298話 オーガたちとの戦い。
更新遅くなりました。すみません。
だいたい10日ごとの更新となります。
「……見えたわ。行くわよ」
小声でそう周りに伝えたエリーゼが速度を早める。エリーゼの向かう先にはシルエットとなって霧の中にボウッと浮かぶオーガたちの影が見えていた。
敵は1列縦隊。並び方に変化はないようだ。
「まずは先頭を叩くわよ」
「あいよ」
エリーゼの呼びかけに応じたのはフーシュだ。2人は風のように走り先頭のオーガに肉薄した。
「――シッ!」
エリーゼがタイミングを見計らって跳躍する。手にしているのは愛用のミスリル合金製の短剣だ。
跳躍の頂点に差し掛かったときにエリーゼは巨体の首も太い先頭のオーガの頸動脈を掻っ切る。
「グギャァァァァァァ……」
断末魔の悲鳴をあげて先頭のオーガが派手に血飛沫を上げ、ドウッと地面に倒れた。
そして一度地面に着地したエリーゼが連続して跳躍する。
「グギャァァァァァァ……」
2匹目のオーガも首を裂かれて地面にうつ伏せに倒れる。
だが3匹目以降は決まらなかった。仲間が次々と倒されたのを目の当たりにしたオーガは警戒して素早く移動したからだ。
移動したオーガたちは霧の中に姿を隠してしまい、目視で見つけることができない。
「エリーゼ。一度引いてくださいっ」
「わかったわ」
エリーゼが素早く後方へと戻って来た。そしてタマユラに向き直る。
タマユラはなにが求められているのかわかっているようで、静かに頷くのであった。
「我が霧を薄くするのでオーガたちの位置を確認してほしいのじゃ」
「了解よ。……タマユラの幻術の中だと気配察知もほとんど効かないから」
そうであった。
タマユラの幻術の霧の中では気配察知が行えないのだ。そのため目視での戦いとなる。なのでオーガを見失った時点でエリーゼが一旦下がったのは正解なのだ。
そしてタマユラが両手を上げてゆらゆらと揺らす。するとその動きに合わせるように霧の濃度が徐々に薄くなり始めたのだ。
「……いたわ。案外距離が離れたわね」
エリーゼが指差す先にはオーガたちのシルエットが見えた。その数2匹。間違いなく先程逃した敵に間違いない。
そのオーガたちは森の小高い場所にいた。なのでこちらから見ると見上げる形だ。
「タマユラ。また霧をお願い」
「わかったのじゃ」
タマユラが腕を掲げて左右に振ると再び濃い霧がさあっと湧き上がりオーガたちを包み込むのであった。
「私が魔法で拘束しますっ」
フララランが予約していた植物精霊魔法を杖を掲げて行使した。すると霧の中で不明瞭だが、明らかに太い木の根が地面から生えてオーガたちが目撃された小高い場所へと這い伸びて行くのが見えた。
「「グギャ……?」」
小高い場所から戸惑いとも思える鳴き声が聞こえた。どうやらフララランの木の根の魔法がオーガたちをぐるぐる巻きにしたようだ。
「タマユラ。霧を薄く」
「了解なのじゃ」
霧は再びタマユラの手によって濃度が下げられた。すると小高い場所に簀巻きにされているオーガとオーガ・ジェネラルの姿が見えるのであった。
「これで逃げることも攻撃することもできませんっ。エリーゼ、頼むのですっ」
「了解よ。行くわ。――シッ!」
鋭い呼気を吐いたエリーゼが風のように加速して一気に地面から跳躍する。するとぐるぐる巻きのオーガの喉元へと接近する。
「グギャ……!」
命が尽きる叫びを上げてオーガが沈黙した。喉をエリーゼの短剣で貫かれたのだ。元々エリーゼは高速で移動できるので相手からすると攻撃を避けにくいのだが、今はフララランの魔法で拘束されている状態なので避けようがなかったのだ。
そしてエリーゼは残る最後の1匹、オーガ・ジェネラルに向かう。ジェネラルは全身金属鎧を装着していることから跳躍しながらの攻撃ではなく、力が乗る地面に足をつけての攻撃を選んだからだ。
そして身動きできないオーガ・ジェネラルの胸目掛けてミスリル合金製の短剣を突き出した。
だが……。
――ガキンッ!
硬質な音が辺り一帯に響いた。
エリーゼが渾身の力を込めて突き立てた短剣がオーガ・ジェネラルが身にまとう分厚い金属鎧に防がれたのだ。
「防がれましたっ。ただの鉄製じゃないですねっ」
フララランが悲痛そうに叫ぶ。
そうだった。オーガ・ジェネラルが身につける全身鎧はミスリル製である。そのためエリーゼの短剣では貫くことができなかったのだ。
「グゥゥゥゥ……」
フララランの魔法による拘束は続いている。そのことからジェネラルは身動きができない。なので焦る必要はないのだが、このまま一気に倒したいのは全員の本音だ。
「……魔剣を使うわ」
エリーゼは魔法収納袋にミスリル合金製の短剣をしまい、代わりに魔剣:五束剣を取り出すのであった。
オーガ・ジェネラルの鎧は硬いのです。(`・ω・´)∩
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