038話 オーク、ゴブリン連合軍の討伐完了。
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「転倒、転倒、転倒、転倒、転倒、転倒、転倒、転倒、転倒、転倒、転倒、転倒」
エリーゼを中心とした周囲に多数の魔法陣がほぼ同時に展開された。
――ツルリン、ツルリン、ツルリン、ツルリン、ツルリン、ツルリン、ツルリン、ツルリン、ツルリン、ツルリン、ツルリン、ツルリン。
「「「「「……グギャギャギャ!!」」」」」
ゴブリンたちが一斉にすっ転んだ。
ヤツらは手足を踏ん張って起き上がろうと試みるが、やっぱりまた転ぶ。
「マキラ。もう十分よ」
構えを解いたエリーゼが笑顔で僕に告げる。
「了解。後は任せるね」
ここから先はトドメを刺す行為だけだ。
オークもゴブリンも自力では立つことができないのでただもがくだけ。
なので1匹、1匹にエリーゼは慎重に接近し素早く首を掻っ切る。
その作業が続く。
で、僕なのだが護身用にナイフは持っている。
じゃあ、それで僕もトドメを手伝えばいいのではという考えもある。
だが、倒れていると言っても相手は手足を動かせるので、魔法職の僕がトドメを刺すのは危険が大きいから遠慮して欲しいとエリーゼに言われているのだ。
だから僕はトドメを刺すのではなく、エリーゼが掻っ切った首から討伐証明部位である耳をナイフで切り取る作業を担当しているのだった。
それからである。
「本当になんとお礼を言ったら良いのか。とにかく助かりましたぞ。村人を代表してお礼申し上げますじゃ」
村長さんが僕とエリーゼにそう言った。
僕たちはあくまで仕事として来た訳なので、そこまで言われると正直照れくさい。
そして今、村人たち総出で後始末をしている。
大きな穴を地面に掘り、そこにゴブリンたちの死骸を入れて油を使って燃やしているのだ。
死骸を放置していると他の魔物が寄ってくる可能性もあるし、腐敗して嫌な病気が発生しても困るので、こうして燃やして埋めるのだ。
そして別の場所では1匹のオークが大きな台の上で捌かれていた。
ゴブリンの肉はまずくて食えたものじゃないが、オークは人気食材だ。
なので討伐の祝勝会を兼ねて村を挙げてのお祭りを行うのだ。
討伐したオークは3匹。
そのうち2匹は僕たちの魔法収納袋に収まっている。
そして1匹は村に提供したのだ。
オークの権利は僕とエリーゼにあるのだが、村も被害にあって困っていた訳だし1匹もあれば村人全員の胃袋も膨れる。
だから村に1匹丸々プレゼントしたと言う訳だ。
「ありがたいですじゃ。肉などそうそうたらふく食べられる機会もないんで村人たちも大喜びですじゃ」
そしてその日は飲めや歌えの大宴会となった。
僕とエリーゼはその日にイチバーンメの街へ帰還することを諦めて、宴会に参加した。
酔った村人たちから僕はなんどもお酒を勧められたのだが、丁重に断った。
そしてエリーゼは飲むには飲んでいたけど、前回の反省もあったようで量はそれほど飲まなかった。
「それにしてもスゴイ切れ味だったね」
僕が隣に腰掛けて食事しているエリーゼに話しかける。
「そうね。私もあそこまで切れ味がいいとは想像していなかったわ」
エリーゼはそう言いながら腰に吊った短剣をさする。
それはもちろんブルーオーガのミサイアから渡されたミスリル合金製の短剣だ。
分厚い脂肪と硬い筋肉と太い骨のあのオークの首をあっさり一撃で切り裂いたのだ。
きっともうこの短剣はエリーゼにとって手放せない愛剣になったに違いないね。
でも武器の威力が影響を受けているのはなにもエリーゼだけじゃない。
僕も同じだ。
師匠が屋敷に残してくれた予備の杖。
この杖のお陰で転倒魔法の発動も早いし使用魔力も軽減されているのは間違いないのだ。
そしてその晩も村長さんの屋敷に泊めてもらい、翌朝にはちょうど乗合馬車もやって来るとのことなので朝早くに起きた僕とエリーゼは村の入り口にやって来た。
馬車は村の中まで入らずに街道に停車するからだ。
しばらくすると乗合馬車がやって来た。
乗客は半分ほどなので僕もエリーゼも余裕を持って車内に腰掛けることができた。
そして昼前にはイチバーンメの街へと帰ってきたのだった。
街に帰った僕たちはもちろん冒険者組合の建物に向かう。
村でのオーク討伐依頼の報告のためだ。
「『ひとつの足跡』のお二人さん、依頼の報告ですね?」
窓口では顔なじみの受付嬢のマリーさんが対応してくれた。
相変わらずの美人さんだ。
「ええ。依頼は無事に達成したわ。これ、依頼票ね」
リーダーのエリーゼが村長さんがサインしてくれた依頼票をマリーさんに渡す。
「A評価。さすがね。……え、オークだけじゃくてゴブリンの群れも出たの?」
「はい。オークと共闘していたようです。ゴブリンは13匹でました」
僕が答えるとマリーさんは驚き顔になる。
「エリーゼさんとマキラさんの二人だけのパーティでしょ? よく対応できたわね。すごいわ」
「ありがとう。マキラといっしょだから苦戦はしなかったわ。あ、ゴブリンは討伐部位を提出するけど、オークは2匹分の肉の買い取りもお願いしたいわ」
「2匹? 討伐したのは3匹じゃないのかしら?」
マリーさんが疑問を口にする。
「1匹分の肉は村の人たちに提供したのです。喜んで食べてくれました」
「そう。それはいいことをしたわね」
マリーさんはにっこりとした笑顔を見せてくれた。
そして建物の奥にある解体場に足を運んだ僕たちは解体係のオズワルドさんに声をかけ、オークの解体を依頼したのだった。
村におすそ分けしたのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「いらぬ神にたたりなし」連載中
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




