042話 盗賊たちの襲撃。
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「エリーゼさん、マキラさん、今日はお願いしますね」
御者も勤めるドガ商会会頭のドガさんが御者台に乗り込む僕たちにそう言うのだった。
「わかりました。では私はドガさんの右側に。マキラは左側にお願いね」
エリーゼの指示で僕はドガさんの左側に座った。
御者台は大きめに作られていて3人が横に座っても十分だった。
そして商隊は動き出す。
事前の打ち合わせ通りにライナスさんたち『黒の鋼団』の全員は馬車の幌の中に姿を隠している。
その後、ドガ商会の商隊は順調にニバーンメの街へ進み続けた。
すでに昼休憩も終え、日が傾いてきた頃だった。
「そろそろ暗くなり始める。襲撃としては絶好の機会だな」
荷台に身を隠しているライナスさんがそう呟いた。
「私たちはもう監視されているのかしら?」
エリーゼが尋ねる。
「ああ。どこかの物陰から間違いなく見ていただろうな。念の為距離を取って遠くから監視していたはずだ」
おそらく望遠鏡とか使ってるんだろうな。
見通しの良い場所からならかなり遠くから見えるはずだし。
だとすると距離が離れ過ぎていてエリーゼの気配察知にも引っかからない。
それからもしばらく商隊は進んだ。
街道はゆっくりと左に曲がっていて右側には深い森、左側は岩肌がむき出しの小高い崖になっていた。
その崖が邪魔して街道の先は見通せない。
「……いるわ」
エリーゼが突然つぶやいた。
「この先に人がいるわ。数はざっと20人くらいってとこね」
「わかりました。速度を落としましょう」
エリーゼの言葉に応じてドガさんが商隊の速度を遅くした。
後続の荷馬車2台も手信号で送られた合図を理解したようで、合わせて速度を落とす。
そして荷馬車はかなりの低速になって道を進む。
――そして発見した。
街道を塞ぐように丸太が置かれ、そこに15人ほどの粗暴な身なりの男たちが立っていたのだ。
身体には粗末な革鎧を装備し、手には剣や斧を持っているんだけど身なりに統一感がなくバラバラな印象だ。
そしてヒゲぼうぼうの顔つきで気味が悪いニヤニヤ笑いを浮かべていた。
まず間違いなく盗賊たちであろう。
「止まれっ!」
盗賊たちの中央に立つ一際大柄なヒゲぼうぼうがそう叫んだ。たぶんこの盗賊たちの頭目だろう。
そしてドガさんの合図で3台の荷馬車は街道に停止する。
まあ、止まりたくなくても丸太で道を塞がれているから馬車は進めないし。
「……エリーゼとマキラは馬車の前方に降りてくれ。武器だけは準備しておけ。ただしこちらから先に手を出すな。俺たちはもう少し盗賊たちが接近してから行動を開始する」
小声で荷台に隠れているライナスさんがそう告げてきた。
そして僕とエリーゼはそれぞれ杖と短剣で身構えながら馬車を降り、馬の前に出た。
「ライナスさん。森の中にも5人ほど盗賊が隠れています。おそらく弓使いかと……」
エリーゼが小声でライナスさんにそう告げた。
「わかった。それも考慮しておく」
ライナスさんの返事が聞こえる。
これも間違いなくエリーゼの気配察知の能力だろうね。
「あなたたちは盗賊ですね? 私たちがドガ商会の商隊だとわかっていての襲撃ですか?」
ドガさんが御者台から大きな声でそう尋ねた。
「おうよ。ドガ商会とわかってての襲撃だ。わざわざ名乗ってくれて感謝だぜ」
頭目がニヤリと嫌らしい笑みを浮かべて言う。
「なら仕方ありませんね。護衛の冒険者のみなさんお願いします」
ドガさんがため息混じりに言う。
「おうおう。その護衛はたった2人じゃねえか。しかもまだ駆出しみたいだな。……ん? 女の方は獣人だが上玉だな。おうお前ら、女の方はなるべく無傷で捕らえろっ! 顔には絶対に傷をつけるな!」
「「「「「おうっ!」」」」
頭目の命令に手下の盗賊たちが呼応する。
どうせ美少女のエリーゼに良からぬことを考えているだろう。
さんざんおもちゃにしてから奴隷として売り飛ばすとか取らぬ狸の皮算用してるんだろうな。
お前らゴブリンか?
僕はそんなことを考えていた。
と、同時にこんな事態になっても膝が震えていないことに気がついた。
やはりオーク、ゴブリン、ワイバーンの討伐の経験で荒事に慣れてきたことや『黒の鋼団』の存在があることで気持ちの持ち方が変わってきたのかもしれないね。
そして盗賊たちが動き出した。
一斉に叫び声を上げて駆出した。もちろん抜剣済みだ。
手に手に剣や斧を持って商隊に迫って来る。
「エリーゼ、マキラ。お前らは森の中へ行け。弓を黙らせろ!」
荷台からライナスさんの強い声が聞こえた。
「わかりました。……マキラ、行くわよっ」
エリーゼが森に向かって走り出す。そして僕も。
ライナスさんたち『黒の鋼団』5人は一斉に馬車の荷台から飛び出した。
そして商隊前方へと向かい盗賊団と激突する。
盗賊たちが襲ってきたのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「いらぬ神にたたりなし」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




