296話 ワイバーンの群れの撃破。
更新遅れました。すみません。
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「僕の転倒魔法は空を飛んでいる者にも使えます。以前、ワイバーンと戦ったときは5匹同時に地面に落とせました」
「なるほど。ならば今回もその戦法を使おうと言うのだな。……確かに地面に落とせれば私にも倒せる」
僕は頷いた。
そして空を滑空して高度を落として来るワイバーンを見る。その数4匹。残る1匹はまだ高空にいる。様子見でもしているのだろうか。
「じゃあ、やります。ギリギリまで引き付けるので待っていてください」
僕は高度をぐんぐんと下げてくるワイバーン4匹を待った。ワイバーンの群れは糸で繋がっているみたいにきれいな連携を取りながら旋回している。
そして高度が50メートルを切るところだった。
ワイバーンの巨体と獰猛な顔つきに僕は気圧されそうになるが、踏ん張って耐えた。
「――転倒。転倒。転倒。転倒」
――ツルリン。ツルリン。ツルリン。ツルリン。
「「「「……グギャギャギャ……!?」」」」
激しい地響きとともにワイバーンが地面に落下した。突然につっかえ棒を外されたかのような落ち方をしたワイバーン4匹は互いに重なってしまい脱出しようと藻掻くが転倒魔法の影響でその場で転倒を繰り返している。
「よくやった。後は任せてくれ」
ドロシーさんがハルバードを構えながら吶喊した。そしてまるで解体場での作業のように次々とワイバーンたちの首を刎ねていく。ものの1分程度で作業は完了してしまったのだ。
辺りは血の臭いで満たされたが、静寂に包まれていた。
「……で、残るは1匹だ」
「そうですね。……でも、降りてきませんね」
「警戒しているのかもしれないな。仲間があっと言う間に倒されてことはわかっただろう」
「……でも、逃げないですね」
そうなのである。
最後の1匹は様子見を続けているのか高空で周回しているだけなのである。
なにか手はないかと僕は考えていると、ドロシーさんが話しかけてきた。
「なあ。あの高さだと転倒の魔法は届かないのか?」
そう言われて僕は改めて空を見上げる。高空に位置するワイバーンとの距離は100メートルじゃきかないだろう。ひょっとすると150メートル以上あるかもしれない。
「試したことはないんですが、届かないと思います」
そうなのだ。
僕が今まで転倒魔法を使った距離はいいとこ100メートル以内。たぶん80メートルくらいまでだろう。
目視でその対象の姿形がはっきりと視認できる距離でしか使ったことがないのだ。
「いい機会だ。試してみればいいだろう」
ドロシーさんに促されたので僕はやってみる気になった。そして長杖を天高く掲げて頭上で旋回しているワイバーンをしっかりと見据える。
「――転倒!」
……だが、ワイバーンに変化がない。悠々と飛び続けているのだ。どうやら届かなかったに違いない。
「……駄目ですね。距離が遠すぎます」
「ふむ。……ひとつ聞こう。転倒魔法とはどうやって狙うのだ?」
「……えと」
聞かれて僕は考え込んでしまう。今までちゃんと論理立てて実行してなかったことに気がついたのだ。
「えと、……ただ姿を見て魔法を唱えていただけです」
するとドロシーさんは、ふむ、と考え顔になる。そしてなにかひとつ納得したような表情になり、口を開くのであった。
「弓使いが獲物を射るときに狙いを付ける。そのように標的を狙って魔法を使ってみたらどうか?」
なるほど。
僕はドロシーさんに言われた通りに狙いを定めることにした。長杖を天高く掲げてその先端で旋回しているワイバーンにピタリと向ける。
「――転倒!」
すると効果があった。飛んでいたワイバーンの下に魔法陣が浮かびワイバーンがいきなり失速したのだ。
「グギャギャギャ……」
やがて空から落ちてきたワイバーンがドスンと音を立てて地面に激突した。高空から墜落したそのダメージが大きいようで藻掻く力も残っていないようだった。
「できたな。では私が――」
ドロシーさんが瀕死のワイバーンに吶喊した。そしてあっという間に首を刎ねてワイバーンを絶命させるのであった。
「できました。ありがとうございます」
「なに。私も思いつきで言ってみただけだ」
感謝の言葉を述べるとドロシーさんはさらりと受け流すのであった。
そして改めて辺りを見回す。
ワイバーンの死骸が5匹。そして多数の住民の死体……。
「……これは現実なんでしょうか?」
「ん? どういう意味だ?」
僕は思いついたことを口にする。
「……さっきの教会で魔族と戦ったときに僕たちは異空間に閉じ込められたって話でした。だとすると……」
「この村の現状も異空間での幻かもしれないって言いたいのだな」
「そうです」
するとドロシーさんはその整った顔の眉を寄せた。少し考えている様子に見えた。
遠くのワイバーンも落とせたのです。(`・ω・´)∩
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