水が発生してしまったのである。
これは僕が蝋燭に火を灯せなかったのと同じ結果だ。
なのでリサさんは転倒魔法が使えないと言うことになるね。
「でも便利な魔法ね。……だけど欠点もあるの」
「拘束はできるけどトドメを刺せないです」
僕が答えるとリサさんは頷いた。
「それもある。でもね。相手が盗賊やふつうの魔物ならパーティメンバーにトドメを刺してもらえばいいから問題ないけど、相手が魔法使いなら、どうなの?」
「……あ」
そうなのだ。
転倒魔法はあくまで転ばすこととその状態を維持するだけの魔法なのだ。
相手が魔法使いだった場合、転倒させることはできても手は動かせる。
つまり魔法は使えるのだ。
なので反撃されてしまう。
「その対策は考えた方がいいの」
「わかりました。ありがとうございます」
リサさんが僕が予想していなかった問題点を教えてくれた。
これは対策をしっかり考えておかないと大変なことになるな、と思った。
ちなみに僕とリサさんが会話をしている間にエリーゼが次々と倒れている盗賊たちを縛り上げてくれていた。
■
その後、生かして捕らえた盗賊6人(頭目と僕が転倒魔法で捕らえた5人の弓使い)が商隊の隊列の前に並べて座らされた。
もちろんロープでぐるぐる巻の状態だ。
そして尋問が始まる。
尋問官はもちろんライナスさんだ。
ライナスさんはバスターソードを盗賊の首に当てて威圧感のある声で尋ねている。
盗賊たちの顔は真っ青だ。
それも仕方ない。あれだけいた盗賊たちを瞬殺した実力をまざまざと見せつけられたのだ。それはつまり自分たちの命を奪うことになんの躊躇もしないことを身をもって知らされている。
なので尋問は簡単に進むのであった。
「……ゴリアス商会? そこに依頼されたと……」
首に剣を当てられたままガクガク震えている頭目が白状した。
「ふむ。ニバーンメにある商会ですな。我が商会と取引はありませんが……」
ドガさんによるとドガさんの商会は最近良質の砂糖をニバーンメの街で売り出して好評らしい。なので粗悪な砂糖を手掛けていたゴリアス商会に恨みを買われた可能性が高いようだ。
「証人としてニバーンメの街の衛兵に突き出そう」
「そうですな。そうすれば衛兵の方でゴリアス商会の調査もしてもらえますな」
こうして話はまとまったようだ。
生き残った頭目と弓使い5人は盗賊として衛兵に渡す。
そして動機や背後関係の調査をしてもらい適切な処置をお願いすることになった。
ついでだが生き残り6人の捕縛で賞金ももらえるらしい。
これは重犯罪の罪人は労働奴隷として売れるからと教えてもらった。
なんにせよ、盗賊は撃退できたし賞金ももらえるので一件落着と言ったところだね。
そして後片付けが行われた。
倒された盗賊14人の遺体はライナスさんが自分の魔法収納袋に保管した。
これももちろんニバーンメの街の衛兵に提出する証拠だからだ。
魔法収納袋は生き物は入れられない仕様になっている。でも死んだ状態なら物扱いなので収納できるのだ。
そして生き残り6人をロープで引っ張りながらドガ商会の商会はニバーンメの街へと目指すのであった。
■
盗賊騒動から2日後、僕たちドガ商会の商隊は小高い丘の上の街道を進んでいた。
空には太陽と青い空と白い雲。
右手は深い森。左手は丘の麓の景色が果てしなく広がっている。
「うわあ……」
「ニバーンメの街よ。私も久しぶりだわ」
僕が感嘆の声を上げているとエリーゼがそう呟いた。
そうなのだ。
丘の麓には背の高い石壁に囲まれた大きな街が見えていた。
「あれは滝?」
「そうよ。大きな滝とそれが注ぎ込む大きな湖。それがニバーンメの街。別名、水の街と呼ばれているわ」
背後関係がわかったのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「いらぬ神にたたりなし」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




