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299話 魔剣:十束剣。

間に合いました。


基本10日に1話の更新となります。

 

 そしてエリーゼは助走をつけて突撃した。狙うのはもちろんオーガ・ジェネラルの心臓だ。オーガ・ジェネラルは巨体なので下から突き上げる形で鎧の胸の部分に刺す心づもりだった。




 ――ガガ……。




「……グフゥ……」




 オーガ・ジェネラルのくぐもった声が漏れた。だが絶命していない。

 魔剣はミスリル合金製の短剣よりも切れ味が鋭い。ミスリル相手でも十分に貫通できるはずなのだ。

 だが、エリーゼの魔剣は根本まで突き刺さったにも関わらず、心臓に到達できていなかった。




(……後少しなのに)




 エリーゼは心の中で舌打ちした。

 だが現実は現実だ。トドメは刺せていないのだ。




(……もっと剣が長ければ……)




 すると魔剣に変化が起こった。それは握っているエリーゼだけがわかる変化だ。柄が僅かに振動し始めたのだ。




「……五束剣(いつかのつるぎ)が動いている」




 そうだった。

 刃自体はオーガ・ジェネラルに刺さっているので見えないが、確実に剣に変化が起きているのが手応えでわかったのだ。




「ガアアアアァァァァァ……」




 オーガ・ジェネラルが叫びを上げた。それは命が尽きる叫び。つまり断末魔の叫びだったのだ。




(……なにが起こったの?)




 エリーゼは考える。

 オーガ・ジェネラルが息絶えたということは心臓まで剣が到達したということだ。だが、分厚い鎧と胸の筋肉に阻まれて魔剣:五束剣は届かなかった。つまり長さが足りなかったということだ。

 そして今、心臓の刃が到達したということは五束剣になにごとかの変化が起きたと考えられる。




「……倒せたんですよねっ?」




「……ええ」




 フララランに問われたエリーゼは思わず曖昧な返事をしてしまう。

 そしてゆっくりと魔剣:五束剣をオーガ・ジェネラルの死骸から抜き出す。すると意外なことが判明した。

 五束剣は握り拳5つほどの長さの短剣であるはずだ。なのにその分を抜いても刃先が見えてこないのだ。




「……これって……」




 戸惑いつつもエリーゼは魔剣をオーガ・ジェネラルの身体から抜いた。するとそこには両手剣ほどの長さを持つ剣があったのだ。

 深緑色の刃はそのままに光を放っている。




「……これはいったいどういう訳なんですかっ? 五束剣が長くなっていますっ」




「そうじゃのう。もはや短剣ではないのう」




「あたいが思うに、魔剣が変化したんじゃないのかな」




 フーシュの発言にエリーゼたちが向き直る。聞いたことがない話だからだ。

 そしてフーシュが発言を続ける。




「あたいたちドワーフは鍛冶ばかりやってるからね。魔剣の噂話はいろいろ聞いたことがあるんだ。

 ……魔剣の中には使い手の気持ちが乗り移って形状や状態を変えるものもあるらしいんだ。……例えば剣に炎を纏ったりしたりってのも聞いたことがある」




「……つまり、私がもう少し長さがあれば、と思ったから……?」




「なるほどですっ。エリーゼの思いが伝わったんですねっ」




 全員でエリーゼが持つ魔剣を見る。その刃の長さはほぼ倍ほど伸びていた。




「これじゃ五束剣ではなくて、十束剣(とつかのつるぎ)じゃのう」




 確かにタマユラの言う通りであった。剣の長さは拳10個分くらいもある。まさに魔剣:十束剣であった。




(……確かに今回は長さが増加してくれて助かった。……でも、私には短剣の方が扱いやすいわ……)




 エリーゼはそんなことを考えていた。

 するとまるでその気持ちが伝わったかのように魔剣がみるみる短く変化していったのだ。



「ああっ。短くなりましたっ」




「そうじゃのう。元の長さ……じゃのう」




「五束剣に戻ったね」




 そうだった。

 短剣は元の状態に戻っていた。詳しく調べてももう長くなった痕跡は残っていない。




「謎ね。……また私の願いで形状に変化があるのかしら」




 エリーゼはフラララン、タマユラ、フーシュの顔を見るが正解を持っている人物は誰もいない。




 そしてオーガたちの死骸はフララランの魔法によって地中に埋められた。この場に居残る理由がないエリーゼたちは街道を目指し移動を再開するのであった。




 ■




 20軒ほどしかない狭い集落。

 そんな状態の家屋を僕とドロシーさんは順番に捜索していた。だが一軒見ても、その次の一軒を調べても生存者はいなかった。

 どうやら村の人たちは村を捨てて森の中へ逃げようとしているところをワイバーンたちに襲われたようだ。




 そして10軒くらい捜索したときだった。

 家屋の中に入ったドロシーさんが僕を手招きしたのだ。




「おい、見ろ。見つけたぞ」




 ドロシーさんが指差すのは板壁に垂直に張り付いた水たまりのようなものだったのだ。

魔剣が伸びたのです。(`・ω・´)∩


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