295話 村を襲うワイバーン。
更新遅くなりました。すみません。
がんばります。
「ダリドーンは倒した。これで離れ離れになっているお前の仲間たちもダリドーンを倒していれば、私たちはこの異空間を出られるだろう」
ドロシーさんはそう語った。
おそらくあの坑道にいた全員が異空間に飛ばされた。そこで各自ダリドーンと戦うことになっているとのことなのだ。
「僕の仲間たちなら大丈夫ですよ。……きっと勝ちます」
「……信頼しているのだな? 私はいつも単独行動だからな。仲間を信頼するというものに実感がない」
なるほど。
そういえば教会の退魔官はひとりで行動すると聞いている。なので僕たちのようにパーティを組んで共に戦うという経験がないのだろう。
「ドロシーさんはいつもひとりで戦っているんですね」
「退魔官とはそういうものだ。別に私だけが特別ではないぞ」
戦いをいっしょにくぐり抜けたからだろうか、ドロシーさんが自分に対して心を許しているような感じがする。
出会ったばかりの頃は最低限の事柄しか口にしなかったはずだ。もちろん真意はわからないが良い感じだな、と思った。
やはり仮初めの旅の仲間とはいえ、関係は良好な方がいいからだ。
だけど「僕に話してくれるようになりましたね?」とは、口にしない。それは藪蛇になりそうだから。
今、話してくれているのが実はホントに単なる気まぐれって可能性もあるからね。余計なことを口にして気分を悪くさせる必要はない。
「そろそろ河が見えるはずだ」
前方の小高くなった平原を登りながらドロシーさんがそう言う。膝丈くらいの草を足で掻き分けながら登り切ると景色が一気に広がった。
「ホントに大きな河ですね」
そう。そこには大河が悠然と流れていた。川幅は100メートルじゃ効かない。その倍はありそうだ。
そして僕は上流側を見る。するとそこに大きな木造の橋が架かっていた。
「あの橋を渡るんですね?」
「そうだ。橋を渡ってしばらく歩けば村があるはずだ」
ドロシーさんは記憶を辿るように遠い目になってそう僕に告げるのであった。
それから僕たちは草原の斜面を降り、橋の入口に着いた。橋は距離はあるけど幅はそれほどはなくて、馬車がギリギリ連れ違うことが可能なほどしかなかった。
そして僕とドロシーさんは橋を渡り始める。
川幅が広い河はゆうゆうとした流れで波ひとつなくゆっくりとだが大量に流れていた。そんな景色を眺めながら僕たちは橋を渡り終えるのであった。
「道がありますね」
「ああ、この道を行けばそのまま村だ」
土を踏み固めた細いものだが確かに道であった。道は森の脇を通って向こうまで続いている。
そのときだった。
森の向こうの空に黒い点が5つほど旋回しているのが見えたのだ。その点は時折地上の方に滑空して降りる。
ただ森の向こうなので木々の梢が視界の邪魔になりなにが行われているのかはわからない。
「あれ、なんでしょうか?」
先頭を歩くドロシーさんに僕は背後から声を掛ける。するとドロシーさんも僕が指差すものに気づいたようで足を止めて観察しているのであった。
「あれは……、ワイバーンだな」
「ワイバーン……」
なるほど。
あれはワイバーンか。
すると僕は当然思い出す。あれは僕が冒険者になったイチバーンメの街だった。そこで来襲して来たのがワイバーンの群れだったのだ。
ワイバーンは翼竜とも呼ばれる大型の飛行魔物で全長はだいたい5メートル以上もある凶暴な肉食獣。
ドラゴンと違って前足が鳥と同じく翼になっているので腕の爪での攻撃はないけど、するどい牙と尻尾の棘が武器になっている。しかも尻尾の棘には毒があるってことだ。
「ワイバーンとは戦ったことがあります。どうしますか?」
「あの群れの位置が気になる。……まずは急ぐか」
そして僕とドロシーさんは歩みから小走りに速度を上げた。森の脇の道をひたすら走る。するとだんだんワイバーンの姿がはっきり視認できるようになった。黒光りする身体がしっかり見えるようになったのだ。
「最悪だな。あそこには村がある」
なんてことだ。
ワイバーンの群れは村を襲っていたのだ。僕はドロシーさんの顔を見た。するとドロシーさんが頷くのが見えた。
「さすがに見逃すことはできない。急ぐぞ」
僕とドロシーさんは駆け足になった。すると森が途切れ村が見えた。家屋が20もない小さな村だった。
そしてその村の上空には我が物顔で飛び回る5匹のワイバーンが見えた。
「生存者はいるか?」
村の中に入ると酷い有り様であった。
人々が血まみれで倒れ動く者の姿はなかったのだ。どうやら僕たちが到着したのは襲撃後だったようだ。
僕とドロシーさんは倒れている人たちをひとりひとり確認したが、全員死亡しているのがわかった。
特に腹部の損傷がひどく、人々は内蔵を食われているのが確認できたのであった。
……吐き気がしそうだ。
僕は人の死体。……しかも損壊が激しい死体を見慣れていない。なので口から吐きそうなのを懸命にこらえている状態だ。
見るとドロシーさんは大丈夫なようで、いつもと変わらぬ無表情に近い顔つきだ。退魔官という仕事柄、こういう状況は見慣れているのかもしれない。
「グギャギャギャ――!」
上空から耳障りのする鳴き声が響いて来た。見上げるとワイバーンの群れが高度を落として近づいてくるのがわかる。
どうやら僕たちを新たな獲物として認識したに違いない。
「見つかったらしいな」
ドロシーさんは平然としていた。
ワイバーンは強敵と教わった。5匹のワイバーンに対しイチバーンメの街では50人もの冒険者が集められたのだ。
僕たちはたった2人。なので僕はイチバーンメの街での戦いと同じ戦法を使おうとドロシーさんに提案することにした。
村が襲われていたのです。(`・ω・´)∩
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