303話 10階層のフロアボス。
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僕たちは無駄な戦闘を避けるために小部屋には入らず、通路を地図のとおりに進み続けた。そして最奥部の大扉の前に立つのであった。
「……大きいわね」
エリーゼが聳え立つ両開きの石の扉を見上げて、そう呟いた。たぶん5メートル近くあるだろう。
扉には文様が描かれており、人の高さの部分に押すための窪みがあるのがわかる。
「……地図に記載がありませんっ。なので中にいる階層ボスの正体は不明ですっ」
フララランにそう言われて僕たちは地図を覗き込む。するとそれまで通路や小部屋の位置、出現する魔物について詳細に書かれていた地図だが、確かにこの階層ボスの部屋についての記載はなかったのだ。
「……未踏破だものね」
「まだ誰も倒していないのかもね」
「案外、誰も挑もうとしていないのかもしれませんっ」
なるほど。
フララランの言う言葉には納得できるものがある。
この階層ボスは、このロクバーンメのダンジョン初のボスなのだ。今までの地下1階から9階までに出現する、いわゆる雑魚魔物とは違う。
なので命をかけてまで挑もうとした冒険者パーティがいなかったのかもしれない。
冒険者家業は決して命を粗末にするものではないのだ。危険と実入りを天秤にかけて安全に稼ぐのが基本だからだ。
「じゃとすると『青い翼』なるCランクパーティはどこに行ったのかのう?」
「あたいが思うに『青い翼』はこの先の階層ボスを倒して地下11階に向かったんじゃないかな?」
フーシュの発言に僕たちは向き直る。
確かにその可能性はあるのだ。
「……そうね。地下10階層まででは見つかっていないって話だから、フーシュの言う通りこの先の階層ボスを倒して11階層まで行っているかもしれないわね」
なるほど。
報告が冒険者組合に上がってないが、もしかしたら『青い翼』が実は10階層のボスを倒した最初のパーティかもしれないね。
それから僕たちは相談をした。
正確な時間はわからないが、そろそろ夜になっている頃合いだからだ。
このダンジョンは小部屋に入らなければ魔物と遭遇することはない。なので今いる通路で野営を行うことに決定した。
扉の奥にはどんな階層ボスが待っているのかわからない。
だとしたら、十分に食事と睡眠を取ってから挑む方がいいとの結論となったからだ。
そして僕たちは野営と食事の準備を始めるのであった。
魔法収納袋から天幕や簡易竈門、食料などを取り出しそれぞれがてきぱきと作業を始める。
僕は天幕をささっと用意する。そしてエリーゼたちは食事に取り掛かっているのがわかった。
その後、食事を終えた僕たちは代わり代わりに見張りに立ち、夜を過ごすのであった。
このロクバーンメのダンジョンの通路には一切魔物は現れないが、やはり全員で寝てしまうには不用心なので、いつもの野営の通りに見張りを立てたのである。
そして魔道具で朝と判断した頃、全員が起きてきた。
「おはよう。マキラ」
「おはよう。エリーゼ」
天幕から出てきたエリーゼと挨拶を交わす。僕が最後の見張りだったからだ。
「いよいよですねっ。……でもまずは腹ごしらえですっ」
「そうだね。あたいが火を熾すよ」
僕たちは朝の食事の準備に取り掛かる。
そして時間をかけてのんびりと食べるのであった。
その後、食事や天幕を片付けた僕たちは巨大な扉と向き合う。
「さて、なにが待っているんでしょうね」
「そうだね。ミノタウルスとかじゃないのかな」
僕は以前に入ったアーガスのダンジョンでのラスボスだったハイミノタウルスを思い出したのだ。
ダンジョンのボスと言えば巨大な魔物であるとの印象が強い。
「いちおう方針は決めておくわ。倒せそうなボスだったら戦う。だけど無理そうなら諦めて撤退よ」
エリーゼが全員にそう告げた。
そして僕たちは一同頷くのであった。
「じゃあ、私が扉を開けるわ」
そう宣言したエリーゼが両手で両開きの扉に手を当てて力を込める。すると扉は抵抗もなくするりと開くのであった。
そして明らかになるボス部屋の内部。
円形の部屋で天井が高くドーム状になっていた。
……そして階層ボスが中央に立っているのがわかった。
「……あれは……ゴーレムかしら?」
そうだった。
エリーゼの言う通りで、身長3メートルはあるゴーレムが両手を振り上げて僕たちを待ち構えていたのだ。
「材質はなんでしょうかっ?」
「岩ではないみたいじゃのう。だとするとなんのゴーレムじゃろうか?」
「あたいには金属に見えるよ」
そうだった。
フーシュが言う通り、ゴーレムは金属製に見えたのだ。あの光沢、そして見た目の質感からしてきっとそうだろう。
「……と、言う事はアイアン・ゴーレムね」
「あれがアイアン・ゴーレム……」
そうなのだ。
僕は初めて見たのだ。そして疑問が浮かんだ。
「ねえ。……あのゴーレムって、どうやって倒すのかな?」
思わず口からそんな言葉が出てしまうのであった。
それも仕方ないだろう。なんせ全身金属なのだ。普通の剣や矢ではダメージを与えられないに違いない。
「そうね。なんとか倒せると思うわ。……私は魔剣を使うわ。魔剣なら刺さるはず。……マキラは転倒魔法を。フララランは拘束できる魔法を。タマユラは幻術を。フーシュは私といっしょに前に出るわよ」
「「「「了解!」」」」
僕たちはエリーゼの指示で戦闘態勢に入るのであった。
アイアン・ゴーレムの登場なのです。(`・ω・´)∩
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