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040話 合同の護衛。

【毎日夜の18時に更新します】

よろしくお願いします。



 

「……商隊の護衛なのにDランク2人って少なくないですか? ゴブリンの大群に襲われたらとてもじゃないけど守りきれないと思うんですけど……」




「ちょっと訳ありの案件かしら? 護衛の料金をケチって少なくしているとかはないの?」




 僕とエリーゼが気になっていることを質問した。

 するとマリーさんはちょっと難しい顔になった。




「確かにそうですね。ちょっと調べてみます」




 そう言ったマリーさんは席を外すと奥の書架に向かった。

 そして該当する書類を見つけると中身を調べ始めた。

 やや時間が経過した頃、納得顔になったマリーさんが戻ってくる。




「わかりました。この案件は問題ありませんよ」




 マリーさんは受付に腰を下ろして手にした書類を見ながら説明してくれる。




「この件は共同依頼となっています。Dランク以外にすでにAランクパーティも護衛を受けることになっています。なので多人数による護衛なので魔物の襲撃に対してもしっかり考えられていますね」




「ありがとう。じゃあ問題はなさそうね。マキラはどう?」




「エリーゼが良ければ僕は問題ないよ」




 こうして僕たち『ひとつの足跡』は護衛依頼を受けることになったのだった。




 ■




 それから2日後の早朝。

 僕とエリーゼはイチバーンメの街の門にいた。

 すると朝靄がまた残る石畳の道から門に向かって馬車の音が聞こえてきた。

 姿を現した2頭立馬車は幌付き荷馬車で3台。

 それらが僕とエリーゼの前で停まる。




「『ひとつの足跡』のお二人ですね?」




 先頭の馬車の御者台に座る中年男性が馬車から降りて話しかけてきた。

 服装は華美ではないけど生地がしっかりとした上等なものでいかにも商人って感じだ。




「私はドガと申します。ドガ商会の会頭をやっております」




 どうやらこの商隊の隊長でもあるらしい商人さんはドガと名乗った。

 そして後続の馬車から5人の冒険者たちが降りてきた。

 全員、黒色を基調とした立派な武器、防具なことから同行するAランクの冒険者たちだと思ったが、どうやらそうだった。




「また会ったなエリーゼ。それとマキラとか言ったな」




「ライナスさん」




 名乗った冒険者はワイバーン討伐の際に冒険者50人のリーダーを努めたライナスさんだった。

 ライナスさんは30歳くらいの背が高くがっしりとした剣士だ。背中に両手剣である大きいバスターソードを吊っているのが特徴だ。




「俺たちがAランクパーティの『(くろ)鋼団(はがねだん)』だ。で、俺がリーダーで……」




 なるほど。『黒の鋼団』だからみんな黒色の防具を身に着けているのか。

 統一感があってなんかかっこいい。




 そしてライナスさんはパーティメンバーを紹介していった。

 もうひとりの25歳くらいに見える片手剣使いの男性。

 弓使いの30歳くらいの男性。

 僧侶の35歳くらいの男性。

 そして20歳くらいの魔法使いの女性がメンバーだった。

 魔法使いの女性は黒髪ロングのかわいい系美人のリサさんと言う。




 片手剣の剣士、弓使い、僧侶の方々も名乗ってくれたのだけど、僕は他人の名前を憶えるのが苦手なんだよね。

 なので唯一の女性メンバーであるリサさんだけ憶えたよ。

 まあ、僕も男なので美人はすぐに憶えるよね。

 エリーゼだってすぐに憶えたし……。




 あ、男性のライナスさんをすぐに憶えたのはやっぱりワイバーン討伐の冒険者50人のリーダーってことで目立っていたからだ。

 強烈なイメージがあれば男でもすぐに憶えられるよ。




 ちなみに『黒の鋼団』は全員が人族だった。

 まあ、元々人族は人口が多いのでエリーゼのような亜人種自体が珍しいのもある。




 そして僕とエリーゼも馬車に乗せてもらえることになった。

 乗ったのは先頭の商隊の隊長も勤めるドガさんが御者をする馬車だ。

 そこには僕とエリーゼ以外にはライナスさんが乗った。

『黒の鋼団』の残りの4人は2人ずつ2台目、3台目に分乗した。

 それから門を抜け街道に出て商隊はニバーンメの街を目指す旅に出たのだった。




「お前らに話がある。今回の護衛の目的や人選にも関わる大事な話だ」




 すでに出発から数時間経過していてそろそろ昼の休憩を取る頃合いのときだった。

 ライナスさんが僕とエリーゼに話しかけてきたのだ。




「大事な話? なんでしょうか?」




 エリーゼが代表して尋ねた。

 僕たち『ひとつの足跡』のリーダーはエリーゼだからね。

 改まったときには必ずエリーゼが口を開くようにしている。




「……今回の護衛の主な任務は魔物から商隊を守ることじゃない。人間が相手だ」




「「……」」




 思わず僕もエリーゼも無言になってしまった。

 人間が相手? ……どういうことだろう?

 ……あ。もしかして……。




「……盗賊ですか?」




 エリーゼが答え合わせするかのように尋ねる。




「そうだ。2週間前にこのドガ商会の商隊が盗賊に襲われた。積荷は奪われ護衛の冒険者に死者も出た。だがそこにおかしな点がある」




「どういった点でしょうか?」




「2周間前にドガ商会が襲われた以降、どの商会の商隊も盗賊に襲われていない。イチバーンメの街とニバーンメの街の間では毎日いろんな商会の商隊がたくさん出るにも関わらずだ」



「……つまり、ドガ商会だけが狙われていると言うことでしょうか?」




「その可能性が高いとドガさんは判断された。そのため今回の護衛に俺たちAランクパーティ『黒の鋼団』が指名依頼された訳だ」




 ライナスさんに話によると通常Aランクパーティに商隊護衛の依頼がされることはないそうだ。

 Aランクは実力が高いので当然依頼料金も高い。

 そのことから通常の護衛はCランクかDランクがほとんどだそうだ。

 ましてや『黒の鋼団』を指名依頼したことで指名依頼料金も含まれるため、ドガ商会は高額の依頼料金を支払ってでも護衛して欲しいと言うことらしい。



相手は盗賊なのです。(`・ω・´)∩



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「いらぬ神にたたりなし」連載中


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。




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