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041話 商隊の囮。

【毎日夜の18時に更新します】

よろしくお願いします。



 

「なので盗賊は最低でも1人か2人は生かして捕らえたいと考えている。盗賊が誰かに依頼されてドガ商会だけを襲っているかを確認するためだ」




「誰かに依頼されて、ですか?」




 尋ねるエリーゼの視線は強い。

 真剣なのがわかる。




「ああ。例えばドガ商会を面白く思っていないライバルの商会。もしくはドガさん個人に対する私怨とかな……」




 なるほど。

 それならドガ商会だけが狙われたことも理解できる。

 捕らえた盗賊を尋問すれば背後関係がわかるかもしれないな。




「……ひとつ質問がありますが、いいでしょうか?」




 エリーゼがライナスさんをまっすぐに見た。




「ああ、なんだ?」




「……どうしてDランクの私たち『ひとつの足跡』にも護衛依頼が来たのでしょうか? 護衛の人数の頭数が必要だとしても、私たちと『黒の鋼団』とは実力に違いがあり過ぎます。本来ならばBランク、Cランクのパーティに依頼するのではないでしょうか?」




 するとライナスさんが苦笑いを見せた。

 その笑顔に申し訳なさ感が見える。

 そしてそれは当たっていた。




「ああ、それな。……正直に言うと悪いんだが、お前らは囮だ」




「お、囮ですか……?」




「ああ。ニバーンメまでは馬車で3日かかる。そしていちばん狙われやすいのが明日の2日目だ。これはイチバーンメの街とニバーンメの街からいちばん離れていることで盗賊からすれば狙いやすいからなんだが、そのときにお前らの出番がある」




「具体的に私たちが囮としてすることはなんでしょうか?」




「盗賊ってのは絶対に見張りを立てる。岩の陰とか森の中とかの見つかりにくい場所にな。そのときは俺たち『黒の鋼団』は馬車の中に姿を見つからないように隠れている。そして『ひとつの足跡』の2人だけが御者台に座ってもらう。もちろん盗賊の見張りに商隊の護衛としてわざと見せるためだ」




「……つまり護衛はDランクで装備からして弱そうな『ひとつの足跡』の2人だけと思わせるため?」




「その通りだ。護衛が新人の2人だけと思わせて盗賊に油断させるためだ。護衛が2人だけなら絶対に盗賊は姿を現すからな」




 なんとも物騒な話だ。

 だけど護衛は僕たち2人だけじゃない。

 Aランク冒険者パーティの『黒の鋼団』が隠れて待機しているのだから、不安はない。




 そして商隊は進み続けた。

 夕方には野営地を見つけて停止する。

 それから夕食を食べて、就寝するのだった。

 幸い馬車の中に座れる程度の空間はある。

 なので外で毛布一枚くるまって、って言うのは避けられた。




 そして当然、見張り番が立つ。

 交代なので当然僕たちにも順番が回ってきた。

 僕はエリーゼと二人で焚き火の側に腰掛けた。

 かと言って炎ばかり見ている訳じゃない。その証拠にエリーゼの耳はピクピクと動いている。常に警戒しているのである。




「ねえ、エリーゼって今まで護衛の依頼は受けたことあるの?」




 僕は尋ねた。

 するとエリーゼは焚き火の炎に照らされた顔を向けてくる。

 やっぱりいつ見ても整った美少女の顔だ。




「あるわよ。4、5回はあるわね」




「途中で盗賊に襲われたことは?」




「ないわ。……ゴブリンやコボルトに襲われたことはあるけど、人間と戦ったことはないわね」




「コボルト? ……ああ、あの犬頭の?」




「ええ、武器を持ってないからゴブリン相手よりは楽ね」




 僕は思い出す。

 確かコボルトは犬の頭を持つ二足歩行の魔物だ。

 大きさはゴブリンと同じくらい小柄なんだが、ゴブリン同様群れるので厄介だったはず。



 それにしてもだ。

 盗賊ってのは怖いな。

 ゴブリンやオーク、そしてワイバーンと戦ったけど人間と違って頭は悪い。

 それに対して盗賊は人間だ。

 知能もあり会話もでき、悪知恵も働く。

 それが怖い。




 僕たちは見張り番のいちばん最後だった。

 なので会話をしているうちに空がだんだん明るくなってきた。




「そろそろ朝ね」




「当番も終わりだね」




 そのときエリーゼが立ち上がった。

 そして空を見上げる。




「……今日が2日目ね」




「……いちばん襲撃の可能性が高い日だね」




 そうなのだ。

 護衛リーダーのライナスさんの話では今日の2日目が盗賊が襲ってくる確率が最も高いとのことだ。

 今日は大変な1日になるんだろう。




「お前ら、ご苦労だったな」




 荷馬車からそのライナスさんがやって来た。

 荷馬車から焚き火までのわずかな距離なのにバスターソードを装備しているのは、それだけ襲撃を警戒しているからだろうね。




「おはようございます」




「いよいよ今日ですか?」




 僕の問いにライナスさんが唇をキツく結んで頷いた。




「ああ。おそらく今日だ。そろそろ出発の準備を始めてくれ」




 それから僕たちは降ろした野営資材を馬車に載せたり、焚き火の後始末をしたりして出発の準備を終えた。

 そして馬車に乗り込むのだった。




囮だったのです。(`・ω・´)∩



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「いらぬ神にたたりなし」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。



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